本編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
朝が寒いけど、この間みたいに小十郎さんに起こされるのは二度とごめん。そんなわけで、早起きはした。でも、寒い。囲炉裏とかコタツとかカイロとかあったらいいのに。政宗さんの部屋には火鉢があるのにね、ずるい・・・あ、そうじゃん。政宗さんの部屋で暖まろう。
思い立ったが吉日というかなんというか、政宗さん関連になるとわたしの行動は素早い。パッと着替えてちょっとオシャレして(旦那さまにお目にかかるんですもの!)少しだけ明けたふすまから顔を出し小十郎さんが見張ってないかチェックしてようやく廊下に素足をつける。つ、つめてえ!
「靴下ってありがたいものだったんだな・・・! 政宗さんから足袋もらおうかな」
でも足袋って歩きにくいしすぐぬげるから苦手。でも足が冷えると夜 寝付きにくいし。うーん、と考えていても、政宗さんの部屋を前にするとその悩みが吹っ飛ぶから、やっぱり政宗さんはすごいと思う。
いつものように「まっさむーねさぁぁぁん!」とハートをびゅんびゅん飛ばして突撃してもいいけど、あれじゃあ抱きつくことができるのは少しだけ。その後すぐに吹っ飛ばされるから、今日はやめておこう。よし、それなら今日は「大人しいななし」でいこうかな! 普段とのギャップにもしかしたらあの政宗公もキュン! とかなるかもね、ゲヘヘ!
ふすまの前で正座をすると、わたしはすそをピンと直してから、目の前のものに手をそえた。
「誰だ」
げっ、しまった。名前言うの忘れてた(いつものわたしであれば騒音と共に走ってスパァンと開けて入るから、政宗さんはわかってるんだろうな) できるだけ平静を装い、わたしは普通の声の大きさで「ななしです」と言う。
「・・・・・・(あれ?)」
・・・・・・返事がないんですけど。さっき政宗さんの声がしたから、部屋にいないというのはあり得ない。
「・・・ま、政宗さん?」
聞こえてないのかなー、でも「大人しいななし」でいくんだから、自分から開けたりもう一度名乗らないで、黙ってこのまま待ってよう。寒いけど! 激しく寒いけど!!(あれ、激しく寒いってなんだ? 頭混乱してきた)
くしゃみをしそうになった時、突然ふすまが開いた。そして目の前に政宗さんの足、見上げれば政宗さんの顔。なーんだ、ふすま開けに来てくれたのか。やったね、「大人しいななし」作戦大成功!
「Welcome.」
妖しく笑む政宗さんの真意に気づかず、わたしは嬉しそうに(ていうか実際嬉しいしね!)立ち上がると、大人しいまま部屋へ入った。振り返ると政宗さんがふすまを閉めたところで、その笑みは相変わらず企んでいたもの。・・・・・・な、なんだ。
「ななし」
「は、はい」
「Good morning,」
「グ、グッモーニン・・・!」
今更 挨拶ですか政宗さん。まあいいや、わたしは第二の目標に集中してるから。あの火鉢が、今、ちょうど2メートル先に・・・! あったかそうだなドチクショー! 政宗さんばっかりこんな目に・・・いや当たり前だけど。奥州筆頭だし。
とりあえず、ごく自然に火鉢に寄って座ろうとしたけど、それは無駄だった。歩き出したところを政宗さんに止められ、えっと思う間に後ろから抱き込ま・・・れ、てる?
!!!!!
えっちょっ待・・・! えええええええちょっとォォォォォ!</b> 何、なんだこの状況?! 前には火鉢、後ろには政宗さん! ワオ体が火照ってきちゃった(変態じゃないから普通に暖かくなってきただけだから)
「大人しいななし」を演じているわたしでも、これは耐えられない。今すぐ体を回転して抱擁したい。
「ま、政宗さ・・・!」
「何かあったのかい」
「・・・へ? ていうか政宗さんがどうしたんですか? 今すぐ抱きかえしてもいいですか?」
「・・・・・・ククッ。はじめは偽者だと斬り捨てようとしたんだけどな。・・・どうやら本物らしい」
「き、斬り捨て!?(あ、だからさっき返事しなかったのかな?) わたしななしです」
どうやら「大人しいななし」作戦は思った以上に効果があるみたい。政宗さんはわたしが何かあったせいでしおらしくなったと思ってるのか、いつも以上に優しい。だああもう本当素敵すぎる。妻のために優しく接する夫、これほど素晴らしい愛情表現はないと思う。
ドキドキしながらも、どこか心地よさを感じる。好きな人に抱きしめられたらテンパるはずなのに(いや、はじめはテンパったけど)だんだん落ち着いてきて、この時間がずっと続けばいいのになあ。
お互いがそのまま無言で、火鉢の中で炭がパチパチと音を立てて燃えていて。
ああ、しあわ「起きやがれななし!!!!」
「ホギャアアアアア!!!」
アアアアアア</b>・・・・・・あ?
「・・・・・・あ、れ」
目が開いた。あれ? あれ? ここはどこ? え?
「おい、目ェ覚めたか」
「こ、小十郎さん!」
いつの間に!! と驚くと同時に、小十郎さんからおでこをはたかれた。寝起きに痛い!
「って、え? 寝起き?」
「オメーと政宗様、そろって爆睡してたんだ」
ぐるりと見渡せば、ココは政宗さんの部屋。そしてわたしの目の前に火鉢が置いてあって、その後ろに政宗さんが頭を抱えて起きあがっている。
「・・・・・・何してんだアンタら」
「それはこちらの台詞です政宗様! 換気もせずに炭を処理せぬまま・・・! ななしと倒れていたのですぞ!」
「倒れてただァ?」
「えええええ!! 嘘ッ、だってさっきわたし政宗さんとラブラブしてました! 抱きしめられました!」
「・・・・・・!(夢の内容・・・)」
「それは夢だ。俺がここに来た時二人でしかも離れて倒れてたんだ。それに政宗様がそんなことなさるはずがねえ、特にななしに対して」
「・・・・・・」
「おいい! 小十郎さん、世の中には言っていいことと悪いことがあるんですよ!!」
「事実でも言ってもいいことと悪いことがあるんだな、そいつァすまねえ」
こ、この減らず口が・・・!! 小十郎さんはわたしを部屋から追い出すと、「お前は外で雪合戦してろ!!」と命令して、そして部屋に戻ってしまった。一人で雪合戦できるかアアア!!
「くっそう・・・! こうなったら小十郎さん似の雪だるま作って粉々に砕いてやる・・・!」
頑張るよわたし! 愛に障害なんてつきもの、特に姑! 絶対に勝ってみせますからね政宗さん!
「まったく、アイツの妄想癖にも参ったもんだぜ。心中お察しします」
「・・・・・・」
「・・・・・・政宗様?」
「おい小十郎、アイツの今 着てたもんの色、なんだった?」
「は? 薄い藍色でしたが」
「・・・・・・(色、一緒じゃねーか・・・)」
夢か現か
書いてる本人も意味がわかりません(オイ)