復活:雲雀(姉さんヒロイン固定)
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「ただいま」
「おかえり-、恭弥くん」
「………」
「………」
「……姉さん」
「何? 恭弥くん」
「今日は大晦日だよね」
「うん、そうだね!」
「……」
「……」
「大晦日の夜は、毎年僕と姉さんの二人きりで過ごすのが決まりだよね」
「……そうだっけ…アッハイそうですね!! 毎年過ごしたね!」
弟にジロッと睨まれ、すぐに首肯する。
わたしの同意にため息をつくと、弟はわたしを指さした。
正確には、わたしの隣にいる、男の人に。
「じゃ、なんでこいつがいるの」
「ははっやっぱり言われると思った」
「きょっ恭弥くん! 人を指さしちゃダメでしょ! すみませんディーノさん」
わたしが弟のかわりに頭を下げると、ディーノさんは柔らかく微笑んで許してくれた。
「ま、俺が勝手に上がり込んだのが悪いんだしな」
「わかってるなら今すぐ出て行ってくれる?」
ディーノさんの一歩引いた台詞に、弟がすぐ追い打ちをかける。ひどい、この寒い中ディーノさんを放り出すというのか、弟よ…!
実は弟が夜の見回り(大晦日だから羽目外す人がいるかもしれない、と部下を引き連れて町内一周したらしい。こわ!)に行っている間、ディーノさんがプレゼント片手に訪問してきたのだ。雪がしんしんと降る中プレゼントだけ受け取って別れるのもなんだし、と家に招いてこたつで二人ぬくぬくとしていたら、帰ってきた弟がクールながらも怒ってしまったというわけ。
ちゃき、とトンファーを取り出す弟。……あれっおかしいな。
赤い液体、ついてるんだけど。水洗いでもとれなさそうなこびりつき方してるんだけど。
「ちょっと恭弥くん、それ…」
「ああ、気にしなくて良いよ。それより跳ね馬、そろそろ咬み殺して良い?」
「ストップ! 恭弥くん、今日はもう暴力なし!!」
立ち上がりそうなディーノさん(微妙に笑顔だからやっぱりこちらもやる気ではあるみたいだ)を手で制し、わたしは汗をたらしながら弟にストップをかけた。
今日は、といっても残り数時間だけど、その数時間を死闘で過ごすなんてまっぴら御免だ。
わたしはディーノさんとの距離を開けると、弟を見上げた。
「はい、ここ開いてるから」
「はは、ななし…そんなことで恭弥が簡単に武器」
「うん」
「ってオイ!!」
簡単にしまったし!!とショックを受けるディーノさん。そうなんです、戦うのも咬み殺すのも大好きな弟ではあるけど、時々子供っぽいところがあったりするんです。
弟はわたしとディーノさんの間に割って入ると、突然ディーノさんを足蹴にしてから腰をおろした。完璧に油断していたディーノさんは「グハッ!」と倒れてしまう。
なななななにやってんのーーーー!?
「大丈夫ですか、ディーノさん!?」
「平気だよ、柔じゃないから」
「…いや、恭弥くんに聞いてはないんですけど…」
その間に起き上がったディーノさんは、「しゃあねえなあ」と頭をかきながらななめ側の席についた。お、大人だ…弟にここまでして怒らないとは…!
しかし弟は、依然わたしに密着したままだ。非常に恥ずかしい。
「…恭弥くん、ディーノさん席かわったから場所あいたよ?」
「いいよ、気にしないから」
「(こっちが気にするわーーー!!)あ…そう」
ま、いいか。弟が変なところで意固地なのは今に始まったことじゃあない。
ちょうど小さな竹かごに入れていたミカンを手に取ると、皮をむいて筋を適当にとる。基本一つ一つ食べるんだろうけど、わたしは二つずつ食べるので、そのサイズにするため実をちぎっていく。
そしてそれを口に運ぼうとした手首を、弟にとられた。
「え」
「んな」
ぱくり。
顔を寄せてきた弟に、ミカンを、指ごと食べられた。人差し指と親指が、弟の口に突っ込んでしまっている。
目が点になる、とはこのことなんだろうと他人事のように考えるけど、ディーノさんも同じ目になっているのでやっぱり他人からしたらっていうことで……あれっ何言ってんのわたし? やばいよ混乱してるよ。
とりあえず思い切り手首を引こうにも、当の本人が力を込めているので逃げられない。その間に、弟はミカンをはさめた指からいただき、人差し指と親指についているであろうミカンの汁を、なんとも丁寧に舌でなめとる。
なんでわかるって、ほ、ほんとに…丁寧に…! ひ……ひいいいいいっっ!!!(鳥肌が! 鳥肌がーーーー!!)
石化したわたしの反応が面白いのか、ようやく手首と指を解放した弟は、わざわざ下唇を舐めてみせた。
「おいしかったよ、姉さん」
すいません、除夜の鐘早く鳴らしてくださーーい!!
きみは僕の心の栄養
「御馳走様」
「顔赤いよ」
「だってきょっきょーやくんが!」
「意識してくれるんだ」
「違うから、そーいうんじゃないからね!」
「どう言おうと関係ないけど…今年こそもらうから」
「何を?!」
「姉さん」
「…!」
「それも全部ね」
「………でぃっでぃいのさん…!」
「すまんっななし…俺には止められそうにねー」
「そ、そんなああああっ!」
「覚悟しておいてよ、姉さん」