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きょう、私はきっと、運がないんだ、うん(え、うまくない?)
だって、最近上手くいっていた政宗さん部屋への侵入(目的:政宗さん私物の物色及び入手)が、きょうは小十郎さんにバレてしまった。
「てめェエェェ……ななし……ッ!!」
「ご、ごめんなさい…小十郎さん………てへっ!」
「……よくも不細工な面で謝罪ができるなァ。上等じゃねェか」
「ぶっぶさいくぅぅぅ!?!!」
女の武器である笑顔をちょっと可愛らしく頑張ってみたのに、目の前の小十郎さんには残念ながら無価値のようだった。ちっ、これだから青い春が通り過ぎたオッサンは……。
「いっでええええええええ!!!!」
瞬間、ガッコン!!と鋭い痛みが脳天に突き刺さった。
刀で貫かれた!? 私死んじゃうの?!というくらいの痛みだ。
思わず女であることを忘れ、畳の上で転がりまわる。
一方、ゴキブリを見るような冷たい目つきの小十郎さん。その拳からは、シュウゥ……と煙が立っている。マジでか。お前それでも人間か、お前の母ちゃん何人だよ。
「この痛みに懲りたら、しばらくは大人しくするこったな」
「ううううううぅぅうっぅう……!! うがああああ…!(覚えてろよ…! このスットコドッコイ…!!)」
「(何言ってんのかわからねーが、とりあえず悪口だな)」
呆れた表情で去る小十郎さん。
その背中を、歯ぎしりしながら睨みつける。
「(くっそ…! 私と政宗さんの純愛劇をこうも邪魔するだなんて…!)」
もう、我慢できない。
小十郎さんなんて、やっつけてやる!
「小十郎さん」
縁側から投げかけられる声。
振り返らねーでもわかる。ななしだ。
畑で野菜を収穫するほうを優先すべきだと素早く判断し、声だけ返す。
「なんだ」
「私、間違ってました。すみません」
「……わかりゃーいーんだよ」
やけに素直だな。
まあ、あの痛みに懲りて大人しくなってくれんなら、俺の苦労も少しは――
「!!!」
瞬間、ななしの気配が、背後に迫った。
手にしていたごぼう二、三本を振り向きざまにたたきつける。
鈍い音でごぼうとぶつかったのは、ななしが握っていたのは、木刀だった。
「て…てめェ……!!」
怪しく笑った状態で、俺からすぐに距離をとる。
口から出たのは、
「てめェ…誰だ……」
という台詞。
本人なわけがねーことくらい、すぐにわかる。
しかし相手は、目を丸くして、おかしそうに微笑んだ。
「やだなあ、小十郎さん。私は私ですよ?」
政宗さんのななしです、と冗談ぽく言ってみせるが、目は笑っていない。
何が、どうなってやがる。
「実は私、こっそり練習してたんですよねえ…木刀」
自慢げに、楽しそうに木刀を振り回すななし。
黙って様子を見る俺を、挑発的な眼差しで見つめる。
「いつも政宗さんとの恋路を邪魔する小十郎さんを、どうにかしてやっつけたくて」
「何が邪魔だ。全ててめーの押しつけがましい愛情表現ばっかだったじゃねーか」
「それが乙女の暴走なんですよ! …でも今まで我慢してたんですけど、きょうまたいじめられて、もういいや、どうなってもって思ったんです」
どうなっても。
その単語で、ななしの表情から笑みが消える。
「あなたがいなくなれば、もう障害はなくならない。私は政宗さんと、ずっと一緒にいられる」
目は、本気だった。
「……言いたいことは、それだけか」
「え…」
「ななしの顔で、言いたいことはそれだけかって聞いてんだ」
「……何ですか、その言い方。私がまるで、」
「偽者だろう」
言うが早いか、相手は素早くこちらの懐に飛び込んできた。
不慣れな武器を駆使してそれを阻止しようとするが、
「ほらな」
間に合わなかった。
不敵な笑みが、見下ろす。
「本当のななしなら、この瞬間ですぐに謝り、泣きついてくる。それができねーてめェは、偽者でしかねー」
「………は…ッ、なんだそりゃ」
勢い余って倒れた、そんな芝居をした俺様が馬鹿みてー。
「結局、嬢ちゃんのこと、超わかってんじゃん…」
「…猿飛か」
嬢ちゃんの顔で吐いた台詞に、片倉の旦那は複雑な表情を浮かべた。
あーあー、結局最後の最後まで嬢ちゃんになりきれなかったか。
「俺様もまだまだ、忍としての修業が必要ってことか」
「猿飛……一応聞くが、ななしは…」
「安心してよ旦那、嬢ちゃんなら自室でぐっすり眠ってるから」
「…………そうか」
「……」
ふう、と息をつく姿は、果たしてどんな立場からの安堵なのか。
ま、俺様には、どーでもいーんだけど。
「で、なんで、てめェがななしなんぞに化けやがったんだ?」
「あー、そこ聞いちゃう? ……理由は、さっきの言葉まんまだぜ? いつも旦那にいじめられてるから、仕返しする方法を教えてくれって泣きついてきてさ」
「…あ、の、ア、マ……ッッ!!」
「でも、俺がこの方法をとったのは、俺の判断だ」
「あァ?」
嬢ちゃんはあくまで、悪戯程度の仕返しを考えていた。
でも、それじゃあ面白くない。
「いや…なんつーかさ……」
嬢ちゃんをいじめると、クルクルと表情が変わるんだよな。
自分の感情によくも悪くも素直で、ムカついたらムカつくって言う。
本当に素直な人間だ。
そりゃ、言い返されると純粋にムカつく。
でも、そんな関係が心地よかったりする。
そして、そんな関係は、できれば俺だけでいい。
「…なんつーの? 嬢ちゃんをいじめる人間は、俺様だけでよくない?みたいな」
「…………」
言い方が悪かったようだ。
気づけば片倉の旦那は、数歩俺から離れていた。
「ちょい待ち旦那、引きしすぎだから!! 俺だって何言ってんのかわかんねーけど、」
「まあ、今のは聞き逃してやるよ……」
咳払いをした旦那は、口元がひきつっていた。
あっちゃーやばいわこれ、俺、完璧に織田軍の明智と同じ基準に持ってかれてるわ。
「猿飛、これだけは言っておく。俺は好きでななしをいじめてるわけじゃねー。悪いことを悪いとしつけておかねーと、後々大変なことになるだろう。ただ、それだけだ」
「……まあ、旦那のことだから、そうだろうと思ってたけど」
ただ、なんだかんだ言いながら、ななしのことを疑わない姿に、結局ななしを信頼しているんだとわかった。
「旦那って、ななしのことどう思ってんの?」
片倉の旦那は苦虫をかみつぶしたような表情で、
「厄介な女だ」
と言った。
「……ていうこと。以上、猿飛様による報告でしたー」
「えええええええええええ」
猿飛さんの報告からすると、結局小十郎さんへの仕返しもできてないし、むしろ小十郎さんが私を連行すること間違いなしなフラグだし、全然いいとこねーし!!!
「何やってんですか、全然うまくいってないじゃねーですか!!」
「嬢ちゃん、敬語の中に乱暴な口調入ってるよ」
「うわあああ!! きっとくるー! きっとくるー!!」
今にもふすまの向こうから、のそのそとやってきそうな小十郎さんを想像したら、全身鳥肌になった。
小十郎さんからお仕置きをくらった後、やっつけてやる!!と、心に決めはするものの、私と小十郎さんの力の差は歴然なわけで。
しかーし、私には強い味方がいた。
きょう、猿飛さんが奥州にやってくるのだ。
「で、なんで俺様を頼るわけ?」
窓から侵入し、こっそりと真田さんからの文とお土産を渡しに来た後(なぜこっそりなのかは不明だけど、猿飛さんが「2人には内緒ね」というから内緒にしている)、政宗さんと小十郎さんへ挨拶に向かいに行きそうだった猿飛さん。
「打倒小十郎計画」の協力者として、猿飛さんをつかまえたかった私は、頑張って彼を説得した。
「だって、外道で、プロの忍である猿飛さんなら暗殺とか得意でしょ。お願いします!」
「確かに正論なんだけど、嬢ちゃんに外道って言われると、なんか胸糞悪いな」
「現実を見て受け入れましょう猿飛さん」
「うん、嬢ちゃんがな」
「…………」
「…………」
お互いが青筋を立て合い、沈黙が流れる。
しかし、ここで時間を潰している場合ではないのだ。
「じゃあ、こうしましょう猿飛さん。私に協力してくれたら、なんでも言うこと聞きます。ただしエロいのはなし。私のハジメテは政宗さんです」
「うん、嬢ちゃんの身体は一生興味ねーから。……まあ、独眼竜の女が言うこと聞くっていったら、色々利用価値はあんだけどねー……」
「!! あっ、ダメですよ! これは私情なので、政宗さんや奥州に迷惑がかかることはNGです!」
「えぬじー? まあ駄目ってことか」
ふう、危ない危ない。私のせいで政宗さん達に迷惑がかかるところだった。
やがて猿飛さんは、指をパチンとならした。
「よっしゃ、思いついた!」
「! …ということは、協力してくれるんですね!!」
「まーね。俺様の言うとおり、嬢ちゃんは動いてくれよ」
「はい!!」
これで小十郎さんを駆逐できるぜ!と意気込んだ私は、
「とりあえず、寝てて」
首の後ろに手刀をいただきました。
「うう……首がまだ痛い」
「ごめん…ちょっと感情が高ぶっちゃってたかも」
「どんな感情!? 仕留めたい感情ですか、殺したい感情ですか?!!」
いかん、小十郎さんよりもよっぽど危ない人間が目の前にいるじゃないかァァ!
「イヤアアアア!! 助けて小十郎さぁぁぁぁん!!」
絶叫しながら部屋を飛び出した私を、猿飛さんは追うことなく、ケラケラと笑って見ていた。
「あー、続き言うの忘れてた…ま、いっか」
“厄介な女だ。
あいつと関わると、頭に血がのぼりっぱなしで、腹立つことが圧倒的に多い。
……それでも、関わりたくなることがある。
…政宗様を支えられる人間は、あいつしかいねーこともわかってる。
本当に、厄介な女だぜ”
「片倉の旦那も、大変だねェ……。これからは、もっと同情してあげよ」
彼女を中心に回っていることを認めたくない件について
ヒロインと、筆頭以外の入れ替わりリクでした。入れ替わりというか成りすましというか…! なんだかんだで、これ誰夢なんでしょうね。すみません>< リクありがとうございましたー!