本編
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そして一段落したところで、タヌキちゃん捕獲作戦会議が開かれることになった。といってもメンバーはアニキ政宗さん小十郎さんとわたしだけ。あまり公にしたくないみたい(城下の人はみんな知ってるけどね!) タヌキちゃんはあの巾着袋を気に入ってるから、よほどのことがない限り捨てたりはしない。すぐにここに来てほしいんだけど、タヌキちゃんがわたしの元へやって来るのは月に1回あるかどうか。つまり気まぐれで来るものだから、わたしから会いに行けるはずもない。巣がどこにあるのかさえわかんないんだから、役に立てなくてなんだか申し訳ないなあ。
「小十郎、喉が渇いた」
「畏まりました」
小十郎さんが出て行くのを見届けた瞬間、わたしは政宗さんの隣をゲットする。久しぶりに並んで座ってることになんだか感動してしまう。いつもいつも小十郎さんが邪魔するから! ななし、と政宗さんが呆れた声を出すけどわたしには全く効果無し。
「政宗さん、また腕大きくなりましたね!」
「!!」
「・・・やめろ、客人の前だっつってんだろうが」
腕にぎゅっとすがりついたけど、するりと引き抜かれてしまった。何照れてんでしょうかね、うちの旦那は。一方長曾我部さんは(心の中ではこう呼ぶことにする)唖然とわたしたち 伊達夫妻を見比べている。ああ、そうか。まだ正式に紹介されてないもんね、わたし。そこで正座をしなおし、畳に三つ指をついて丁寧に頭を下げる。以前 政宗さんに厳しく指導されつつもマスターした礼儀作法だけど、まさかここで使うことになるとは!
「改めまして、長曾我部元親さま。わたくし、伊達政宗の妻ななしでご」
「誰が認めたんだ オラッ!」
「ギャア!」
おぼんを持った小十郎さんに蹴りつけられ、わたしはシクシクと政宗さんとの間を空ける。酷い、本当に酷い。その空いた場所に小十郎さんがお茶を置き、長曾我部さんにもお茶をすすめる。けれどわたしの分がなかった。小十郎さん?と目配せをしたけど、本人は大きく視線をそらす。コノヤロウ。
「アニキ見ました? こうやって毎日わたし2人に酷い虐待うけてるんです!!」
「ああ・・・まさか、独眼竜はともかく片倉の奴まで女をいじめているとは」
「長曾我部、誤解してんじゃねえ。俺がやってんのは教育だ」
「そうか」
「簡単に納得しすぎですアニキ」
非難の目を向けると、長曾我部さんが苦笑いして「後で聞いてやっからよ」とわたしの頭をなでた。この人頭をなでるの好きなのかなあ。でも自然と気持ちが落ち着くもので、わたしは渋々了承してさがることにする。
「独眼竜、話 戻してもいいか?」
「OK.コイツのこたァほっとけばいい」
「いや、俺の策はななしを使う」
「・・・わたし、ですか?」
今度はわたしがポカンとする番だ。長曾我部さんは不敵に笑っている。
「ななしを餌にして、タヌキをおびき寄せる!」
Oh!
流石アニキ!
成程!
とか、称賛の嵐が相次ぐ中、わたしたちは完璧に忘れていた。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・ななし、大丈夫か」
「こ、れ、が、大丈夫なわけある・・・へっぶし!!」
今の季節は冬。それもしんしんと雪が降り積もっている真っ最中で。雪が降っている時点で凍えるはずなのに、どうしてわたしは着物一枚で突っ立っているんだろうか。死ぬよ、凍え死ぬよ!! 花も恥じらう乙女が今まさに凍死寸前だよ! こうして話している間にも雪は積もっていって、今では足首を越える高さにまでなっている。なんでだろう、傘地蔵思い出してくるよ・・・。傘地蔵はみの身につけてるし傘をもらったからいいけど、わたしは傘さえもらえやしないよ・・・。
「政宗様、ななしは『大丈夫なわけある』そうです」
「ほう、そりゃ良かった」
「何 信じてるんですか政宗さァァん!! 目の前で未来の妻が死ぬのに! どう見ても大丈夫じゃないですよ、大丈夫なわけないですよー!」
夫の助けを求めておりますー、と叫んでも随分後ろにいるあの人には届いてないらしい(いや、届いても無視してるだろうな・・・) 仲の良くない男たちがいたらタヌキちゃんが来ないかもしれないという理由で、政宗さんと小十郎さんは茂みに隠れているのだ、厚いコート(のようなもの)を着て。神様、この米沢城に今すぐ矢の雨を降らせたってください。できれば茂み集中攻撃で。
「政宗さん、アニキは!?」
「あー、アイツなら風呂入ってるぜ。んなことより、どうだ狸は!」
「・・・・・・・・・」
アニキ。
短い間でしたが本当に兄貴のようで楽しかったですありがとう、さようなら!
「長曾我部ェェェェ!!!」
雪に埋まって凍死…しそう
タイトル思い浮かばなかったので募集したネタを使用、提供者さんありがとうございました!