銀魂:神威(同行者ヒロイン固定)
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同じ春雨内の、知らない女の天人に気絶させられたわたしは、手首と足首をロープでそれぞれきつく縛られていた。場所はわからないけど、わたしが来たことのない狭い部屋だということは確かだ。なぜこんなことに…と思った時、襲われる前に天人が文句を言っていたのを思い出した。
『団長をたぶらかしやがって』
男勝りな口調で、顔も人間に似ていた。強いて違いをあげるなら、耳が少しとがっていたことくらいか。というか、わたしがいつあの神威さんをたぶらかしたって?100%でっちあげもいいところだ。…くそう、今更ながら理不尽な展開に怒りが…!あんな天人は神威さんにボコボコに………ん?待てよ。女性の天人が「たぶらかしやがって」とわたしに襲いかかった…つまり天人はわたしに嫉妬していた、のかな?たとえば、神威さんが好きだから、とか…?
「……!」
ちなみに、今こうして監禁されていなければ、神威さんの任務に同行していたところだ。それを知っていたとしたら、あの天人は、神威さんと同行している可能性が高い。そしてなんやかんや何かがあれば、わたしの代わりに同行者となってくれるのでは……!?おおっなんという怪我の功名。これはかえって監禁されて良かったんじゃないの、わたし?!うん、良かった!
「……いや、もしかしたら」
監禁されてる時点でわたしは危険に冒されている。つまり神威さんと進展があろうとなかろうと、天人はわたしを始末するんじゃないだろうか。うわああっ嫌だァァァ!!ヤバいそれはヤバい!だってわたしが生きていたら邪魔以外の何ものでもないでしょ、あの天人からしたら。しかも春雨のメンバーだもの、今更人殺しに躊躇する人物ではない。そう考えているうち、遠くからカツン、カツン、と足音がきこえた。あ、あわわわ……来たんだ、ついに。殺されちゃう。良くてもとりあえず暴力は受けそうだ。一目だけでの印象だと、めっちゃ好戦的そうだし。諦めたわたしを待っていたかのように、そこまで考えると、目の前の扉が開いた。下から上にゆっくりとあがっていく。その向こう側にいた人物を見て、あっと叫んだ。
「やっほー。また面白いことしてるね、ななし」
「かっ神威さん…!」
なんで、神威さんがここに。瞠目するわたしだったけど、神威さんがズルズルと引きずっているものを見て、さらに驚愕した。
「!!その人…!?」
「ああ、これ?」
言っておくけど俺がやったんじゃないよ、そう前置きして神威さんは話した。
「約束の時間になってもななしが来なくて、かわりにコイツが来たんだけど、戦闘の時に凄く邪魔でさ。俺の獲物を横取りしようと目の前に立ってばかりだから、敵ごと殺したくてウズウズしたんだけど、それより盾にしたほうが面白いかなって思って実際やってみたら、これが面白かったんだ。攻撃受けるたびにぎゃあぎゃあ叫んでジタバタするこいつの動き、傑作だったよ。結局途中で動かなくなったから放り投げて敵殺して終わったんだけどさ」
「……なんで…そんなこと…」
いくらわたしを監禁した相手とはいえ、ざまあみろなんて思いはしなかった。だってあまりにも不憫すぎる。神威さんのことが好きで役に立ちたくて、それなのに邪魔扱いされた挙げ句盾がわりで遊ばれてしまった。しかしわたしの沈んだ声に一切気にならない神威さんは、ケロリとした顔で答えた。
「アンタと俺の時間を邪魔したからだよ。それ以外に理由なんてない」
血だらけの天人を片手で放り投げ、わたしに近寄る。投げられた天人は堅い壁にぶつかり、ズルズルと床に落ちた。そのままピクリとも動かない。その様子を青ざめながら見ていたわたしの前に、神威さんがしゃがんだ。ビクッと肩を震わせる。しかし神威さんはおかまいなしに、頬を軽くつねってきた。意外にも痛くない。
「ななしも怒るべきだろ。俺と過ごせたはずの時間をこいつに奪われたんだから」
「…いや、まぁ…ぼちぼち怒ってますけど」
「へェ、そんな顔で?俺とヤりたい顔して」
「ませんからっ!!」
それは一生しない顔だ。というかヤりたい顔ってなんだ、それ。想像できない…いや、むしろしたくない。神威さんはずっと前から、わたしの「怖すぎて関わりたくない人」の対象(しかもドストレート)だ。今までもこれからも、その対象から一ミリも動くことはない。一方、力いっぱい否定された男は「酷いなァ」と笑っている。すいません発言と表情が全然連携とれてませんが。
「まァ今は素直にアンタの無事を喜んであげるよ。アレの気性じゃ殺されてもおかしくなさそうだったし」
「えっ…!!」
「本当に運が良いよ、ななしは」
縄を力任せにちぎると、神威さんは天人に体を向けた。そして、片足を振り上げる。落下地点は、天人の頭。
「!!」
パァンと、それははじけ散った。まるで巨大な風船が割れたような音で、耳にジンジンと響く。そこから引き抜いた神威さんの足は真っ赤っかで、怪我をしているんじゃないかと錯覚するくらい。その本人は突然こちらを向くと、また笑った。
「それ、好きだな」
君の、怯えた表情