本編
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真田さん達が政宗さんに報告に行っている間に、私は早速準備をすることになった。急な予定だけど、嫌いじゃない。私はこういう準備がすごく好きで、ワクワクするのだ。たとえるなら、遠足にそなえてお菓子そろえたり前日なかなか眠れなくて当日「なんかあまり楽しくなかったなあ」と拍子抜けする子供みたいな(さみしいな私・・・)
奥州のお祭りはそんなに遅くない。でも甲斐の方が祭の日が早いそうだから、間に合うだろう。もし猿飛さんだったらすごく疑ってたけど、真田さんが言い出したなら、信じれる。よくわかんないけど、なんでかなー。ま、いいか。今は準備、準備。出発は明日の朝だから、今日は早く寝なくちゃ。
「えっとー、日記と、一応ケータイと・・・」
「おいななし」
「! こ、小十郎さ・・・! ノックしてくださいよ、レディーの部屋ですよ!」
「お前はとりあえずレディーじゃねェよ。それにさっき真田の奴はしてなかったじゃねーか」
「真田さんはいいんです」
「はあ? どういうこった、そりゃ」
「え、別に。なんとなくです。それに真田さんとか生粋の日本人は、ふすまノックとかそんなマナー知らないだろうし」
「おい、真田が生粋の日本人とはどういう意味だ。俺はどうなんだオイ」
「あだだだだだ!!!」
小十郎さんは私の頭をわしづかみにすると、ぐりぐりと回した。くっそー、いつもいつも暴力振るいやがって・・・! やっと解放されると、私は荷物を抱えて素早く小十郎さんから遠のいた。
それを一瞥すると、小十郎さんは私から顔を背け外の景色に視線をうつした。そして私の顔を見る事なく、問う。
「お前、なんで了承したんだ」
「え? ・・・だって、」
「日頃 政宗様のことばっか言うくせに、今は真田か。尻軽女ってなァ これを言うんだな」
「な・・・!」
その言い方にムカッときた。まるで私が男好きみたいじゃない。
だいたいOKをしたのは、政宗さんが即答で承諾したからだ。政宗さんが断ってるなら、私は絶対に 行かなかった。そう言い返そうとした私より先に、小十郎さんが声をあげる。
「政宗様はな、お前が行かねーと――――断ると思ってたんだよ」
「・・・・・・え」
マジでか。
「わざわざ自分が断らずとも、ななしが自分で言うだろうってな。ところがどうだ、この有様。真田が上機嫌で報告しにきた時、政宗様がどんな思いで聞いたと思う」
「・・・・・・・・・」
答えられない私に、小十郎さんは文句を言わなかった。静かに、指示する。
「・・・明日、出発なんだってな。お前、政宗様と会わずに行け」
「・・・! ど、どうして」
「どうして、だと?」
小十郎さんが本気で怒ったのを見るのは、もしかしたら、初めてかもしれなかった。顔は決してこっちを向かなかったけど、背中だけで、私を睨み付けている感じがする。
けれどそれは一瞬のことで、小十郎さんは私をみるのをやめ、一歩 ふすまの方に歩き出した。
「お前はな、いつもそうなんだ。一方的につきまとって、それで満足。政宗様の事なんざ、なんも考えちゃいねェ。さっきだって、政宗様が断らなかったのが悪い、と思ってたんじゃねーか?」
「・・・・・・」
「それでも政宗様は、お前を気に入っているようだが、・・・俺は、それが我慢ならねェんだ。覚えとけ、ななし」
小十郎さんは一気に言って、去っていった。
「お前が相手にしてんのは、奥州をまとめる大名で、ただの『男』じゃねェんだよ」
翌日、私は小十郎さんに言われた通り、政宗さんに会わないようにして、真田さんの馬に乗った。
泣きたくはならない。だって真実だから。
「ななし殿、大丈夫でござるか? 目の下に隈ができて・・・」
「大丈夫です。すごく楽しみで、眠れなくて」
えへへ、と照れ笑いする私に、真田さんは「そうか」と 深く追求することなく馬を出した。
あ、やばい。泣きそう。
姑の本音に戸惑う嫁
あれっあれっ、なんだこれ・・・!