本編
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目の前に、武田信玄と若い青年が二人。そしてこっちには、政宗さんと小十郎さん。大広間で、五人は向き合っていた。
堅苦しい雰囲気だなあ、誰もしゃべらないし・・・と思っていると、青年のうち一人が、肩をコキコキと鳴らしてこっちを見た。オレンジ頭に迷彩柄の衣装が目立つその人は、わたしと目が合うとニッと笑う。それにつられて、わたしも微笑んだ。やっぱ、あっちもつまんねーとか思ってたんだ。親近感がわくけど、いったい誰なんだろう?
「単刀直入に言うぜ、武田信玄。何しに来た」
政宗さんは武田さんたちを睨みつけるようにしてあぐらをかいている。あんな目で見られたら、わたし泣くね。武田さんたちはどうなんだろうと見てみたら、普通に流していた。三人とも怖がらずに平然と腰を降ろしたままで、すごい。さっきの青年とまた目が合うと、今度は手を振ってきた。なんか面白い人だなあ。こっそり笑いながら、手を振り返す。でも、それがいけなかった。
「Hey,ななし」
「ハロー、ミスター政宗」
ブラックスマイルを放つ政宗さんにあっけなく見つかる。部屋に戻るように言われていたわたしは、どうしても三人が見たくて結局見に来てしまっていた。無言で小十郎さんに首根っこをつかまれ、わたしはズルズルと広間に入る。でもこれで遠慮なく武田の皆さんが見れるわ!(ケガの功名? 違うか) 政宗さんはあっけにとられる武田さんを無視して、わたしを隣へ座らせると、頬をぎゅーっとつねってきた。
「やっぱり、アンタにゃ『Wait』は無理だったな」
「あだだだだだ!! いだだだだ! ちょっ、て てかへんしてくだは・・・! ふーか ふいませんでひた!」
必死に謝るわたしに、政宗さんはパッと手を離すと、あぐらをかいていた膝に肘をつけて、その手にひたいをつけた。頭が痛いというポーズに、わたしはフォローを入れる。
「わたしは犬じゃなくて人間ですからね。政宗のことを考えると待てなくて、来てしまいました」
「しまいましたじゃねーだろうが。アンタは本当に腹が立つな」
「憎しみでもいいから、わたしを覚えておいてください。わたしは永遠に政宗さんの中で生き続けますから」
「即行で忘れてやる」
小十郎さんがわざとらしく咳をする。それに落ち着いた政宗さんは、わたしから前の三人に視線をうつした。あっ、さっきのオレンジ頭! 口元をおさえて、声を上げるのを必死に我慢しているらしい状態は、わたしの怒りを買いました。でもそんなわたしは小十郎さんに首をつかまれている状態で、動けない(チクショーーー!)
話は、なんだか難しい口調ばかりでよくわからなかった。簡単に言うと、どうやら同盟を組みに来たらしい。この先上杉軍(会ってみたいなあ!)と戦う時にも、援軍として参上してほしいとか、そのぶん武田軍も、奥州が攻められた時は応援に来るとか・・・・・・。黙っていたわたしにもよくわからない条件が次々と出されていったけど、ここの人たちはみんなわかってるんだろうか(特にオレンジ頭) うちの大将・政宗さんは勿論わかってるに違いない!
「・・・Okay.この同盟乗ってやろうじゃねェか、なあ小十郎?」
「政宗様が是と仰るならば」
「よし、決まりだ! よろしくな、武田軍」
「うむ!!」
おお、なんか目の前で凄いことになってる気が・・・! 一国と一国が同盟を組むって、こんな感じなのかな。実際は印鑑とか書類とか色々あるんだろうけど、後でやるのかな。わたしは少し感激しながら、政宗さんの横顔に見惚れていたり武田の衣装をチェックしたりしていたけど、それも少しのことだった。突然、オレンジ頭じゃないほうの青年が立ち上がったかと思うと、
「うおおおおおおおお館さぶあああああ!!」
絶 叫 し た 。</b>驚いたのはわたしだけで、オレンジ頭は「あちゃー」と頭を抱えて、政宗さんと小十郎さんは口元がひきつっている(=キレている) 赤いハチマキに赤い衣装の青年は、くりくりとした大きな瞳で(わ、わたしより可愛い目してる・・・!)武田さんを尊敬のまなざしで見ている。
「さすがお館様!! あの伊達政宗殿と同盟を見事組むとは! この幸村、感動で視界が歪みまするう!」
「(歪むって、泣いてるじゃん・・・) あのー、政宗さん。あの人って・・・」
「おい真田幸村、今の言葉ちょいと引っかかるんだけどなァ」
あっ、政宗さんも立ち上がった。わたしの台詞を無視して立ち上がった(ショックだけど、名前わかったからいいか) かと思えば、真田さんめがけて座布団を投げつけた。それに目が光ったかと思えば、幸村さんも応戦する。ついに「「この野郎!」」と取っ組み合いになった二人(子供かあんたらは!)を止めに、オレンジ頭と小十郎さんが腰を上げた。
武田さんはというと、素知らぬ顔で茶をすすっていた。ううん、さすが年の功というべきか。
でもまあ、とりあえずは一件落着というわけで!(お互い傷だらけだったけど) 武田さんたちはこの夜、城に泊まるので、騒ぐのが大好きな政宗さんは宴を開くことにした。
この困ったチャン!
それぞれがそれぞれをどう呼ぶのかがわからない・・・!