千銃士(短編)
勢いだけで書いた短文。
CPは深く考えてなかったのですが、何となく腐の香りがするのは何故に?
マフムトさんとアリ・パシャさんの関係性とか互いの印象とか、親愛エピソード等で語られていた内容を色々妄想した結果の話になります。
ネタバレにはなってないと思うのです、本当に妄想話です。マフムトさんに夢見てるなんてそんな事は…!(笑)
と言うかマフムトさんとアリ・パシャさんは☆3しかお迎え出来ていない当方、マフムトさんが反撃のスキルを出すとかなりの確率でアリ・パシャさんを庇うのですよ。
そんな二人を見ていると、もうこんな妄想話しか書けませんでした…が正しいかも(;A´▽`A
ずっと昔、此処よりももっともっと前に、むしろ初めて出会った頃から向けられていた瞳。
何者にも屈しない、むしろこの余をも踏み付けて遥か高い頂から見下ろしてやろうと狙う瞳。
その瞳に気付かない程、余は何も考えていない訳では無いのだ。
だが、その瞳の奥で叫び続けている”声”……彼自身も気付かないその”声”が、彼の本心なのだろうと思うと、余は心が締め付けられて、同時に何と愛しいのだろうと、此の感情は彼にしてみれば侮辱以外の何物でも無いだろうが、余には強くしなやかで美しい銀毛の狼に見えるのだ。
仲間、絆、信頼、そんな感情を毛嫌いしている彼だが、それでも非常に仲間想いで優しい子だ。生きる為に捨てなければいけなかったもの、諦めざるを得なかったもの、それ等が多すぎたのだろう。
多すぎたが故に彼は優しい心をも隠してしまったのだろうと思う、元より自尊心の高い彼だ、血を流しながらも唇を噛み締めて、そして『ならば自らの手で支配する側になってやろう』と奮い起こしたのだろう。
そう思わせてしまったのは、余りにも余が不甲斐ない、ただ皇帝に捧げられた銃であると言うだけの名ばかりで無力な存在だったからだ。
失望したのか、又は最初から期待すらしていなかったのかは分からない。
それでも彼はこの場所で余に再会し、無意識であろうと傅き掛けた事を恥じ、ほんの僅かな時で有ろうとも明らかに動揺していた。動揺させてしまったのだ。
───…だから、何時かこんな事になるだろうとは分かっていたのだが…
覆い被さる両腕の先に有る美しい顔に視線を向けると、その黒曜石の瞳は怒りに満ちていて、見ているだけで撃ち抜かれてしまいそうだと思う。
それでも余は逃げ出す訳にはいかなかった、彼の怒りを受け止める事が余の出来る事なのだと分かっていたからだ。
「………何を考えている?」
「何も考えてはいないよ、アリ・パシャは何時も色々と考えている様だね」
『余の代わりに』とは続けなかった。そう続けなくとも、聡い彼ならば気付いている事だろう。
怒りを露にしている時点で既に物語っているのだから。
チッと小さく舌打ちが聞こえた。
改めて彼の姿を見ると、傷自体はマスターに癒して貰い、目に見える所に傷付いた箇所は見えない。だが、珍しく綻んだ服、破れた布には戦った時に出来た痕跡がはっきりと余の目には映っていた。
「……手酷くやられた様だ、今は痛みも無いのかな?」
マスターは美しい心の持ち主だ、そして余を含めた銃士達を皆、等しく大切に想ってくれている。だからアリ・パシャの受けた傷も慈しみの掌で優しく癒してくれただろう。
それでも、それでも余は己の無力さを歯痒く思った。余は祈る事しか出来ない貴銃士だ、ただただ皆の無事を祈り、平和を祈るだけの、只のお荷物な貴銃士なのだ。
せめて皆の代わりに、余が撃たれた方が気持ちも楽だったのかも知れないと思ったが、否、あのマスターは誰が傷付いても心配し、治療しようと手を伸ばすだろうと気付き、直ぐにその考えを打ち消した。
「……………マフムト、貴様は一体何を考えている?」
「何も考えていないと言った筈だよ」
「嘘を吐くな。貴様が無駄に笑っている時は腑抜けた事を考えている時だろう、俺様を見縊るな」
黒曜石の瞳が益々歪められていく。
嗚呼、また失敗した。と、余は内心で己の失態を悔やんだ。また、自尊心の高い彼の心を逆撫でしてしまった。どうして余はこんなにも彼を辱しめてしまうのだろう。
元々、休もうとしていた余の上に乗り上げて来た時点で、彼の感情は激しく揺さぶられ高ぶっていたのだ。
余が出来る事は、彼の怒りを、彼の激情を只黙って甘受すれば良かったのだと言うのに。何故、彼の言葉を律儀に返してしまったのだろうか。
「………くっ、だから貴様を見ると…!」
堪えられなくなった彼の唇から”叫び”が漏れる。
「苛々する!何もっ、力を持たない!ただ祈る事しか能の無い……絆だの信頼だの、友情だのっ!!そんな言葉で馴れ合う貴様等を見ていると反吐が出る!!」
今まで散々捨ててきた感情と、正しいと信じて貫いて来た信念との間で苦しんでいるのだろう?
余を見ていると、捨ててきた感情が蘇って来て迷いが生まれてしまうのだろう?
マスターに癒される度に、綺麗な心根のマスターに触れて、己の汚れた心に不安が生まれて、その不安を恥じているのだろう?
腕を精一杯伸ばし、彼の背に両腕を回すと、問答無用で彼の身体を余の上に倒れさせた。「おいっ」と焦る彼の耳元に唇を寄せると、そっと彼にしか聞こえない声で小さく囁く。
「……今はおやすみ、ヤニナのライオンよ。明日になればきっと、何時もの貴方に戻れる」
その為に、今は君の事を祈ろう。
愛しい友よ、今のその悩みも苦しみも昇華出来る時が必ず来る。余はそう信じている、だから今は只ゆっくり『おやすみ』。
【終】
……久し振りに書いたら駄目だ、時間掛かった割に段々と訳が分からなくなってしまいました(;´д`)
初めて書いた千銃士の短文がこんな感じになるとは……!
CPは深く考えてなかったのですが、何となく腐の香りがするのは何故に?
マフムトさんとアリ・パシャさんの関係性とか互いの印象とか、親愛エピソード等で語られていた内容を色々妄想した結果の話になります。
ネタバレにはなってないと思うのです、本当に妄想話です。マフムトさんに夢見てるなんてそんな事は…!(笑)
と言うかマフムトさんとアリ・パシャさんは☆3しかお迎え出来ていない当方、マフムトさんが反撃のスキルを出すとかなりの確率でアリ・パシャさんを庇うのですよ。
そんな二人を見ていると、もうこんな妄想話しか書けませんでした…が正しいかも(;A´▽`A
ずっと昔、此処よりももっともっと前に、むしろ初めて出会った頃から向けられていた瞳。
何者にも屈しない、むしろこの余をも踏み付けて遥か高い頂から見下ろしてやろうと狙う瞳。
その瞳に気付かない程、余は何も考えていない訳では無いのだ。
だが、その瞳の奥で叫び続けている”声”……彼自身も気付かないその”声”が、彼の本心なのだろうと思うと、余は心が締め付けられて、同時に何と愛しいのだろうと、此の感情は彼にしてみれば侮辱以外の何物でも無いだろうが、余には強くしなやかで美しい銀毛の狼に見えるのだ。
仲間、絆、信頼、そんな感情を毛嫌いしている彼だが、それでも非常に仲間想いで優しい子だ。生きる為に捨てなければいけなかったもの、諦めざるを得なかったもの、それ等が多すぎたのだろう。
多すぎたが故に彼は優しい心をも隠してしまったのだろうと思う、元より自尊心の高い彼だ、血を流しながらも唇を噛み締めて、そして『ならば自らの手で支配する側になってやろう』と奮い起こしたのだろう。
そう思わせてしまったのは、余りにも余が不甲斐ない、ただ皇帝に捧げられた銃であると言うだけの名ばかりで無力な存在だったからだ。
失望したのか、又は最初から期待すらしていなかったのかは分からない。
それでも彼はこの場所で余に再会し、無意識であろうと傅き掛けた事を恥じ、ほんの僅かな時で有ろうとも明らかに動揺していた。動揺させてしまったのだ。
───…だから、何時かこんな事になるだろうとは分かっていたのだが…
覆い被さる両腕の先に有る美しい顔に視線を向けると、その黒曜石の瞳は怒りに満ちていて、見ているだけで撃ち抜かれてしまいそうだと思う。
それでも余は逃げ出す訳にはいかなかった、彼の怒りを受け止める事が余の出来る事なのだと分かっていたからだ。
「………何を考えている?」
「何も考えてはいないよ、アリ・パシャは何時も色々と考えている様だね」
『余の代わりに』とは続けなかった。そう続けなくとも、聡い彼ならば気付いている事だろう。
怒りを露にしている時点で既に物語っているのだから。
チッと小さく舌打ちが聞こえた。
改めて彼の姿を見ると、傷自体はマスターに癒して貰い、目に見える所に傷付いた箇所は見えない。だが、珍しく綻んだ服、破れた布には戦った時に出来た痕跡がはっきりと余の目には映っていた。
「……手酷くやられた様だ、今は痛みも無いのかな?」
マスターは美しい心の持ち主だ、そして余を含めた銃士達を皆、等しく大切に想ってくれている。だからアリ・パシャの受けた傷も慈しみの掌で優しく癒してくれただろう。
それでも、それでも余は己の無力さを歯痒く思った。余は祈る事しか出来ない貴銃士だ、ただただ皆の無事を祈り、平和を祈るだけの、只のお荷物な貴銃士なのだ。
せめて皆の代わりに、余が撃たれた方が気持ちも楽だったのかも知れないと思ったが、否、あのマスターは誰が傷付いても心配し、治療しようと手を伸ばすだろうと気付き、直ぐにその考えを打ち消した。
「……………マフムト、貴様は一体何を考えている?」
「何も考えていないと言った筈だよ」
「嘘を吐くな。貴様が無駄に笑っている時は腑抜けた事を考えている時だろう、俺様を見縊るな」
黒曜石の瞳が益々歪められていく。
嗚呼、また失敗した。と、余は内心で己の失態を悔やんだ。また、自尊心の高い彼の心を逆撫でしてしまった。どうして余はこんなにも彼を辱しめてしまうのだろう。
元々、休もうとしていた余の上に乗り上げて来た時点で、彼の感情は激しく揺さぶられ高ぶっていたのだ。
余が出来る事は、彼の怒りを、彼の激情を只黙って甘受すれば良かったのだと言うのに。何故、彼の言葉を律儀に返してしまったのだろうか。
「………くっ、だから貴様を見ると…!」
堪えられなくなった彼の唇から”叫び”が漏れる。
「苛々する!何もっ、力を持たない!ただ祈る事しか能の無い……絆だの信頼だの、友情だのっ!!そんな言葉で馴れ合う貴様等を見ていると反吐が出る!!」
今まで散々捨ててきた感情と、正しいと信じて貫いて来た信念との間で苦しんでいるのだろう?
余を見ていると、捨ててきた感情が蘇って来て迷いが生まれてしまうのだろう?
マスターに癒される度に、綺麗な心根のマスターに触れて、己の汚れた心に不安が生まれて、その不安を恥じているのだろう?
腕を精一杯伸ばし、彼の背に両腕を回すと、問答無用で彼の身体を余の上に倒れさせた。「おいっ」と焦る彼の耳元に唇を寄せると、そっと彼にしか聞こえない声で小さく囁く。
「……今はおやすみ、ヤニナのライオンよ。明日になればきっと、何時もの貴方に戻れる」
その為に、今は君の事を祈ろう。
愛しい友よ、今のその悩みも苦しみも昇華出来る時が必ず来る。余はそう信じている、だから今は只ゆっくり『おやすみ』。
【終】
……久し振りに書いたら駄目だ、時間掛かった割に段々と訳が分からなくなってしまいました(;´д`)
初めて書いた千銃士の短文がこんな感じになるとは……!
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