本編
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「Go away.」
「一目見ただけで?!」
城に戻り、政宗さんと目が合ったとたんに言われた。出ていけって、ちょっと・・・!! へこむわたしを見て、政宗さんは「ハアー」とため息をついた(色っぽい!) いつきちゃんはわたしの背中を優しくなでてくれる。ああ、本当にいい子ですね!
「女の子に、冷たいことを言うなんて最低だべ! お侍とはいえ、言っていいことと悪いことがあるだ」
「えっ、いつきちゃん 今の言葉わかったの?」
「いんや。でも、ななしが落ち込んでるから、悪いこと言われたに決まってるだ」
「いいの気にしないわ、わたしにはいつきちゃんがグハッ!!」
親衛隊かと思えば、政宗さんに草履を投げつけられていた。酷いです、政宗さん。いつきちゃんを抱きしめようとした手が空を切り、あれっと思えば彼女は政宗さんの目の前まで迫っていた。うわあああ 明らかに怒ってる!! わたしなんかのために怒ってくれてる!
「・・・もう、許さないだ。やっぱりおめーさんは、ななしが言ってた通りの極悪人だべ!!」
「・・・ななしが、俺のことをなんだって?」
「!!」
しまった。
サッと青ざめた時には、政宗さんはニヤニヤと、冷たい目でこちらをご覧になっていた。隣の小十郎さんも、わたしを「コノヤロウ」と睨んでいた。うぎゃあああ数分前のわたしのバカァァァァァ!!! いつきちゃんがいなかったら、わたしは二人にボコボコにされていたに違いない。あれっ、いつきちゃんを守るはずが守られてない? わたし。
「チッ、面倒なことになったぜ・・・」
「ななしと農民を会わすと、こうなることは目に見えてましたからな」
「だから俺ァ、わざわざ城下に行かせたっつーのに・・・。Hey,ななし. 待てやコラ」
ズカズカと、いつきちゃんを通りこして、逃げようと廊下に這っていたわたしの頭をつかむ政宗さん。痛いです! でも近くにいて嬉しいです!(いや、わたしマゾじゃないからね) すんませんすんませんと謝り続けると、政宗さんはわたしの背中に腰を降ろした。酷い!!
「いだだだあああ! 何してんですか政宗さんん!! 背骨が折れる!(こんなんじゃ、近くにいても嬉しくねーよ!)」
「いっつも、アンタは俺の計画を台無しにしてくれるよな・・・」
呆れた目でわたしを見下ろすと、政宗さんはそのままの状態でいつきちゃんを呼んだ。そして、親衛隊の出した紙を読み、フンフンと頷きながら、それを小十郎さんにも渡す。真面目な雰囲気で、みんなが真剣な顔つきなのにも関わらず、どうしてわたしは背骨を心配しなくちゃいけないんでしょうかね。
「読んだら、さっさとななしから離れるだ。さもねえと、おらだって黙っちゃいねーべ」
「アンタが今まで黙ってたことがあったか? ・・・まあいい、床に座るよりは心地良かったからな。また借りるぜ、ななし」
「これだけは御免被ります」
いつきちゃんが言うこの紙の内容は、ずばり年貢。去年は豊作だったから今まで通り納めることができたけど、今年は凶作のようで、稲があまり育ってないらしい。だから、年貢を少なくしてほしい、という頼みだった。
政宗さんはいつにない真剣な表情で(カッコイイ! と叫んだら小十郎さんにはたかれた)農民のみなさんを見た。口を開いて、出てきた答えは「しゃーねえ」だった。
「ただし、減らすのは今年だけだ。来年からは通常通りだからな。Do you understand?」
「わかっただ。今年はたまたま天気が一年中悪かったせいで、来年からは大丈夫だかんな。みんなも、これでいいだべか?」
「いつきちゃんがいいなら、おら達何も言わねえ」
「来年は、今年の分も頑張って豊作にしてやるだよ」
いつきちゃん御一行は政宗さんの返事を持って、城を出た。わたしはお見送りで、(恐らく見張り役の)小十郎さんと一緒に城下に降りた。ちょうどお昼時で、わたしはみんなと一緒にご飯を食べたかったけど、「一刻も早くみんなに知らせてやりたいだ」といつきちゃんに断られてしまった。しょうがないか。
「また来てね、いつきちゃん」
「勿論だよ! ここに来るのは、はじめ嫌だったけども・・・ななしがいるなら」
「いつきちゃん・・・!!」
今度は遠慮なく、ぎゅっと抱きしめる。そして、お別れの挨拶と一緒に、御一行は城下を去った。
「小十郎さん」
「なんだ」
「政宗さんのこと、少しは見直してくれたでしょうかねえ・・・」
「ったりめーだ。そうじゃなけりゃあ、俺がぶっこんでいってやる」
「やめてください、それは」
そして城に戻る帰り道、小十郎さんはふと口を開いた。
「そういやななし。ぽちはどうした」
「え?」
「お前が連れてったんだろ、城下に。政宗様がそう命じたそうじゃねーか」
顔に似合わず、小十郎さんはものを育てるのが好きだ。野菜であれ、犬であれ。可愛がっている犬がいないから、小十郎さんは心配してるんだろう。でも、わたしはそんな考えまで頭が回らなかった。
・・・・・・記憶が正しければ、たしか、いつきちゃんを抱きしめるために、ポチを・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
そんなわたしの顔色に、小十郎さんは気づき、そしてフルフルと震えた。
「・・・ななし」
「ひいいいっっ!!! ななななんんでごござりましょう!」
「見つけるまで、帰ってくんじゃねーぞ!!」
「はいいいいい!!!」
not逃亡、yes捜索
小十郎さん大好きなんで登場。