番外・現パロなど様々
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「嬢ちゃん、はいクッキー」
「わあ、ありがとうございます!」
猿飛さんから、とっても美味しそうなクッキーを受け取る。
喜んだ声のまま、近くにあったメダカの水槽に、一欠片を粉になるまで指でつぶし、パラパラとふった。
それにがっつくメダカたちには、異常がみられない。
「よし、毒なし」
「「よしじゃねーよ」」
ほとしたようにため息をついたわたしの後頭部を、猿飛さんと小十郎さんがスパパンとはたきました。
3月初旬に卒業した政宗さんたちと会うのは久しぶりだ。
友達からの誘いをお断りして(ごめんよー!)わたしは政宗さんの家へと急ぐ。そして居間で待っていたのは、わたしがバレンタインデーのチョコを渡した、
「ゴレンジャーじゃないですか」
「誰がゴレンジャーだ」
みんながポカンとする中、変人であるわたしと付き合いの長い政宗さんが鬱陶しそうにツッコミをいれる。しかし、このイケメンズは気づいていないのだ。
「いや、イメージ的にあいますよこれ」
熱血真田レッドとクールな政宗ブル-、そして恋する前田ピンクに大人な小十郎グリーン、で、
「猿飛さんは絶対にイエロー! ほら、ゴレンジャー!」
「えー? 俺様そんなカレー好きに見える?」
「いえいえとんでもない、イエロー・モンキーのイエローですよ」
「よし嬢ちゃんちょっとこっち来い、今なら半殺しで許すから」
片手だけで指をばきばきと折る猿飛さんから逃げるため、前田さんの後ろへそそくさと回る。
そんなわたしたちをカラカラ笑いながら、前田さんがこちらを振り向いて言った。
「ななしは腹黒いから、間違いなくブラックだよな!」
「えー! ブラックって地味じゃないですか~、虹色のレインボーがいいです」
「変態なアンタにゃお似合いの色だぜ」
「ちょっ、え、レインボー=変態ですか?!!!」
政宗さんの言葉にガーンとショックをうけるも、「ああ、そうそう」と前田さんの差し出したものに目を奪われた。
それは長方形の箱で、受け取ったわたしはちょっとドキドキしながら開けた。すると中で輝いていたのは可愛らしいネックレスで、あまり派手でもないのでどんな服にも合いそうだ。
おお、前田さんセンスいい! もしかしなくても、
「チョコのお返しですか?」
「ああ! 当たり前だろ、その為にこうして集まってんだから」
元気よく答える前田さんに、わたしも笑顔でお礼をのべる。
ていうか、買ったチョコなのにこんな可愛いお返しもらってほんとすんません…!!(言わないけどね、販売チョコなんて) そんな申し訳なさと嬉しさで変な顔をしていると、真田さんが元気よく挙手をした。ここは学校か。
「ななしどの!! そッ、それがしも用意してきたでござるッ!!」
「わー、マジですか?! やった!」
「俺様からもあるんだけどね」
「うわっマジですか…!?」
「なんでそこで青くなるの? この温度差ひどくねえ?」
やだなあ冗談ですようと笑ってみせるけど、今まで猿飛さんには(年上なのにもかかわらず)酷い扱いをしてきて……いや、現在進行形でしているので、実は心配だったりする。仕返しされないか。
逆になんの不安もない真田さんからは、毎年恒例の特製みたらし団子をいただきました。日頃料理しないくせに、団子作りとなるとプロ並みに美味しいんだよなあ。なんでだろう。愛ですか。団子に対する。
そして、猿飛さんに関しては冒頭に戻るわけで。
「猿飛さんはともかく、なんで小十郎さんまで怒るんですか?! ただ殴りたかっただけでしょっ、このサディスティック星のじいやめ!」
「マゾヒスティックの平民に言われても痛くも痒くもねーよ」
「違いますう~わたしは政宗さんに対してはハァハァ興奮しますけど、小十郎さんに酷い扱いされたらそれなりに怒り感じるんですう~」
「やっべこの娘 真性の変態じゃん」
「ふふ…はたして勝てますかね、あなたごときに……変態度が」
「そして人をイラつかせる天才」
「だろう」
小十郎さんの同意に満足そうに笑み、そして「俺がいつ変態だって?」と言いながら両こめかみを拳でグリグリする猿飛さん。ボエエエエとジャイアンのリサイタル声を発していると、前田さんが「もうよしなよ」と止めてくれた。ああっ神様! でもほんとは政宗さんに止めてもらいたかった、ってあれ、政宗さん普通に無視してテレビ見てるしいいいい!!
「政宗さんんん!! あなたの妻が男たちに思い切り蹂躙されてますけど!! いいんですか?!」
「楽しいならいいんじゃねーか」
「言ってません、楽しいなんて一言も!!」
むしろさっき政宗さんからじゃないと嬉しくないって豪語したばっかりなのに、この男は!!(でもそんなところも好きだ!)
前田さんの働きかけでようやく解放されたわたしは、すっかり冷めたお茶をすすった。ちなみに今までずっと立ったままでした。座布団に座らせてもらうまでこんなに時間かかるものですか普通。
さて、残るは小十郎さんからと政宗さんから。といっても小十郎さんに期待はしない。否、してはいけない。
「ありがたく受け取りな」
そう言われて小十郎さんからもらった包みは、薄い長方形。
ガサガサと袋から取り出したわたしは、落ち着いて、流暢な日本語で尋ねることにした。
「これは、なんですか?」
「本だ」
「旦那~見てみ、英語の教科書に載ってた会話が、現実でかわされてるよ」
淡々と答える小十郎さんに負けじと、ツッコミ心を抑えてさらに聞いた。
「どのような本ですか?」
「料理だ」
「なぜ、わたしに渡したのですか?」
「必要だからだ」
「いつ、必要なのですか?」
「日頃からだ」
「! つまり将来のことも含めてですね、小姑さん!!」
「誰が小姑だ!」
ほえる小姑さんをスルーし、急いで政宗さんの元へ駆け寄る。
聞きましたか皆さん、ここにいるみなさぁぁぁん!! あの小姑が、「こんな嫁は嫌だランキングがあったらお前は存在自体がダントツで一位だ良かったな」と言い放った過去をもつ小姑が、ついにデレましたぞおおお!!!(ちなみにそれから数日間へこみました)
「やりました政宗さん、小十郎さんから婚約の許可もらいました!」
笑顔で言い放った直後、後ろから小十郎さんにヘッドロックをかけられうめくわたしに、政宗さんが面倒そうにため息をつき、面倒くさそうに小十郎さんを声で止めた。……ってあれっなんで?! なんで面倒くさそうなの?!!
落ち込むわたしに、前田さんが肩をぽんと叩いてなぐさめてくれる。
「安心しなってななし、あれは伊達なりの照れ隠しだから」
「いい加減なことぬかしてんじゃねーよ、前田」
「いい加減なもんか、アンタもななしくらい素直になったほうがいいぜ? そうじゃないと、どっかの誰かさんに奪われちまうかも」
なーんてね!と笑う前田さんに、そうだそうだと便乗してみる。いや、実際政宗さん以外に心を奪われる気はさらさらないんだけどね。
しかしクールな政宗さんから返ってきたのは鋭い眼差しで、ギクッとしたわたしは素早くそっぽを向いてかわした。そしてサササと政宗さんの目の前という立ち位置から退去し、猿飛さんと真田さんのそばまで下がる。
「ちょっ、見ました今の目? なんなんですか、冗談通じないんですけど政宗さん」
「まーそりゃー…」
てっきり同意してくれると思った猿飛さんは、苦笑い。
首をかしげるわたしに、真田さんが困ったように眉をひそめた。
「政宗殿は悪くないでござるよ、ななしどの。それがしたちが勝手にあがってしまった為、政宗殿が機嫌を損ねられるのは当然の理」
「え?! 勝手にあがったって…前田さんが集まったって言ったのは?」
おいっそれなら政宗さんが怒ってる理由はわたしじゃなくて猿飛さんたちってこと!?
こちらのジトッとした目と、真田さんが話したことで猿飛さんは諦めたようで、小声で続きを聞かせてくれた。
「結果的に、前田の言う通り集まったことにはなったけどさ。あくまで真相はこっち。嬢ちゃんの脳みそからしてホワイトデーは絶対にここに乗り込んで、伊達からのお返しを催促しにくるだろうって考えたわけ」
「うわーい、ものの見事に的中」
わたしの動き、丸わかりか! この妙な羞恥心はなんなの?
猿飛さんが「この人と同じくらいアンタってわかりやすいから」とこっそり真田さんを一瞥する。ちなみに本人は気づいてない。気づかせてあげたい。でも可哀相だからやめる。
といいますか、今の話で結論から言うと。
「本当ならニコニコ笑ってわたしを受け入れる気満々だった政宗さんが、あんなに怒ってるのは、猿飛さんたちのせいだってことですね」
「伊達がお泊まりセットを持ってきた嬢ちゃんを受け入れるつもりだったかは全く一切触れないとして、まあ原因は俺様たちだろうな」
「えっ! なんで知ってるんですかお泊まりセット持ってきてるの、もしかしてストーカー?」
「よし、頭下げてくれるか殴るから。……真田以外は全員把握してるからね、アンタがそういう人間だっていうこと」
玄関に隠してきた、お泊まりセットの入ったバッグを見られたのかと思ったらそっちかい。
政宗さんを見ると、小十郎さんにお茶を淹れてもらっている。あああっそれ、わたしがやるポジションだったのにィィィ!!
急いで駆け寄るも時既に遅しというやつで、勝ち誇った様な顔でこちらを見下ろす小十郎さんに嫉妬心が燃え上がる。
「何どや顔してるんですか、それで勝ったとでも?! 残念ですね、政宗さんの心は一億年と二千年前からわたしの前ですから!」
「嬢ちゃん、あの顔は明らかにゴミクズを見ている表情だからねー、どや顔じゃないから」
「猿飛さーんそれ一見説明口調ですけど、遠回しにあなたも悪口ですよね」
「あれっわかった? ごめーん」
「(潰す!!)」
猿飛さんこそ、人をいらっとさせる笑顔をつくることができる天才だと思うよ。
わたしで散々遊んで気がすんだのか、はたまた前田さんを探しにおじさん(本人からはトシって呼ばれてる、年中無休で半裸の元気なお兄さんだけど)が外で騒ぎ出したのが原因なのかはわからないけど、ようやくトリオが去ったのは一時間後のことだった。
学校帰りに来たのだから、すっかり日が暮れてしまっている。お泊まりの件も小十郎さんから清々しいほどにバッサリと却下されたし、帰るしかないわけで。
くっそおお、政宗さんとほとんど会話できてないぞ自分んんん!!
「政宗さん、お隣お邪魔しますね!」
小十郎さんが部屋から出ていったのを見計らい、素早く政宗さんの隣に腰をおろす。しかし政宗さんは無言で、台に頬杖をついて笑点を見ていた。なんで笑点?
まあわたしとしてはですね、これもポジティブに考えるわけですよ。何も言わない、つまり嫌じゃない、だってわたしとくっついてオッケーっでことだから。
そうしてドキドキしながらも、やることはやるのがわたしで。
こちらに後頭部を向ける政宗さんに、身体を寄せていき、距離をつめていった。やばいよこの緊張感、いつ政宗さんがバスターしてくるかわからないから、ある意味火曜のテレビでやっているギリギリマスターもいいとこだ。
ああああしかも近づけば近づくほど髪の匂いとか体臭とかすごいあのっ、ちょっ、
「ウキャアアアア!!! 愛してますうううう!!」
我慢できなくなり発狂したわたしは、結局政宗さんに抱きついた。
もっと全力で体当たりすれば押し倒せたのに、つい発作的に行ってしまった為あまり効果はなく、政宗さんの振り向いた目がギロッとしていることで「やっちまったなァ!」とおじさんの声が脳内でこだまする。
「てめェは、いい加減にしやがれ!」
「ブヒイッ!!」
スッパーン!!
首が180度以上回るんじゃないかと思うほどの衝撃を頬に受け、わたしは倒れた。い、痛いよォォ!! 何この男、普通愛する人に対して…いや、そもそも人に対して、こんな全力でビンタするか?!
痛みで泣きべそをかくわたしを見た政宗さんは、チィッと舌打ちして(こえええめっちゃこえええ)立ち上がった。そしてわたしをまたぎ、部屋を出て行く。
「うう、足の匂い…ンギャ!」
くんかくんかとかいだのがバレて、背中にかかとをくらいました。
あんなに暴力をうけても政宗さんへの愛的行動(え、セクハラじゃないですよ?)忘れないわたしって、やっぱり素晴らしいね。
ついでに政宗さんの座っていた座布団に頭をおき、その温もりに別の意味で涙する。
「ふん…いいもん、このまま寝そべって無理矢理お泊まりしてやるわ…!」
やがて廊下がきしみ、こちらの部屋までその足音が近づいてきた時、わたしはようやく天井を見上げた。
さっきまで怒っていた政宗さん……と、あれ、丸いお皿?
「さっさと起きろ、ななし」
ポカンとしているわたしに声をかける政宗さんは、普段通りの口調だった。怒ってない! やったー!!
「はい!」
元気よく答えて上半身を起こした(あまりにも急すぎて一瞬フラッとしたけど、問題ない!)目の前にそのお皿はどんと置かれ、わたしは再びポカンとする。
……お、おいしそうなケーキだこと…!
「なんですかこれ、どこのお店で…」
「どこでもいい。それ食ったら帰りな」
「ええええ!! なら帰りたくないんで食べたく」
「食え」
「イタタタダキマスー!(頭潰されるかと思った!)」
政宗さんの握力に恐怖しながら首肯し、わたしは改めてケーキを見た。
1ホールあるそれはフルーツ盛りだくさんのケーキで、夕食前ということもありお腹がすいていたわたしは、好きな人の前といえども大口を開けていただいた。
味は、予想以上にわたし好みで、
「お、おいし…美味しすぎる!! ちょっどこのブランドですか、お金あるからって学生からこんな無駄遣いしちゃ」
「いいから黙って食え」
なぜか怒った口調で、政宗さんはわたしからフォークを奪い取ると、ケーキを乱暴にちぎり(いや、本当にブチッて感じなんです)決して小さくはない塊をわたしの口に突っ込んだ。
口のまわりが生クリームで白くなることにアワアワしつつ、味はきちんと堪能する。……ん、待てよ。
「ふっふが、むふぐむーん!(ちょっこれって「あーん」!?)」
「そうかいそりゃ良かった」
「むふふふーん!?(通じてないし!)」
ちょっと、いやかなり暴力的で雑な「あーん」だけど、現実は政宗さんがケーキをわたしに「あーん」してくれた。
恋人同士がやる、「あーん」をしてくれた!
「(うおおおおやばい、なんか別の意味で泣けてきた!)」
頬をハムスターよろしくふくらませ、唇は真っ白のままで、ぼろぼろと涙があふれるわたしに、政宗さんはギョッとしたように目を見開いた。ああ、きっと 一気に頬張らせすぎたって後悔して、
「泣くな、俺の座布団が汚れる」
「ほっちいいいい!?!」
おまけに座布団まで奪われ、ああ本気で言ってるんだと心をズタズタにされる。
違うよね、愛する女が泣いてるのに座布団の心配って、なんか違うよね!?
ショックのあまり涙が引っ込んだわたしは、フォークを返された後、ただ黙ってケーキをむしゃむしゃと食べ続けたのだった。
「それじゃ、ご馳走様でした…」
テンションだだ下がりのわたしを見送るのは、全く気にしてない風の政宗さん。
ま、いいんだけどね。そんなつれない政宗さんも好きだし! べっ別に、あの涙で政宗さんをイチコロとか考えてたわけじゃないんだからね!! ものの失敗したけど。
「寄り道すんなよ」
「しませんてば、ちゃんと無駄なく帰ります」
「間違っても、裏門から侵入しようなんざ考えねえことだ。まだ小十郎にとどめをさされたくはねーだろう?」
「イ……イエッサー!!」
やだわ、政宗さんてば! わたしの計画思い切り見透かしちゃってるのね!!
肩をはねさせ、慌てて敬礼をするわたしに、ため息をつく政宗さん。
「俺の家で殺人は御免だ。送ってやるよ」
「ええっやったー!!」
思わぬ提案にガッツポーズをして、早速政宗さんと並んで門を出た。元々は裏門から政宗さんの部屋にこっそりお邪魔するつもりだったから、この展開はまさに結果オーライだよね!
あっという間に元気を取り戻したわたしは、政宗さんに学校の話をしながら帰路についた。基本猿飛さんのようにやかましくない彼は、相づちも少ないし自分の意見も言わないけど、きちんと話を聞いてくれているようなので、それだけで満足だ。
そしてもうすぐ我が家が見えてくるというところで、ふとケーキ店について聞いてないのを思いだした。
「あ、そういえば結局、聞いてないですよね」
「何がだ?」
「ケーキですよ。すごく美味しかったので、また食べたいんですけど、どこに売ってるんですか? 政宗さん御用達のお店だったり…」
「そんなに美味かったなら、また作ってやるよ」
「え」
………今の、言い方って。
まるで、政宗さんが作った……いや、まるでどころか、まんまじゃん。
嘘、嘘だァァァ!!
「まっ政宗さんの手作りだったんですくわあああああ!!?!! なんで! なんで言ってくれなかったんですか!!!?」
驚きよりも怒りのほうが勝る。
だってそれを知らないわたしは、何も記念に残してない。写真も撮ってないし、もっともっと味わいたかったし! 時間もかけて、幸せに浸りつつ食べたかったよ!
ていうか どんだけ照れてるの政宗さん、もっと素直になろうぜ!?
「うるせェ、近所迷惑だ」
うざったそうに眉をひそめる政宗さんに、つい反射的に謝ってしまう自分が悔しいです。
……にしても、政宗さんが料理好きで料理上手っていうのは知ってたけどさ、まさかケーキまでお手の物だとは思わなかった。夫がああもプロ並みだと、妻としては妙なプレッシャーが…あっもしや小十郎さん、こうなることを予測して、今日料理の本くれたのか!?(だとしたら、小十郎さんエスパーすぎる)
「まあ許しましょう、政宗さんのケーキがまた食べられるのならば」
「アンタに自分で作るっていう選択肢はねーのかい?」
「わたしが作っても、生ゴミが一つ増えるだけですもん」
「そうだな」
「えええ、そこ同意しちゃう…?!」
「アンタの場合は安心していいんじゃねえか? どん底から始まるならあとは上っていくしかねェ」
「フォローですよね、けなしてるわけじゃないですよね」
「Of course.」
わたしが なにげなく一歩進んだところで、政宗さんが立ち止まる。
もう目の前には、あれだけ遠かった家の表札が。
「ありがとうございました、政宗さん。また今度、遊びに行きますね」
「事前連絡を怠ると、小十郎に門前払いされるぜ」
「小十郎さんこわっ! わ、わかりました、気をつけます!」
必死に頷くわたしを見て、クククッと笑うと、政宗さんは踵をかえした。と思ったら、首だけくるりと回して、
「春休み、前田主催で旅行に行くことになった。アンタも行くか?」
「!! はっはい!」
「Ok. 詳細はまた連絡する。それまで予定入れすぎんなよ」
「任せてくださいっ! あ、前田さんにちゃんと、わたしと同じ部屋にしてもらえるように頼んでおいてくださいね?」
「じゃあな」
「すいませんでした、調子にのりました!!」
これから学校では会えなくても、こうして関われるなら、わたしはまだまだ幸せ者。甘い甘い一日に、胃の中も心も大満足です!
白い愛に溺れた日
(クールな彼の愛は、熱かった!)
そりゃ用意してるのに邪魔されたら腹立つよね筆頭。そんなわけでホワイトデーリクでした。ありがとうございました!