銀魂:神威(同行者ヒロイン固定)
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神威さんがアホ提督に謀反を起こし、あの高杉晋助率いる鬼兵隊と合流して、しばらく経った。ちなみにわたしの当時の考えで「どさくさに紛れ春雨から逃げる」は起きなかった。逃げられる気がしない、主に神威さんから。トップがいなくなったなら、もう借金とかわたし一人のことくらいどうでもよくなるんじゃないかなと思ったのだけど、ここまで来ると恐怖の対象は春雨より神威さんのほうがはるかに大きい。そんなわけで、現在も神威さんとともに行動をしている。
しかァァァァァし!
断じてわたしは、神威さんの同行人を続ける気はない!
待っているのだ。神威さんの好奇心が、高杉さんたち侍に完璧に向くことを。そしてそれは単なるわたしの「そうだったらいいなァ」という夢ではなく、近々実現することは実感している。その証拠に、最近の神威さんはわたしといるより、高杉さんといることがふえた。今もわたし一人で、空飛ぶ船を悠々と闊歩している。
「神威さんは強いものが好き。鬼兵隊はその絶好のターゲット……。きっとわたしへの興味やいじめ・いじり・いびり・冷やかし・悪口・いたずらその他もろもろは次第になくなるはず……ふ、ふふふ……」
「きめ」
背後から突然声が聞こえた。
その衝撃で、体がピシッと硬直する。
しかし脳内では既に緊急会議が開かれていた。
”緊急事態です。
現在、本体が精神的ダメージのため動けません。
次のコマンドから選んでください。”
A.たたかう
B.道具を使う
C.逃げる
「(Cで!!!!!)」
AとBを黙殺しCを選択した自分は、後ろを振り返ることなくかけだした。はずでした。
「待ちな、何逃げてんスか」
「え、え……?」
足をシャカシャカ動かしても、首根っこをつかまれているため逃げられない。同じ場所をひたすらシャカシャカするばかりだ。神威さんから解放されると思った瞬間に謎の襲撃である。謎の人物に「こっち向きな」と言われ、首を回したときには既に涙目になっていた。
「げ、泣いてるし」
「うわっ、美女!!」
「え?」
「え? アッー! ごめんなさいごめんなさい、わたしごときがスンマセン!」
金髪美女はどん引きからのポカンとした表情へ変わった。握る力がゆるんだため、前に行こうとした体がそのまま二、三歩進む。しかしミーハーなわたしは逃げることなく、美女を振り向き、しっかと目の保養を始めた。今度は怪しむように眉をひそめる。こうして表情豊かなところがまた魅力に感じる。それは顔だけにとどまらず、首から下も同様だった、ボンキュッボンのナイスボディ(死語)はどピンクの衣装を見事に着こなしている。
その露出した姿が美ボディすぎて、同性ながら、ガン見してしまう。
「ちょ……あの、無言で見るのやめてくれる」
「………」
「あんた女だろ! 何その親父みてーな視線! やめてくんない!!」
「す、すみません……! 今まで天人とか、人外ばかり視界に入ってたので……オネエサンみたいな美女は今のうちに目に焼き付けておきたいというか……」
「だからってガン見するの勘弁してくださいッス!」
真っ赤になったオネエサンは、直後銃を取り出した。両手に一丁ずつ握りしめて。あ。死んだ。わたしは素早く両手をあげ、後頭部の後ろで組むと、その場にうつぶせになった。この間約1秒。そのすばやさに、また美女から突っ込まれる。仕方ない。神威さんと同行していれば危険な目に遭うのは必須。体にしみついた降伏ポーズは健在である。
「ハァー……先輩に連れてこいって言われただけなのに、この疲労感なんなんスかね」
「わ、わたしなんて……面白くもなんともない、普通の人です」
「普通の人が、刹那でんなポーズとらないッスから」
ようやく落ち着いた美女は、来島また子と名乗った。ガンマンらしい。わたしが男だったら一目惚れする。てゆーか既に撃ち抜かれています。名前を聞かれ、答えると平凡だなと言われた。よく言われます。
体を起こす許可をもらい(「つーか勝手にやったのそっちだから」と言われた)、先輩と呼ばれる人のところへ向かうことになった。
「晋助、勝手なことしちゃ困るよ」
「……何の話だ」
「アンタんとこの部下がね、最近ななしとつるんでるらしいんだ」
宇宙の喧嘩師は、その長くも何ともねェ耳で、「らしい」と言いつつ把握しきっている。確かに、また子は最近、あの同行人と共に行動している。別に問題もなく、放置しているが、あちらさんはそうでもねーようだ。その丸い目の奥に、”気に入らない”と訴えている。
「フ……男の嫉妬は見苦しいねェ」
「嫉妬? そうじゃないよ、監督責任ってやつさ。大体、誰の許可をもらってななしといるの? アイツを放っておいてほしいんだけど」
「そうかィ、許可が必要ならもらわねーとなァ」
「許可は簡単に降りないよ。俺とタイマン張ってもらうんだから」
「………」
つくづく不思議な奴だ。こいつではない、ななしという女が。以前にも聞いたかもしれねーが、再度尋ねた。戦い勝つこと以外興味がない、夜兎の血を濃く継いだ奴が、何故。
「だってアイツ放ってたら、誰か釣れるんだよ。強いやつとかさ」
微笑で、嬉しそうに答えやがる。
嬉しいのは、相手が釣れるのではなく、アイツに関わった輩を消すことができるからだろう。
「それを殺して、またななしは俺の元に戻ってくる。俺はまたななしを放って、ななしを監視する。その繰り返し」
「フン、理由にならねェな」
言葉を放ってから、そうかと一人納得した。
「理由はいらねェってわけか」
「わかった? よかった、晋助もその顔に似合わず常識だの理論だの抜かすアンポンタンかと思ったよ」
「アンポンタンのほうがよかったかィ? その手は行き場を失ってんだろう」
俺の首をへし折ろうと曲げている拳。それはすぐに手の平を見せた。
「晋助こそ、殺気飛ばす意味もなくなったけど、これでいいの?」
「残念だったな。見かけによらず、平和主義なのさ」
「ふーん。あれっ、今のって笑うところだった?」
結局、また子と同行人の件は有耶無耶になっている。しかし近々ドンパチする予定がある。どうせこんな茶番劇、続かねェ。
「女一人のために、目的を忘れてもらっちゃ困るぜ」
「だいじょーぶ。ななしはずっと俺から離れないし、放さないよ。晋助との喧嘩も絶対に守るから!」
「何言ってやがる」
女(アレ)が絡んだとたん、まともに会話できねーのは、大事なものがアレに傾いている証拠だろう。
見えない首輪、消えない鎖