本編
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長曾我部さんは客間に通され、政宗さんは鎧を脱ぎ、小十郎さんはわたしの見張りとして隣で腕を組み、そしてわたしは長曾我部さんと政宗さんの横顔をながめる位置にある。なんだこれ、何かの裁判でもするんですかね。
「本当に広いんだな、おめーの城はよ」
「アンタの『城』より地面が安定していて住みやすいぜ」
「・・・? 小十郎さん、長曾我部さんのお城って地面が安定してないんですか?」
「・・・・・・・・・・・・ななし、後で話してやるから今は黙ってろ」
まさか船のことを言ってるとは思わなかったわたしは、大人しく想像するだけにしておいた。天空の城なの? でもあれはちゃんと安定してるしなあ・・・。城を建てた場所の地盤がゆるいとか? あーなんか面倒なことになってきたぞ・・・。ていうかまず長曾我部さんがなぜ海賊をしているのかがわからない。お金に困ってるのかな。自分の世界に入っている間、2人の話はどんどん進んでおり、小十郎さんに「おい」と頭をはたかれてようやく政宗さんと長曾我部さんの視線に気が付いた。もしかして口に出してたのかも!
「わたしのことは気になさらないでください! 空気と思って結構です、できれば酸素多めの」
「ハッ! そのpersonality(性格)で空気ぶるつもりかい」
「ななしが空気だったら、濃すぎて窒息死するぜ俺」
「2人とも酷くないですか小十郎さん」
「いや、立派な正論だと思うが」
なんでだろう、わたしを人間として見てくれた長曾我部さんが今では野生動物として見てる気がするんだけど。この城に入ったせいかな。それとも政宗さんが何か吹き込んだんだろうか(あっ、なんか可能性高そうだ!) 「畜生・・・!」とそっぽを向いていた頭を小十郎さんがつかむと、思いきり政宗さんのほうに回す。グキッと嫌な音がした。ギャアアアア折れたよこれ!! 立ち上がったわたしは小十郎さんに指をつきつけた。
「ドメスティックバイオレンス以上ですよこれは! 訴えてやる! このッオーバーオー すいません」
政宗さんが鞘に手をかけたのを見て、すぐに正座するわたし。斬られるのだけは勘弁だ。やっと静かになったか、と政宗さんは呆れたように呟き、そして言った。
「あの狸は何処へ行った?」
「は? なんでたぬきちゃんが・・・」
「アンタの飼ってる狸が、俺の落としモンを盗っちまったんだよ」
「ええ!」
やっぱり噂は本当だったのか、・・・って、あれ? 真珠は小十郎さんに渡したはずだけど。わたしがそれを言う前に、長曾我部さんが頭をかきつつ口を開いた。
「あー、まァ アレも一応探してたんだが、俺が最も大事なのは真珠じゃねえ。真珠入れてた巾着袋だ」
「・・・真珠より巾着袋? 言っちゃ悪いですけど、豪華って感じじゃなかったですよ」
「おうよ、作ったのは職人じゃねえ、仲間の親だからな。素材が粗末なのは当然だ」
・・・・・・うーん、話がややこしくなってきてないか? とりあえず整理すると、長曾我部さんは落としてしまった巾着袋と真珠を探しにやってきた。でも真珠より巾着袋が大事。なぜなら巾着袋は職人から買ったのではなく、仲間のお母さん(だよね、お父さんが巾着袋作る時代じゃないだろうし)がプレゼントしてくれたものだから。あ、なんか簡単だ。
「長曾我部さんのお母さんが作ってくれたんですね、その巾着袋」
「は? アンタ話聞いてんのか。仲間の親だ、仲間の」
「・・・! な、仲間のためにわざわざ自ら足を運んでると!?」
「うおっ、なんだその剣幕・・・! 当たり前だろーが、仲間の家族は俺の家族だからな」
感動した。
こんな男・・・いや漢が政宗さん以外にいたなんて!! 頭が一人の為に 物探しをするなんて考えられなかった。こんな男気のある人が海賊なんて犯罪者になってるのは惜しいけど、でも海賊だからといって冷酷なわけじゃないもんね。麦わら海賊団がその例だし。わたしは長曾我部さんの大きな手をがっしりつかむと、目を輝かせて言った。
「あのっ、後で紙渡すんでサインください!!」
「は・・・? さいんだァ? 俺持ってねーぞそんなもん」
「あとわたしで良かったらなんでもいいんでッほんとお手伝いさせてください!」
「お、おう! 手伝いなら大歓迎だ!」
首をかしげていた長曾我部さんはわたしの協力宣言に顔をほころばせた。わたしの手を力強く握り返し、「よろしくな!!」と笑う。わたしもそれを見て満面の笑みでこたえた。
「こちらこそ! あと、アニキって呼んでもいいですか!!」
「良いに決まってるだろーが! はっは こりゃいい、女の仲間が初めてできたぜ!」
なんだかこの人、外見とは違ってとっても気が合いそうだ! わたしはアニキ、アニキと連呼したのち彼によって天井でぐるぐると振り回されることになる(力持ちすぎだろーーーーー!)
「見ろ小十郎、バカ3人組の残りがそろってる」
「そうですな、政宗様(・・・真田幸村とななしと長曾我部元親か・・・) それにしても、・・・・・・」
「あァ? なんだ」
「いえ、なんでもありませぬ」
(・・・・・・ななしが俺と政宗様以外になつくのは、長曾我部が初めてじゃねーか?)
強敵現る?
男は甲斐漢は四国という感じが・・・。