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旦那ってば男のくせに何やってんのと佐助に呆れられながらも自分の手は止まることなくせっせせっせと団子を作っていく。あの人のことをひたすら考えながら、愛しく思いながら、女中に頼み込み、大の男が台所を貸し切っている。これほど滑稽な光景はないのであろう、佐助は口端をあげている。しかしそれに構っている暇はない。奥州に出かけるのは明日だ。彼女の為に自分の手で作った団子を差し上げるというのはなんと素晴らしいことか。
この傷だらけの、ゴツゴツした指で作った団子が、あの女性の口に入り、のどを通り、胃で消化され、やがて血となり肉となる。それを考えるほど肌に粟を生ずる。まぎれもない興奮だ。まるで自分が彼女と一体になったような、大げさなほどの感動を得られずにはいられない。ああ、早く、早く明日になってほしい。あいたい。この目であの姿を、存在を見て確かめたい。考えれば考えるほど、今度はため息がでてきた。
愛しの人といつも一緒にいる、あの眼帯の男だ。いつも彼女を邪険に扱っているくせにずっとそばにいて離れなくて、自分のように近づいてくる男を片っ端から始末しているくせにそれを気づかせないなんて、なんとも狡い人間ではないか。きっと彼女は男のそんな醜い暗い面などまったく知らないのだろう。甲斐から自分の指示で毎日の行動を監視されこちらに筒抜けだなんて、それこそ。
しかし最近帰ってくる忍の数が減っているので、おそらく伊達政宗に見つかり始末された。それしか考えられない。それでなぜ甲斐に攻めてこないのか、それは甲斐の忍だという確証を残されていないからだ。それにもし攻めてきたとしても理由が「自分の女が監視されてるから」なんて、そういった私情をあの男が許すわけがない、あの竜の右目が。だからこそ自分はなんの躊躇もなく次から次に忍をあの女性の周辺に放つ。
これほど自分の身分を恨んだことはない。本当なら自分がずっと彼女のそばにいたい。それができない、だから手元においているという錯覚が起きるほどの近況報告を呼び寄せる。佐助は自分の部下が次々に死んでいってもこっちを責めることはなく、俺様は旦那の部下だからねぇ……と こぼすだけだ。多分いいのだろう。むしろ構わないのだろう。申し訳ない気持ちより感謝の気持ちがはるかに上回る。
しかし先日、腕の立つ忍を、監視ではなく伊達政宗の寝首をかかせにいったのに、これも帰ってこなかった。勿論忍ごときにあの男の首がとれるとは思ってもいないが、傷一つくらいはつけられるはずだ。それもできないで、甲斐の忍としてこの先生きていくのであれば、名のある武将に斬られて死ぬほうがまだいい。しかしそれは忍からすればいいのだろうが、こちらとしては情けない話だ。奥州を正面から攻め滅ぼすのは難航するに違いないし、何よりあの方に幻滅されるか嫌われるか絶望させてしまうか、どちらにしろ非常に良くない関係に陥るだろう。それだけは嫌だ。
だから今は彼女が好んでいる「いいひと」を演じる。それは伊達の前でもだ。お互いが女一人の為にお互いを殺したいほど憎んでいる。国だの天下だの一切お構いなしに。しかしその女が、自分も相手も好いているのなら、悲しませたくない。さらにその彼女の感情は、非常に悔しいことに伊達政宗へのほうが強い。もし今伊達政宗が死ねば、か弱いあの人は後を追うか悲しみに暮れて自分を見失ってしまうかもしれない。それだけはいけない。それは自分も奴も避けたい、だから彼女の前ではいい好敵手気取りをしてやっているのだ。そうでなくては目の前に彼女が立った瞬間その細い腕を引いて頭をつかんで唇を寄せて抱きしめて着物を脱がせて肌を直に触りたい衝動が止められるはずがない。
それができないから、きっと今日も。団子が作り終えれば、彼女を想い、夢で会えることを願う。
「佐助」
「何? 旦那」
「伊達政宗は、いつ死ぬのだろうな」
「…簡単にゃ死なないよ、あの男は。余程強い誰かが、殺さなくちゃ」
「……そうか。そうだな……それも時機がくれば…」
「(…………)」
この世で一番物騒な団子作り
(何時になったら
貴女は夢の中の
貴女のように、
溺れてくれる?)
超短文ですが続きのBADエンドあったり。
真田さんが殺っちゃいます、グロいので注意!
読みたい方だけご覧ください。
体が熱い。動きすぎたのか、周りの熱に体温が上がっているのか、両方ともなのか。
周りが暑いのは佐助が、次から次に放った炎が気温をぐんぐんとあげていくからだ。先程まで鬱蒼とした森にいたはずが、紅蓮の炎に焼かれ、あたりには何もない。ただ少し遠くに、火をまとった城が見えていた。
その城主は、今、己の前に倒れ伏している。虫の息だ。対する自分はどうにか二本足で地面を踏めている。
これから伊達政宗が死ぬ。勝負に負けたのだ。勢力の勝負に。
そしてななしをかけた、男と男の勝負に。
息を切らしながら、一歩、また一歩と伊達政宗に近づく。
「貴殿が死ねば、ななし殿はそれがしのものだ」
耳まで届いたのか、たまたま痙攣しただけなのか、指先がぴくりと動く。
「まだ、死んでいないのだな」
しぶとい、と眉をひそめ、赤い得物を振りかざし、動いた指を勢いよく裂いた。そこから血が勢いよく吹き出る。しかし意外にも痛みにもだえたり声をあげないので、その気力すらないようだ。
「死ねばそれがしを見てくれる」
惜しいのは、奴がうつぶせのため、今どういった表情かがわからないことだ。しかしわざわざ触れて体を仰向けになどしたくもないし、そんな力は流石にこちらにもない。
もはや独り言のような状態に、そろそろ終止符を打つとしよう。
「だから、死ね」
ざくり。
心臓のあたりを目で探し、背中のその部位を突く。そうしていったん抜き、また別の場所へ、しかしまた背中へ得物を刺す。
ざくり、ざくり、ざくり、ざくり、ざくり。
地面がどんどん赤黒くなる。それでも怖かった。伊達政宗は死んでも死なない男だと聞いたことがあったからだ。とどめをさしていても、とどめでなかったりするのではないかと。だから刺すのを止められない。奪われたくない。奪ったものを奪い返された時ほど悔しく悲しくむなしいものはないから。
「ななしどの、は、ななし、は、それがしの、おれの、ものだ、」
もはや少しも動かない物体に、それこそ延々と槍を突き刺し続けた。
狂った愛と破滅のメロディ
きっと彼女は喜んでくれる今までのように微笑んでくれる。
すみません、ヤンデレなら真田さんですみません。