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番外・現パロなど様々

夢小説設定

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ヒロインのお名前

 


 ある日、城を散歩していた時だった。ぶらぶらと廊下を歩いていると、一度素通りしたけれど、よくよく見ると扉があることに気づいた場所があった。ちょうど腰の高さに小さなくぼみがあって、そこに手をかけて右へスライドさせると、あっけなく開く。何があるんだろうとドキドキしながら部屋を見ると、なんてことのない、物置小屋だった。お酒や巻物が棚に置いてあるだけだ。


「なーんだ」


 すぐに閉めようかと思ったけど、暇だしこのまま通過してもやることがないので、わたしは右、左、右を確認してから、小屋に入ることにした。









「………で、これがあったんです」


 政宗さんの前にドンと瓶を置いて反応をうかがうと、「なんだそれ」とつれない返事。それはこっちの台詞なんですけど(でも許す、政宗さんだから!)


「それにしても、なんでまたそんなもん持ってきたんだ……俺の仕事を増やさねえでくれるかい」

「そんな面倒くさそうな顔しないでくださいよ! だって妙でしょ、これだけ文字がへんてこなんですもん」


 物置小屋にあった、瓶には日本語や漢字で文字が記されてあった。でも、この瓶だけが日本語でも漢字でもない、幼稚園児がつくったような象形文字が、瓶に直接石か何かで削って記されてあるのだ。

 そこで小十郎さんがいない隙に政宗さんの部屋へ入り込み、現在問いただしてみたわけだけど。どうやら政宗さんも知らない、謎の物体みたいだ。


「もしかしたら政宗さんのご先祖様がもらったものかもしれないですね。外国からのもらいもの? はたまた密輸?」

「アンタは俺らをなめてんのか」


 えへ、冗談ですよう、とスマイルを浮かべないと政宗さんのスープレックスが発動しそうだった。あっぶない、政宗さんはこういうブラックジョークNGなんだよね…!

 政宗さんはわたしのスマイルに落ち着いたのか、それとも呆れて相手にしないことに決めたのか(絶対前者だ! 前者!)視線を瓶へとうつした。そしてなんの躊躇もなくそれをひっつかむと、蓋を力任せに引っ張る。その直後ポン、と軽い音と共に、蓋はとれた。


「ま、政宗さん!? そんな簡単にとっていいものなんですか、それ?!」

「No problem.……薫りは悪くねェ」


 クンクンと鼻を瓶の入り口によせる政宗さんに続き、わたしも嗅いでみる。ふーん……わたしからすれば酒臭い以外の何物でもないけど。どうやらにおいからしてお酒みたいだ、お父さんが飲んでたビールを思い出すもん。ということは発泡酒?(いや、まずこの時代に発泡酒があるのが不明だ) わたしがそうやってくびをかしげている間に、政宗さんは机にあった杯を手にとると、早速注いだ。

 げっ何この色?! ピンクじゃん、これでビールの臭いってどんだけー!(……このネタって今でも通用するのかな)


「……あの、無用心なわたしが言うのもなんですけど、政宗さん、あまりにも無用心すぎじゃないですか?」

「何言ってんだ。毒があるかねぇかくらい、てめえの鼻でわかる」

「(あ、さっきの行動か……)」


 そういえば、なんだっけ、冬に現代に戻った時、政宗さんのことを調べて……あ、そうだ。政宗さんは小さい時大変な思いをしてて、多分その影響で確認できるんだ。うーん、わたしってばほんとに馬鹿だなあ…政宗さんが無用心なわけないじゃないか。

 自己嫌悪に陥っているわたしにまったく気づかない政宗さんは(もうこの人完全にお酒を楽しんでるよ、わたしなんか眼中にないよこれ)杯に注いだお酒を、ぐいっと呑みほした。くう、いい呑み方しやがるぜっこの色男!


「………ななし

「なんですかマイダーリン」

黙れ。……呑んでみるか?」

「え、」


 いやあでも……と渋ろうとしたわたしの目に映った光景は、政宗さんが差し出す杯。それもただの杯じゃない、政宗さんが口につけた杯。


「いっただっきます!!」

「おい、まだ注いでねえぞ」


 おっとわたしとしたことが、先走ってしまったぜ! 「ウキウキ♪ワクワク☆ドキドキ!」といろんなポジティブな感情が半ば興奮状態となって現れ、思わず政宗さんに引かれてしまう。それでも「一応少なめな」と言われ注がれたお酒をこぼさないように、わたしは政宗さんと間接キスできる場所を血眼で捜した。


「あ! あった! ここだ! いっただっきまーす!!」

「……………」


 政宗さんに冷えた目で見守られながら、わたしはお酒をゴックン!と飲んだ。




 
  




「……………」

「……………」

「…………」

「…………」


 なんだ、これは。

 徐々に、だがしかし時間をあまりかけることなく、ななしが縮む姿を、ただ眺めることしかできなかった。


「…………」


 最初は、目の錯覚かと思った。しかしよく見れば、ななしの、ただでさえbaby faceなのに、その形がどんどん丸っこくなっている。そして気づくと、身にまとっていたはずの着物に、ただ単にくるまっているだけの少女へとなり、


「……まさむね…ちゃん」


 当の本人は、俺を指さして、たどたどしい口調でそう言うだけだった。声もいつもより高い。

 ……なんだ、これは。

 とりあえず………このgirlは、本当にななしか?


「...Ah...Are you」

「あー? あーゆう?」


 どうやら今のななしには、異国語は通じないようだ。


「…ななしか?」

「うん!」


 元気よく答える姿はやはりななしで、思わず笑う。それを見て、ようやくななしも笑顔を見せた。そして俺のところまで小さな足でかけてくると(着物がずり落ちそうだ、あぶねえな)躊躇なく飛び込んでくる。どうやら俺のことは覚えているようだ。


「…にしても、一体何が起こってんだ…? ななしがこんなにちっこくなっちまって」

「ねー!」


 同意してんのか、単に明るいだけなのか、声を張り上げるななし。気のせいか、普段のななしと変わらねえな……。

 体にななしをしがみつかせたまま視線をさまよわせていると、瓶が目に入った。……やはり、考えられるのはコイツか。だがそれなら何故、俺はこんな風にならなかったんだ? 口にした量もコイツより多い。疑問を浮かべながら瓶をつかみ、削れた部分を見る。ななしが短い腕をのばして瓶を欲しがるそぶりをするが、コイツに渡すと状況が悪くなるのが目に見える。ついいつものくせでななしを放ろうとしたが、今のななしはする気にならない。


ななし、俺の言うことを聞け」

「まさむねちゃんの?」

「ああ、そうだ。そうすりゃ、すぐに元に戻る」

「なにがもどるのー?」


 ……どうやら自分がどんな状況か把握してねえようだ。黙り込んだ俺を無視し、尚も瓶に手を伸ばすななしは、俺を覚えていること以外は、行動も思考回路も、すっかりchildに戻ってやがる。…まあ、何もかも知らねえよりははるかにましだが。


「ねーねー、ちょうだい!」

「…残念だが、今のアンタにゃやれねえ。これが欲しかったら、成長するんだな」

「どうやって せーちょうするのか、わかんないもん」


 今度は駄々をこねるななし。悪ぃがこの際無視して、早く戻す方法を探さなくては。


ななし、悪ぃがちいとばかし大人しくしてくれ」

「やーだー! あそぼーまさむねちゃん!」

「………やっぱアンタ、ちっさくてもでっかくても変わらねーな…」


 ………こうなったら、後がどうなっても構わねえ。小十郎を呼んで相手をしてもらおう。そう思ったが、やはりこの事態を小十郎や家臣に広めるのは抵抗があった。あまりななしを見ないようにしているが、今のコイツはたとえガキだろうがななしだ。着物を邪魔そうに巻いているだけの。それで他の男に元に戻る姿を見られるのは、まずい。


「まさむねちゃん」


 結局 俺とななしで解決するしかない。ため息をつくと、ななしに背を向け、以後そいつからの呼びかけを無視して、瓶とにらみ合いを始めることにした。


「ねえ、まさむねちゃん」

「…………(この文字、ただの象形にも見えるが…)」

「……まさむねちゃん…」

「…………(いや、これは ようく見りゃどっかで…)」

「………」

「…………(たしか、余所の国が宗教を広めにきた時…)」

「………」

「…………(あれか?)」


 瓶を左手にもつと、右側にあった棚から適当な巻物をとり、外側に記された文字を見た。…どうやらいきなりhitしたようだ。こいつぁ落書きのようだがどっかの国の文字だ。ということはこの瓶に掘ってあるのも文字ということになる。問題は解読だが、このtitleと瓶にある文字はほとんど同じだから訳はそう難しくねえはず…………… ……?


「…………」

「……どうしたななし


 何やらおかしいと思ったら、ななしが後ろで口を「へ」の字にまげていた。確実に機嫌を損ねている。


「……まさむねちゃん、ななしのこと、いや?」

「Ha?」


 相変わらずchildの…否、ななしの思考回路は理解できねえ。俺が間の抜けた表情を浮かべても、ななしは暗い顔で畳を睨むようにしていた。


「だって、ななしのこときらいでしょ」

「……すねてんのか」

「すねてない! まさむねちゃんがわるい!」

「おいおい、落ち着きな」


 部屋で地団駄を踏むななしは今にも泣きそうだ。どうやら俺の対応はななしのtypeからすりゃ非常にまずいものらしい(shit,女中は呼んでも良かったかもな)

 上手い台詞も思いつかないまま、俺は瓶と巻物を手から離して、すぐにななしの手を引っ張った。そんなに離れていなかったななしは突然のことに、抵抗ができずすっぽりと俺の胸におさまった。


「わっ!」

ななし、悪いが我慢してくれ。アンタを戻す為なんだ」


 な、と小さな頭に手をのせ、できるだけゆっくりとなでてやる。こんなこと今までに誰にもしたことがねえから、力加減がわからねえ。だが、あれだけ騒いでいたななしが急に静まったので、気付かれないように息をついた。ああ、疲れる。


「…まさむねちゃん」

「なんだ」

「なんでもどすの?」

「……なんでかって?」

「うん。もどさなくても、ななしななしだよ」

「………そうだな」


 そんなの百も承知だ。むしろ見かけだけが変わっていて、中身はまるで変わっちゃいねえ。我が侭で自由奔放で無駄に明るくて、俺にべったりで。


「でしょー」

「ああ。けどな、一つだけ、ななしがchildだと問題があるんだ」


 ななしが不思議そうに俺の顔を見上げるが、俺はなんでもないように口を開いた。


「今のアンタを嫁にすると、世間が黙っちゃいねーだろ?」




 
  




 なんでだろう、お酒を呑んだ途端気分がホワホワして、すごくテンションが上がった気がする。で、政宗さんとどうしてもたくさん遊びたくて、でもいつも通りスルーされて。そしたらいつもは気にしないのに、なんでかその時はすごくムカッてして、イライラして。

 そこから記憶がないんだけど、とりあえず、気が付いたら政宗さんの胸におさまってました。


「………ほ……ぎゃああああっっっっっ!?!!」


 ななななんばすっぺらどぅあ!!!
 いいい意味がわからん、いや嬉しいけど!! 絶叫した後すかさず政宗さんの背中に腕を回そうとしたらその前に畳に叩きつけられちゃったけどっ!!(うわーん痛い!)

 ていうかアレッ、なんでわたし着物こんなに乱れてんの?!


「ちょっと政宗さん、背中向けてないで説明してくださいよ!! あれっわたしお酒呑んでどうなったんでしたっけ?」

「『その通り』だ。酔っ払って散々暴れて、俺に愚痴こぼして、sleepしてその様さ」


 日頃から政宗さんに身体を捧げるとかセクハラ発言をしてるわたしだけど(自覚してますよ! 自覚してる上で発言してますよ! えっ尚更悪い?)実際好きな人の前でこの乱れようはまずいし、何より恥ずかしい。アワアワと、政宗さんがこっちを見てないかチェックしながら着物を着直す。最も、政宗さんは何かの巻物と瓶を手にとり、黙って部屋を出ていっちゃったわけだけど…。わたし置いてけぼり。ていうか答え聞いてないですよ、なんでわたし政宗さんの胸におさまってたの?!


「ちょ……政宗さん?! 待ってくださいよおおおお!!」


 着物を直すと、わたしは部屋を見回すことなく、すぐさまふすまを開けて廊下に出た。

 だから気付かなかったのだ、政宗さんが紙切れを畳の上に放置していて、その紙切れには解読した文字が書かれていたことを。


『愛の告白:女性用』










メッセージ・フロム・フラミンゴ
女性にしか効果のない、愛の告白がないと元に戻らない、というお酒……そんなものあるかァァァ!! ……でも書いちゃいました。それでは幼児化リクありがとうございましたー♪
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