本編
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浴衣を買うのは明日だから、私と真田さんはまた明日、と店を出た。くう~、今からワクワクしちゃう! 政宗さんてばどんな反応するのかな。小十郎さんは100%わかるけどね。
「絶対、馬子にも衣装か似合ってねーのどっちかだな・・・」
「ななし殿、如何致した?」
「いえいえ、なんでもござらんですよ」
うっかりうつってしまった語尾に、思わず二人で笑いそうになった。残念な事に真田さんは笑顔じゃなくて、微笑だったけど。
ていうか、私といる時の真田さんって全然熱血じゃないよね? どうしてだろう。猿飛さんや武田さんや政宗さんといる時はすっごーく熱血でうぜえ・・・とか思ったほどなのに(あ、つい言っちゃった)
それなのに、甲斐で私といる時は全然うざくないし熱くないし。現在も、私より数歩先に出て無言で歩いてる状態です。
・・・・・・あ、・・・もしかして。
「真田さん、帰りませんか?」
「ななし殿?」
びっくりして振り向く真田さんに、私も驚いた。ええええだって、
「つまらないでしょ、私といても。だから城に帰って鍛錬とか・・・」
「何を申される?!」
「えっ!?」
とたんに、真田さんが熱く語り出した。
「それがしはななし殿と居て楽しくないと思った時は微塵もないでござる!!」
「うあ、ありがとございます・・・でも、」
「・・・?」
「なんか、私の前だと全然熱くないんですよね・・・真田さん」
「熱く、ない?」
「ええ、まあ。真田さんらしくないというか、いや、ないです」
きっぱと言った台詞に、真田さんは少々ショックを受けたようだった。公衆の面前だというのに、地面に思いきり膝をついて手をついて、・・・・・・何、この落ち込みようは・・・。
げ、もしかして言い過ぎたかも。毎日毎日政宗さんに直球ストレートで(告白を)言うもんだから、躊躇なく言っちゃった。
「・・・・・・あ、あーのー、真田さん・・・? すみませんでした・・・」
「・・・ななし殿は、それがしが熱い方が良いでござるか?」
「え」
すいませんマジで言葉につまりました。だってなあ、政宗さんみたいなクールガイは好きだけど、ホットにホットをかけたような真田さんは正直・・・。でも、だからといって大人しい真田さんのほうが良いというわけじゃない。
なんだかんだいって、やっぱり、真田さんは熱い方が似合うというわけだ!!
「そりゃもう! だって熱血してないと真田さんじゃないし、静かな真田さんといるよりうざ・・・テンション高い真田さんといたほうが楽しいですもん!!」
「そうでござるか・・・!!!」
拳をぎゅうううっと握りしめて、ゆっくりと立ち上がる。立て、立つんだジョー!!と言いそうになったのを慌てて飲み込む。
やがて二足歩行になった真田さんは、さっきとは打ってかわって、目に炎をたぎらせている。
お、おお・・・・・・真田幸村だ・・・!!
「行くでござるななし殿!」
「え! どっどこに?!」
「団子を食べに」
ぽかんとして、真田さんの元気な後ろ姿をながめるしかない私。いやいや変わりすぎでしょう真田どの。落ち込みやすい性格かと思ったけど、案外サバサバしてるのね・・・。まあ、いちいち気持ち引きずらないあたり真田さんらしくていいけど。
そして私がついてこない事に気づいた真田さんはわざわざ戻ってくると、強引に手をつないで走り出す、・・・わけもなく。
「ななし殿が満足する事間違い無しの団子でござるよ」
そう言って、自信満々に笑ってみせた。
あ。
やばい。
「(不意打ちだ、熱血男のくせに!!)」
あれあれ、あれ~~?
「嬢ちゃん、なんか旦那おかしくねえ?」
「あ、お猿飛さん」
「むかつく丁寧語だねそれ。名前に『お』は付けなくていいから」
夕方、城に戻ってきた真田の旦那と嬢ちゃんは状態が正反対だった。旦那は行く前より数倍は元気だけど、嬢ちゃんは行く前より数倍疲れてらっしゃるみてーで。
旦那についてこれる女の子は、嬢ちゃんしかいないんだろーなー(つか、旦那が一緒にいれる女の子が嬢ちゃんだけだろ)
「いつもの旦那だったら、嬢ちゃんといる時は借りてきた犬みたいに大人しいくせに」
「それを言うなら猫でしょ、・・・でもまあ、真田さんの場合犬だけど」
緊張しすぎて、嬢ちゃんの前じゃあ熱くなれなかったはずなのに、一体何があったのやら。でもまあ、悪くない事だし、微笑ましく見守っておこうかねえ。
「あ、でもはじめは全然熱血じゃなかったですよ。一般人みたいな」
「え、嘘。旦那が一般人とか、え、嘘」
「ホントです」
一部始終を聞いた後、ああ、成る程ね~と理解できた。ていうか天秤は本当に困っただろうな彼女。一般人と化した旦那か、うるっさい旦那か、なんて、思いきり究極の選択だろ? まあ俺様だったらうるっさい旦那じゃないと面白くないからなー。
「それで、嬢ちゃんの言う旦那笑顔計画はどうなったの?」
「あー、あれですか・・・」
困ったように眉をひそめて、嬢ちゃんはため息をついた。そして、真面目な表情で拳をぎゅっと握る。その拳を顔の横に持ってくると、「不覚!」とばかりに歯をぐっとかみしめた。
「もう無理かなって諦めてたんですけど、・・・・・・最後の最後に、どんでん返しでした」
「はあ?」
復活!熱血男
好きな人の前だと熱血になれない、そんなウブなところを表現したかったわけです。