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祝言。
わたしの一年の目標はこの2文字に決まっていた。
ぶっちゃけ、一年の目標というか、常時である!
「政宗さん! 祝言で必要なものはわたしが用意しますからね!」
「そうかい。ところで、どこのどいつがpartyするのか俺に教えてくれるかい?」
わたしを自分の部屋に入れないためなのか、障子から手を離さず立ちふさがるマイダーリン。
知ってるんだからな!! めちゃくちゃ忙しいの!!
でも政宗さんと会話したり触ったりしてもらわないと、わたしも限界なんだ!!
「え、やだなあもお~! わ・た・し・た・ち!に決まってるじゃないですか」
すかさず抱きつこうと政宗さんの腕に両手を伸ばした瞬間、その腕を逆に回された。
結果、スカッたわたしは畳にダイブした。安心してください、これが普通です。
むしろ部屋に入れました、ミッション達成です!!
「面白いjokeだな」
「何照れてんですかっ! そんな吐き捨てるような口調されても、わたしがよけーに喜ぶこと知ってるくせに!!」
「……(早く小十郎こねーかな)」
内心で政宗さんが小十郎さんを乞うているとはつゆ知らず、わたしは部屋から見える外の景色を指さした。
最近まで雪が積もりに積もっていたけど、お日様による働きのおかげで、今は残っていない。
きっとお花さんたちも、そろそろ咲いてやろうかと本腰入れたころだと思う。
そんな冬と春のはざまの外は、きっと気持ちいいはず!
「まあ祝言はさておき、外はいい天気ですよ! お散歩に行きませんか?」
「この仕事が片付いたらな」
机上に置かれた巻物たちは、素人から見てもだいぶ時間かかるくらいの厚さ、そして数だった。
燃やしちゃえばいいのに……いや、冗談ですけどね!
とにかく、政宗さんは仕事を理由にわたしとのデートを断ったわけですハイ。
「さみしーなァ! ウサギと女の子は、さみしいと死んじゃうんですよ?」
「大丈夫さ、アンタは両方とも当てはまらねー立派なabnormalだ」
謎の太鼓判を押され、気づけばわたしも部屋から押し出されていた。
シット!!
♪ ♪ ♪
「こじゅーろーさん!」
「その呼び方はやめろ。ぶっ刺したくなる」
「なにで!? ゴボウですか、刀ですか?!」
案の定、畑仕事をしていた小十郎さん。
冬を乗り越えた野菜たちへの優しいまなざしが、わたしを見た瞬間憤怒の形相となる。
人間ってコワイネ!
「政宗さん、お正月から働きづめじゃないですか? それでも右腕ですか?!」
わたしから噛みつかれても、小十郎さんは涼しい顔をして言い切った。
「仕方ねぇだろう。俺じゃあできねーことが山ほどある。あの方にしかできない仕事が、な」
「ハイハイ! じゃあわたしにしかできない仕事は!?」
「簡単だ。黙って正座してろ」
以上、とばかりにわたしに背を向け、畑天国へ戻っていきやがる小十郎……さん。
舌打ちをしたかったが、そうなると大体展開は見えてくるので、心の中で済ませておきました。懸命な判断です。
あれ以降、ななしは俺の部屋にあまり顔を見せなくなった。
たまに訪れたと思ったら、「忙しそうですね!」と叫んで部屋を出ていく。
それを黙って見送る日々が続く。
俺に対する新手の嫌がらせのようだ。
stressを非常に感じるが、ひたすら我慢してやる。
そしてやるべきことの仕事も終わりが見えてきて、
「次に来たら捕獲するか……」
そう呟いた矢先だった。
「ハロ~! おはようございます、まさむねさア゛ァァァァ!!」
smileのななしを難なく捕獲した。
首が折れる!と騒ぐが、そんなに力を込めちゃいねェ。
やっとななしのfunny moveから解放されることに心底ほっとする。
「うぐぅ……未来の妻になんたる愛情表現……!」
「Sorry.」
「全然反省してないその表情! でもスキッ!!」
俺の手から放れたななしは、一度障子の向こうに渡った。
かと思えば、すぐ戻ってきた。
ゆっくりと歩きながら両手で抱えているそれは、
「……えーと、あの、生け花というものをですね……」
小さな花器に、花留がさまざまな花で隠されている。
見よう見まねで……と呟くこいつからは、先ほどの元気さが失せていた。
明らかに生け花向きじゃねェ、そこら辺に咲いている草花を、それらしく花留に挿したのだろう。
茎が細すぎるものは、花留のまわりに寝かされていた。
黙り込んだ俺が不機嫌と判断したのか、ななしは慌てたようにしゃべりだした。
「ちょっと外をぶらぶらしてたら、結構花が咲いてたんですよ! で、政宗さんは仕事で忙しいから、例えばそういう花を部屋に置いたらいいかなとか思って、でも花屋とかないし、ていうか生け花みたいな道具も使ったことないし、ちょっとそれで練習してたんですけど、まあシロートなのでこんな出来なんですけど! ていうか何回も邪魔して済みません、政宗さんの仕事が終わりそうなとき、に、わた……」
黙って、花器ごと、目の前の女を腕に閉じ込めた。
「!!?」
「ありがとな」
「あ、は……い……!!」
いろいろな気持ちがまざって、でも結局はこの言葉にたどり着いた。
何だかんだ言っても、こいつにゃ一生かなわねーようだ。
俺以上に、俺を見て、支えてくれる、ななしが。
「へたくそな生け花で、すみません……(久方ぶりのデレ破壊力はんぱな……!)」
「クク……俺がンなこと気にするタマとでも?」
「いや、そんなこと思ってない、デス……!」
顔を真っ赤にして横に振る姿に、胸の奥で何かがうずいた。
きっとこれからななしは、この花を理由に部屋にやってくるのだろう。
それでもいいと思う。
「(――それが、いい)」
I Love you.=あなたの恋の最後になりたい