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「で、なんでこうなった」
真田の旦那が嬢ちゃんのあごをつかみ、メンチを切る。
だが、その中身は独眼竜だ。
本物は伊達の体を使い、剣を面白そうに振り回している(あぶね!)
「すっすみません! ほんっとうにごめんなさいでした!」
真っ青な顔で謝りつつ、助けを求めるように俺様を見る嬢ちゃん。
仕方ねえなあ。
独眼竜の肩に手をおくと、提案する。
「まー、とりあえず全員落ち着いて、整理してみようか」
きっかけは、嬢ちゃんが買ってきた飴玉。
城下におりた時に、見かけないお店があったから寄ってみたそうだ。
「で、その人が一発で『あんた恋してるね』って当てるんで、びっくりしちゃって!」
「女子全員に言ってるんじゃないのそれ」
俺様の言葉に衝撃を受ける嬢ちゃんは無視しておいて。
その飴玉は二つあり、黒と白の色をしていた。
そして、それとはまた別に嬢ちゃんが用意した飴玉が二つ。なんの変哲もない飴だ。
問題は、黒と白の飴だった。
嬢ちゃん曰く、食べた者同士の人格を入れ替えることができるらしい。らしいというのは、その店主も試したことはなく、本当がどうかは不明のようだ。
作る方も作る方だけど、買う方も買う方だよな…。
呆れたのは俺様だけでなく、独眼竜も同じだ。ただし外見は真田の旦那なので、その目つきにちょっと違和感がある。
うちの旦那、今まであんな冷たい目したことないし…!
「不可解な食べモン買って、何がしてェんだアンタ」
「え? そりゃ勿論、わたしと政宗さんを入れ替えるつもりだったんです」
「……どうするつもりだった?」
「政宗さんになった状態で すっぱだ」
馬鹿正直に話す嬢ちゃんは学習しない。
絶叫しながら(あー今度は足蹴にされてるよ)「でもでも!」と食い下がった。
「真田さんがまさか食べるとは思わなかったんですもんっ!!」
その声にびくりと反応する、見かけは伊達・人格は真田の旦那。
下心ありの嬢ちゃんとしては、飴玉四つを俺たちでわける時に、黒を伊達に、白を自分で食べるつもりだったらしい。で、何もない飴玉は俺達と。
ところが嬢ちゃんが食べようとした白の飴玉をうっかり落としてしまい、妙な優しさをもった旦那が「それがしがいただくでござる!」と白を食べ、普通の飴玉を嬢ちゃんに渡してしまったわけで。
同時、伊達の旦那も黒の飴玉を口に入れた。
そして二人一緒にバタンと倒れ、目が覚めた「見かけは伊達」に嬢ちゃんが抱きつくと、「見かけは真田の旦那」に嬢ちゃんが吹っ飛ばされたのだ。
「真田の旦那」が嬢ちゃんを蹴り飛ばした姿は新鮮すぎて、「見かけは伊達」も俺様もビックリ。しかし嬢ちゃんは茫然としていた。
『…さ、真田さ…真田さんに、蹴られた…!』
日頃暴力を奮う伊達に対しては平気なのに、旦那にされるとやはりかなりの温度差があるらしく、泣きそうな顔をする嬢ちゃん。
すると今度は、旦那が目を見開いた。ちょっと焦ってるような。
『なんで俺が真田なんだよ。見りゃわかるだ……』
『なっ!! そ、それがしがなぜ二人?!』
そこでようやく二人がお互いの顔を見て、「入れ替わり」の状況が把握できたわけ。
そして、現在。
「唯一の救いは……」
「ええ……。小十郎さんが、いないことです」
片倉の旦那は用があって奥州を出ている。
もしこの場にいれば、伊達の旦那以外は切腹ものだろう。特に嬢ちゃんの場合は、半殺しにしてから切腹になる確率が高いと思う。
青ざめた顔で「良かった」とため息をながーくつく嬢ちゃんに、思わず同情しそうになる。いや待て、元々は嬢ちゃんの飴玉が発端だから。
「嬢ちゃん、その店主は本当にわかんねえっつったの? 戻り方、なんも聞いてないわけ?」
「はい。本当に勝手ですよね、ちゃんと対処法も教えてもらえって話ですよ!」
「その前にななしが買ってこなけりゃいい話だろうが」
真田の旦那(※中身は伊達)にギロッと睨まれ、怖がった嬢ちゃんが伊達の背中に逃げる。あ、それ真田の旦那…。
「!! ななななにをななし殿!?」
「ぶはっ!!」
予想通り、旦那が「独眼竜」で慌てる姿が滑稽で、思わず吹き出してしまった。旦那の体をまとった独眼竜の睨みが恐ろしいけど、これはしょうがない。
嬢ちゃんは嬢ちゃんで興奮して、
「ムハッ! どもってる政宗さんが新鮮すぎて萌えるんですけど! やばい心臓がきゅんて!」
相手が真田の旦那だとわかっているのか忘れたのか、猿(動物のね、俺じゃなくてね)のようにはしゃぎながら、その胴体に腕を回して背中に抱きついた。
瞬間、もの凄い早さで引きはがす伊達。見かけは旦那。
さらに、はがした後、そのまま胸ぐらをつかんで背負い投げまで持ち込む姿は素直にきれいだった。それに独眼竜の気持ちはわからんでもないので、無言ながら拍手を送ってやる。
「ギャフン!!」
「てめェ……事の重要性がわかってんのか、ア?」
「そ、そんな怖い顔しないでくださいよ、さな…じゃない、政宗さん…! 普段 真田さんのキレた顔見てないから、余計に恐怖です」
その後半部分に、俺様も頷く。
人を見下すようなその目は、本人には到底できやしない。あんな目で真田の旦那に見られた日にゃあ俺様も寝込んじまうかも。
「しかしねェ、このままじゃ笑えなくなるぜ。明日には甲斐に戻らなきゃならねーし」
「む、そうだな…」
伊達の姿をした旦那が腕を組み目をとじる。その格好に嬢ちゃんがポッと頬を染め、その後ろから旦那の姿をした伊達が手刀する。
なんだこの三人。ちょっと面白いかも…いや、いかんいかん。
「二人とも、飴は口ん中には残ってないだろ?」
「うむ! あまりにも美味だったゆえ、即座にかみ砕いた」
「Yes.」
元気よく頷く伊達軍筆頭と、異国語で返事をする甲斐の若虎。
あー…やっぱ面白いわ、この光景。
「あ、じゃあこんなのどうですか?」
明るい顔で、嬢ちゃんが手をぱんと合わせた。
「政宗さんが甲斐に行って、真田さんがここに残るんです!」
「嬢ちゃん、それは身体が? 精神が?」
「精神が!(ウブな政宗さんハアハア!)」
見かけが真田の旦那は、その台詞で血管が切れたようだった。
刹那の早さで、メコッと畳に顔面を埋め込まれる嬢ちゃんに、合掌。
「なっ…!!」
目を見開いた旦那は、伊達の身体で立ち上がると動かない嬢ちゃんを抱き起こした。そして犯人である独眼竜を睨みつける。
「政宗殿、今の仕打ちはあまりに非道でござる!! ななし殿の顔が変梃になったらどうするでござるかっ!!?」
「んなもん知るか。ななしの“変梃”は今にはじまったことじゃねーだろう」
「(ひでえ…)」
ケッと吐き捨てる独眼竜(まるで真田の旦那がぐれたみたいだ…)は、赤いはちまきをうっとうしそうに払いながら言い放った。
「たとえ真田の身体のままでも、俺は奥州(ここ)から離れるつもりはねェからな」
「………ま……政宗さ…ん…」
意識が回復したらしい嬢ちゃんが、顔をあげる。
そして、発狂した。
「それはつまり、わたしとも離れたくないってことですねェェェ!!!」
全身全霊をかけて突進した彼女の腕は、見てくれが旦那の片足をがっちり拘束した。
「ごめんなさいっわたしとしたことが! そうですよね、外見なんてなんのその! 第三者の目からすれば真田さんとキスしたことになっても、わたしが政宗さんとキスしてるってわかってれば平気ですもんね!!」
「そういうこと言ってんじゃねえよ!!」
真田の旦那の声が冷たくほえる。
うつぶせ状態の嬢ちゃんの背中をげしっと蹴るが(酷すぎる)、着物のせいで滑ったらしく、さらに片足を嬢ちゃんに掴まれていた為 態勢が崩れた。
中身が伊達の倒れる先には、真田の旦那が。
「!!」
「っ、どけ!」
独眼竜の乱暴な避難命令も虚しく、驚きのあまりか動けなかった真田の旦那と、お互いの額がものすごい音を立てて激突した。
訪れた沈黙。
倒れたまま動かなかった二人は、同時に目をさまし、ゆっくりと起き上がった。
隣でウロウロしていた嬢ちゃんがそれを見て、外見が真田の旦那に涙目で駆け寄った。
「うわあああん! 政宗さァァん!!」
「ぐふう!」
「すみませんでしたァァァ!!」
そのまま飛びつくように、胴体に抱きつく嬢ちゃん。
しかし今度は、外見は伊達の旦那が忌々しいとばかりに舌打ちをした。
……お?
「はっ破廉恥でござるぞななし殿ぉぉ!!」
「え? うわっ!!」
顔を真っ赤にしたのは、真田の旦那。力任せに、胴体に巻かれた嬢ちゃんの腕をどかした。
も、もしや!と感づく俺とは逆に、嬢ちゃんは驚くばかり。
「あ、あれ? 真田さんが真田さんみたいな反応だ…」
「っつーことは、戻ったってことじゃない?」
「え! マジですか?!」
確かめるように、旦那と伊達に視線をよこす。
「うむ、そのようでござる!」
「みてーだな」
「う……うわあああっまさむガハッ!!」
今度は文字通り、伊達の旦那に突撃するも、その顔面を片手で阻止され撃沈する嬢ちゃん。こりねえな本当。
ま、なんにせよ、元に戻って良かった良かった。これで明日、安心して甲斐に帰れるし。
「でも残念だったね、旦那。もうちょっと独眼竜の身体でいたかったんじゃな~い?」
こそっと意地悪に聞いてみれば、真田の旦那は焦ったように「そっそんなわけあるわけがない!」と否定したけど、いやー実に無意味。
きっと伊達と嬢ちゃんの攻防戦は、仲良く戯れるようにしか見えていないんだろうな。見つめる視線は、やはり羨ましそうにも感じる。
「あ、なら今度は俺と嬢ちゃんが入れ替わってみようか。で、俺の姿した嬢ちゃんが甲斐に行く感じで」
「それはならぬ!! 佐助は佐助のままで甲斐にいるべきだ」
「即答かよ! 何々、俺様ってそんなに重要な役?」
ちょっと嬉しい気分で尋ねれば、真田の旦那は至極真面目な顔で言い放った。
「違う! ななし殿になれば、お主の場合、必ず良からぬことをするはずだ。そのような所業、断じて許すわけにはいかぬ!!」
「俺の脳みそ嬢ちゃん級?!!」
くっそ、期待して損した!
「こんな職場、もうやだ!」
「え、猿飛さん転職するんですか? ああ猿に退化ですか、おめでとうございます!」
「もう許さん、今夜アンタの寝首かく」
苦労人フォーエバー
「政宗さんと真田さんが入れ替わったヒロインの反応」リクでした。ありがとうございましたー☆