銀魂:神威(同行者ヒロイン固定)
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憎い憎い、妬ましい、羨ましい。
おかしい、いつもならこんな感情胸に抱くことなんてないのに。
「ぐ…ッ!」
「苦しい?」
ななしほど細くはない、首周り。俺の片手じゃひとつかみはできないけど、ちょっと力を加えるだけで相手の顔は苦痛に歪む。
その顔を眺めても、俺の心はスッキリしない。
「ねえ、苦しい?」
「……!!」
「苦しいかって聞いてんだよ」
理不尽なほどの問い詰めに、相手はなんら抵抗する様子もなく、必死にガクガクと顔を上下に振った。そのうち口からよだれも出てきて俺の手にかかりそうだったし、足音が近づいてきたのでしょうがなしに離してやった。
「ガッハ…アッハァー、ハァー、ハァー」
大の男が二足歩行もできず、脱力したように地面に倒れ伏す。それから手足を突き出して立とうとしてるんだけど、呼吸が乱れて片手がどうしてものどから離れない。結局立ち上がることはできなかった。
「なっさけないなァ」
それで、アンタはよく笑ってもらえるね。
俺よりもたくさん たくさん たくさん たくさん、あいつに微笑んでもらえるんだね。
「むいさーん…かむいさーん」
「お」
ななしの声が聞こえてきた途端、ふわっと気分が軽くなった、気がした。角を曲がって姿を見せたななしの顔は、相変わらず間の抜けたもの。
はじめに俺を見つけてパタパタと近づいた足音が、しかし地面に倒れる男を見て止まった。
「…え…」
信じられないという目つきで、現状を必死に理解しようと黙り込むななしが面白くて、ついニコッと笑ってしまう。
なんでかな、ななしが笑ってくれない。
「…##NAME2##、くん」
俺の名前、呼んでくれない。
「##NAME2##くんっ、」
俺より、弱い男に駆け寄るななし。
ねえ、俺が見えてる?
無視してるんだ? ななしのくせに。
「大丈夫? どうしたの、いったい!?」
「し…らねェ…。団長に呼ばれて…!!」
「え?」
「うん、俺が呼んだんだよ」
そこでようやくななしの目に、俺が映る。それを理解した刹那ぞわりとした。今ななしは俺だけを見ているんだ。そう思うとなんともいえない快感と喜びが体中を走り、気分が高揚せざるをえない。
しかし、ななしは俺とは対照的な表情だった。
「…どうして##NAME2##くんを呼んで、こんなことになってるんですか?」
「どうして、って」
………変なの。今までこんなななし、見たことないや。
顔をこれ以上ないくらいにこわばらせて、俺を睨みつけて。
どうして震えてるくせに、そいつをかばってまで俺に立ち向かってんだろう。
弱いくせに。
俺に敵うわけがないと知っている上で、そいつを守る為に俺を敵対視するななしが、異常に腹立たしく、憎くなる。
自然と声も低くなっていた。
「なんでって、わかるでしょ? アンタがそいつにばかり笑いかけるから」
「…え…?」
「ただ同じ雑用係っていうだけで、大して力も強さもないそいつに、アンタが無防備にヘラヘラ笑ってくっつくから」
殺してやろうと思ったんだ、と。
他ならぬななしが聞いてきたんだから、素直にそう答えると、ななしの顔色がみるみる悪くなる。
どうでもいいけど、這いつくばっている奴はどうして俺を見ないんだろう。
ま、こうしてななしにかばわれてる時点で、弱い生き物。俺が本当に手を出すわけがない。弱い生き物には興味がないからね。
「でもやめとくよ? そいつ殺したってなんにもならないし」
「……神威さん…」
何を勘違いしたのか、ホッとしたように表情をゆるめるななし。
……………。
「ななし」
「! な、んでしょうか」
「そいつ、」
人差し指を、つい、と男に向ける。
どうしてだろう、ななしがホッとした理由が「俺が男を殺さないから」だと思ったらすごくむかついてきた。
そうだ、そういえば俺、たとえ弱くても必ず殺す相手いるんだった。
「殺したら、俺だけ見てくれる?」
ななしに近づく奴ら。全員。
「え?」
有言実行しなくちゃ。
突然の前言撤回に脳がついていけず、普通に小首をかしげるななしを通過して、素早く男の息の根を止めようと一歩動いた、
「おっとォ」
「!!」
瞬間だった。いつの間にか背後に阿伏兎がいて、とどめをさそうとした手首をガッチリつかまれる。
「!!!!」
ななしと男の目がこれ以上ないほどに見開かれ、俺と阿伏兎を交互に見やる。
阿伏兎は一言、「未来の海賊王がこんなとこで何売ってんの」と眉をひそめた。何も売ってないよ、俺は。強いて言うなら死の押し売りか。
「……あーあー」
阿伏兎のせいで、一瞬にしてやる気がなくなった。
腕に込めた力を抜くと、わかったのか阿伏兎の手が離れる。
いまだに体を震わす男を視界の端に捉えながら、ななしの手首を強く掴んだ。
ぎゅうっと。ななしが痛みに顔をゆがめるまで。
「行くよ、ななし」
「…は、い」
「じゃーね、阿伏兎。…覚えてろよ?」
「げ」
さあ、今日も任務だ。
二人きりで頑張ろう。
ねえ、
どうしたら僕だけを見つめてくれますか
どうしたら僕だけに微笑んでくれますか
どうしたら僕のものになってくれますか
教えてください。
なんかそろそろヤバい神威さん。