本編
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やばいです。これはギャグとかそんなの求めてる場合じゃないです。とりあえず、状況を一言で。
トンネル(という名の失神)を抜けると、地獄でした。
「奥州で殺すのは、あんたで10人目だ。記念に盛大に斬ってやるぜ」
あー、どうせならずっっっっと倒れたままのほうが良かったかも。
・・・とりあえず状況を簡単に説明すると、男に誘拐されたわたしは、森の中で目が覚めてすぐに殺されそうになっているというわけです。理解しやすいですか? そうでしょうね、わたしはこんな状況認めたくないんですがね!(涙)
「な、なんでわたしを・・・! わたしが何をしたっていうんですか」
「安心しな、あんたは何もしちゃいねえ。ただ、俺の目に止まった、それだけだ」
「!(超救いようがねええええええ!!)」
理由もなしに殺されるって一番やだ!! ていうかそんなもん絶対にお断りだっての!!
誘拐の時に頭を殴られたため、頭痛がガンガンとするけど、わたしはゆっくり立ち上がった。逃げてやる、絶対に。そして政宗さんの所まで逃げ切ってやる!
「なんだ、諦めねーのか?」
「当たり前です・・・!」
「・・・おもしれー」
ニヤリと笑うと、いいぜ、逃げろと了承された。捕まったら絶対に殺される。わたしはすぐさま走りだし、男の足音に恐怖することになった。
そして現在。
「まっ政宗さァァァァァァん!!」
男の足音が消えたので、わたしは森を抜けようと頑張っていた。でも、全然抜けることができない。むしろ深いほうにどんどん歩いてる気がする・・・。政宗さんに会いたい、タヌキちゃんに会いたい、小十郎さんにみんなに会いたい。今まで死ぬ気で走ってきた足もくたびれて、今のわたしは情けない姿だと思う。
怖い。真っ暗なココで、男に斬り殺されるなんて。そんなのやだ、なのに、どこかで諦めている自分がいる。はあ、と息をつくと同時に、泣きそうになってきた。うわっ、やべー泣いたら止まらないのに。
「ううーーー・・・」
うなって、恐怖をできるだけ怒りに替える。イライラしたら泣く場合じゃないし、いざという時のパワーも発揮できる・・・はず。まだだ、わたしは政宗さんと一緒にいるんだ。こんなところで(しかもあんな男に)殺されてたまるかっての!! くっっそおおおおお! と叫んで、わたしは歩き続けた。今度は背後にも気をくばって、恐怖に負けないように。
「政宗さん、わたし、待ってますから・・・!」
政宗さんがいたら、頑張れるから。わたしは小十郎さんと同じくらい、政宗さんを信じてるから。タヌキちゃんが政宗さんの所へ行ってることも信じてる。信じないのは、今から自分が死ぬこと。まだまだ、わたしはやることがある・・・・・・
ヒュッと音がして、わたしは神経質になっていたおかげでそれを避けることができた。
「チッ」
「・・・あっ・・・・・・!」
ぞくっとする。さっきまで感じなかった、というか男が出していなかった、殺気。政宗さんの殺気のほうが凄いけど、あれはわたしに向けられたものじゃない。今の殺気は、わたしに向けられたもの。それだけでわたしは力が抜けそうで、必死に立ち続けた。
でも、甘かった。男はきっと何人も殺してきているはず、こんなに簡単に斬るんだから。片足を丸ごと斬られそうになったけど、石につまずいたおかげ(?)でそれはなかった。でも、空をきったそれが、少しだけ斬っていった。痛い。重要な部分が斬られたわけじゃないから走れるだろうけど、それは男が許してくれなかった。無言でわたしの前に立つと、刀を構える。
・・・これは、ヤバイ。
「・・・じゃあな、お嬢ちゃん。俺を恨むなよ」
「・・・・・・!!」
ハア、ハアと呼吸がうまくできない。でも、最期の絶叫は、腹の底から出てきた。
「政宗ええええええええ!!!」
キイイィィン!!
刀と刀が交じる時の音が、目の前であった。
王子様来たる!
恐怖するヒロインもアリかと。