本編
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やばい。
私、マジでやばい。
隣で猿飛さんがどうでもいいことを喋るのを適当に聞き流しながら、私はため息をつくしかなかった。
昨日、真田さんはあくびし放題の私を連れてあの呉服店に向かった。着物を買うためだ。
それにしても思うんだけど、甲斐の朝は早い。奥州よりも早い。何しろ朝から真田さんの鍛錬する声が城中に響くのだ。けっこう騒音なんだよ、真田さんのかけ声は。その上、こっちに来てから楽しいことばかりでてっきり疲れて眠りやすいかなと思いきや、興奮しすぎて夜眠れなくて、結局「今日寝て今日起きる」パターンになってしまったという・・・不覚!! 夜更かしはお肌の敵なのに!
「真田さん。真田さんは夜、よく眠れるほうですか?」
「夜? そうでござるなあ・・・眠るほうでござる」
突然の会話だというのに、少しななめ前を歩く真田さんはすぐに答えてくれた。なんという人なんだ。やばいぞ。昨日から真田さんの株があがりっぱなしだ。何しろ真田さんは乱暴なことをしない、暴言をはかない、人を馬鹿にしない、まったく悪いところがない。強いてあげるならやかましさだけどね。でもそれさえ今は「真田さんらしいよね☆」で自分の中でおさまってしまう。ノオオオ政宗さんんんん!!! 危ないですよあなたの妻がどこの馬の骨ともわからぬ男に気持ちが揺れ動いてますよ!!
「!(はっ! そんな時こそ!!!)」
慌てて袖口から二つ折りのケータイを出す。今じゃあ時計代わりにしかならないけど、もう一つ使い道がある。
ぱかっと開ければ、待ち受けに政宗さんのニヒルな顔。フォルダ名「ダーリン」を開けばすべて政宗さん。
充・電・完・了!!!</big>
「助かった・・・まじで助かった・・・!」
「ななし殿、もうすぐでござる」
「あ、はーい」
ケータイの存在はあまり出さないほうがいいと思い、私はすぐにしまった。はあ、やっぱり政宗さん好きだわ。やっぱりツンデレ加減がいいもの。真田さんはツンデレの行動さえわからないほど素直というか裏表がないというか不器用というか、そーこらへんの駆け引きは楽しくなさそうなのよねえ~・・・って、何このオバサン口調は!? 落ち着け私、甲斐にいるのはちょっとなんだから。明日のお祭りが終わればすぐに奥州帰りなんだから。大丈夫、すぐに政宗さんに会える。だから、決して真田さんに
「ギャッ!!」
考えすぎて、土にうまっていた石につまずきドタンとこけた。ちくしょう、コンクリート使えよ!とむちゃくちゃな事を思った私の前には、真田さん。
ぽかんとしている間に、私の肩をつかむと、真田さんはあっさり立たせてくれた。
「大丈夫でござるか、ななし殿。ここの道はあまり整備されておらぬゆえ、お気をつけくだされ」
「は、はひ・・・・・・」
・・・・・・頼むから真田さんにドキドキしないでくれ。
そして、翌日の今日。甲斐は待ちに待ったお祭りで、城下がいつにも増してにぎやかだ。真田さんは何か仕事があるそうで、夕方までには戻ると言ってた。今はお昼過ぎ。とっても暇だ。
そこで城下の様子が見える廊下に座り、その景色をぼんやり眺めていると猿飛さんがやってきて「聞いてよ嬢ちゃん」とぺちゃくちゃ愚痴を言い出し、現在に至るわけで。
「そんでさー、俺が親切に助けたらそいつなんて言ったと思う? 俺に助けられるとはなんたる恥だってさ!」
「そうですねー」
「そうですねって嬢ちゃんひどいよ! いやいやでもさ、あの時すっげー危なかったんだぜ? 普通助けたら礼くらいするだろ」
「そうですねー」
「だよねー、なのにお礼もなしに去ったんだそいつ。あーもう、俺様 人間不信になっちゃいそー」
「ハッ、猿飛さんに言われたかァありませんけどね」
「なんでここだけはっきり反応するんだよアンタ」
もしかして俺様、女の子にモテにくいのかな・・・と真剣に考える猿飛さんを完全に放置し、私はため息をついた。
万が一。万が一にも、この祭が何か真田さんの格好良さを見てしま・・・・・・
『尻軽女ってなァ これを言うんだな』
「ならんわァァァ!!!」
「ギャアアアアアアアアア!!! ちょっ何ほえてんの!?!!」</b>
小十郎さんの台詞を思い出し、思わず叫んだ。言われた時はさすがにショックだったけど、こっちに来てからは逆だ。政宗さんから言われるならともかく、なぜに小姑が。なぜ小十郎さんから尻軽女呼ばわりをされにゃならんのだッ!
でも、思い出して良かった、かもしれない。冷静に考えると、多分これは違う。真田さんに対するのはLIKEだ。真田さんといてもドキドキしないし、どちらかというと男友達として接してる。まあ男友達いない私が言うのもなんですがね!
「フッ・・・認めたくないものだな。自分自身の若さ故の過ちというものを」
「あれっなんか嬢ちゃんの背後に仮面かぶった人・・・? なんだ、俺様つかれてんのか」
猿飛さんが目をゴシゴシこする。私はそんな彼に「お疲れ様です」と機嫌よく声をかけた。
やっぱり、ななしは伊達政宗を愛しています。誰よりも! ・・・・・・ここで政宗さんが涙しながら「ななし・・・!」なんて言ってくれると名場面シーン戦国バージョンなんだけどな。
ヴォとキの違い
すいませんたいして知らないのに名言つかってすいません・・・!