本編
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ディスプレイのカレンダーを見れば、3月に突入。今度はひな祭りという行事を広めなくては・・・というなんだかよくわからない使命感に燃えてしまうわたしだけど、何かが引っかかっていた。うーん、なんだろ。
悶々と考えていると、部屋に久しぶりのタヌキちゃんがやってきた。おお、何ヶ月ぶりだろ・・・! 2ヶ月ぶりくらいかなあ、と顔をデレデレさせながらタヌキちゃんを出迎える。可愛いタヌキちゃんは子犬のように目の前にちょこんと座り、わたしを上目遣いで見る。ウオオ、なんてパワー・・・! わたしにも欲しいなそれ、と思って、それからフワッとにおうものに気がついた。
この薫りは・・・海の・・・・・・? 毛皮をなでたけど、海に行ったなら塩がついているはずが、まったくベタベタしていない。
なんだろう、この薫り・・・・・・。
「あれ? なんか・・・食べてる?」
口をモグモグと動かすタヌキちゃんの口端に、何かのヒモが垂れていた。少し取り合いをしてから(タヌキって顎の筋力凄いんだね・・・!)見事勝利し、そのものを手に乗せる。巾着袋だった。それもかなり小さい。手のひらサイズみたいだ。
・・・うん、この薫りだ。海独特の潮が鼻孔をくすぐる。冬なのに海に行きたいと思ってしまう。
それから、さっき見えたのは、巾着袋のヒモだったみたい。タヌキちゃんが落ち着かない感じでこれを見上げるので、不思議に思いながらも返してあげることにした。その際、巾着袋が何かに引っ張られるようにして、わたしの手から落ちた。
「・・・なんだこれー」
コロコロと転がったのはビー玉だった。コロコロと転がってくる。ああ、もしかしてタヌキちゃん、これが欲しかったのかも。
はい、とビー玉を目の前に見せるけど、タヌキちゃんの反応はイマイチ。それなら、と何も入っていない巾着袋を見せるとそれを口にぱくっとくわえ、またさっきと同じように口をモグモグさせる。食べるものじゃないんだけど、食べるつもりもないようで、かむことを楽しんでいるみたい。おかしなタヌキー、と笑っていると、床につけていた手に、転がってきたビー玉が当たった。
ビー玉は普通の大きさで、2つあった。すごく小さい巾着袋だから、2つでいっぱいいっぱいになっている。でも普通、ビー玉といえば色々な色があるはずなのに、この2つは純白だった。キラキラしてるけど、わたしは透明で、中に赤いヒモみたいなのが入ってるほうが好きだなあ。
まあいいか、とりあえずこれは・・・・・・・・・
「・・・どうしよう」
巾着袋に戻すにしても、今度はタヌキちゃんの行動が勝った。きびすを返すと、あっという間に逃走。って、おいィィィ!!!
「ちょっとこれ! ビー玉どーすんの! タッ、タヌキちゃあああああん!!!?」
慌てて走り出し、廊下に出る。と同時に、壁がいきなり現れた。ブッと鼻をぶつけて、泣きそうになる(痛い!!)
「い、だ・・・!」
「朝からギャーギャーわめいてんじゃねえ」
「ま、政宗さん!」
珍しいこともあるもんだ。朝からわたしの部屋に来るなんて。
「ななし」
「はい、なんですか ア・ナ・タ☆」
「・・・やめてくれ、その悪魔みたいな表情」
「酷ーーーー!! て、天使の微笑みと言ってくださいよ!!」
「(無視)さっき狸がいたのか?」
「え、あー、はい」
まあね、あれだけ絶叫しておけばわかるよね。
「・・・何持ってた?」
「え」
ギクウ!! さすが政宗さん、鷹の目(あれっ海賊?)はあなどれませんね・・・しょうがない、右手に握っていたビー玉を見せるか・・・。
「狸だ。何か加えてなかったか?」
「え? あ、ああ・・・。そういえば巾着袋持ってました」
それから、このビー玉が中に・・・・・・。
わたしはその言葉が言えなかった。
「Thanks!!」
え。
「・・・・・・・はっはい~~~!!!」
もうダメ、政宗さんにお礼言われただけでメロメロになる。だってお礼言われるのって年に何回あるかどうかもわからないし!!(ほとんどが怒られてます)(あ、視界がかすんできた)
そのせいで、わたしはビー玉のことが言えずじまいだったし、政宗さんもすぐに走り去ってしまった。
「・・・・・・あっ、そうだ!!」
いきなり、わたしは思い出した。
2月3日、節分を忘れていた。
「・・・・・・ま、いいか」
別にこの時代に鬼なんかいないし(いつの時代もいないけどね)、むしろ政宗さんが鬼だから豆まいたら彼が城に入れなくなる(これ内緒でお願いします!)
鬼なんて、いるわけないない!
ビー玉の正体これいかに!
タヌキちゃんの行動で何かが変わる。