メモと小ネタ帳
揃って(クライヴとジル・ヴィヴィアン先生)
2024/11/09 21:44眠りに着く前にと少年の時から耳に付けていたロザリア公国の国章であるフェニックスが彫られた耳飾りを外してテーブルの上の小物入れ皿に小さくかちゃんと置くと。
ちょうど部屋の扉を軽くノックしてジョシュアがマードック将軍の甥と共に姿を見せた。明日の石の剣のメンバーと共にアカシア討伐に向けて最終確認に来たのだ。将軍の命は己の意識が完全に飛んで無かったとはいえ、俺には責任がある。
命を落とすようなリスクを冒さない確実な倒し方についてきちんと話し合ってからすぐに俺たちも合流する、無理だと思うのなら身を引くことも重要だと再度告げて明日の為に早く休むように勧めた。
耳飾りを外していたためか、部屋を出て行く前にクライヴ様とジョシュア様のそれはお揃いなんですよね。良いですよね、そういう揃いの。
俺には兄や弟がいないから、何だか羨ましいです。そう明るく話してくれて私室から出て行った。
「大事にずっとつけてくれていたんだよね」
ジョシュアが嬉しそうにそう微笑んでくれた。
「もう捨てた名と国だとそう思われていたからな…外そうが外さまいがあいつらにとってはどうでも良かったんだろう」
「でも、僕らにとっては大切なものだ。ずっと変わらずにね」
「ああ、そうだな」
少し弟が考えるポーズを取ってから、
「良い事を思いついた。兄さん、明日のアカシア討伐が終わったらジルと一緒にまだ開いている店に寄ってみたら。ジルと兄さんが気に入ったものを揃いで買うと良い」
そう提案してきた。
そうしたらまた喜んでくれるよとこうした面は弟の方が鋭いのだなとそう感じた。
結局クリスタル破壊の影響でダリミルの市場もかなりの店が閉じており。
揃いの器でもさらに追加しようかと思ったのだが、こうした情勢だからね。子どもが産まれたばかりの若夫婦にお祝いとしてナタリーアがつい最近贈ったんだ。次のがいつ入るのかこっちも分からないとそう断られてしまった。
かえって申し訳ない気持ちでいると、こうして揃って買い物や食事に回れただけでも嬉しいのとジルは柔らかく微笑んでくれる。
(揃ってか…)
そういえばまだそのことでしていないことがあったな。
揃いの器は駄目だったが代わりに叔父さん専用のエール杯を土産にと。
喜びの涙を流しながら抱きしめる相手役はジョシュアに任せ。
真っ直ぐにヴィヴィアンのところへ向かった。
ふたりで揃って恋人となったとそう報告した。
「…知っているが」
私は子どもではないのだがね、少々呆れ気味な彼女にヴィヴィアンは俺に関する対人関係も良く見てくれているだろう、なら皆に報告する前に一番に知らせて起きたかったとそう続ける。
「何というか…これから先に行なっていくことや、決めたことも、ふたりで成し遂げて行きたいんだ」
「足踏み揃えながらね」
モノではないお揃いのもの。
形作る揃いのもの。それが共に生きていくという誓いと歩み方なのだ。
「しっかりと記しておいたさ。先にウォールード王国に君たちが行ってからそうなったのだろう」
特に驚く様子もなく、ヴィヴィアンは普段通りの彼女らしい口調でそう語る。
「良く分かるな」
「雰囲気が変わったからな。皆も知っているだろう。ああ、君の弟は問いただすまで随分と怒っていた様子だったが」
「…しっかりと怒られたな」
「なら、良かった。そうした時も必要なのだとここに来てからそう思えるようになったからな」
「あなたも良かった、ヴィヴィアン」
ふたりが去ってからヴィヴィアンはまたヴァリスゼア大陸の地図を眺めることにした。
あてられたのかな、と思いながらもこれもまた彼らがこれからは人の歴史を紡いでいく一部でもあるのだなとそう和やかに微笑んだ。
ちょうど部屋の扉を軽くノックしてジョシュアがマードック将軍の甥と共に姿を見せた。明日の石の剣のメンバーと共にアカシア討伐に向けて最終確認に来たのだ。将軍の命は己の意識が完全に飛んで無かったとはいえ、俺には責任がある。
命を落とすようなリスクを冒さない確実な倒し方についてきちんと話し合ってからすぐに俺たちも合流する、無理だと思うのなら身を引くことも重要だと再度告げて明日の為に早く休むように勧めた。
耳飾りを外していたためか、部屋を出て行く前にクライヴ様とジョシュア様のそれはお揃いなんですよね。良いですよね、そういう揃いの。
俺には兄や弟がいないから、何だか羨ましいです。そう明るく話してくれて私室から出て行った。
「大事にずっとつけてくれていたんだよね」
ジョシュアが嬉しそうにそう微笑んでくれた。
「もう捨てた名と国だとそう思われていたからな…外そうが外さまいがあいつらにとってはどうでも良かったんだろう」
「でも、僕らにとっては大切なものだ。ずっと変わらずにね」
「ああ、そうだな」
少し弟が考えるポーズを取ってから、
「良い事を思いついた。兄さん、明日のアカシア討伐が終わったらジルと一緒にまだ開いている店に寄ってみたら。ジルと兄さんが気に入ったものを揃いで買うと良い」
そう提案してきた。
そうしたらまた喜んでくれるよとこうした面は弟の方が鋭いのだなとそう感じた。
結局クリスタル破壊の影響でダリミルの市場もかなりの店が閉じており。
揃いの器でもさらに追加しようかと思ったのだが、こうした情勢だからね。子どもが産まれたばかりの若夫婦にお祝いとしてナタリーアがつい最近贈ったんだ。次のがいつ入るのかこっちも分からないとそう断られてしまった。
かえって申し訳ない気持ちでいると、こうして揃って買い物や食事に回れただけでも嬉しいのとジルは柔らかく微笑んでくれる。
(揃ってか…)
そういえばまだそのことでしていないことがあったな。
揃いの器は駄目だったが代わりに叔父さん専用のエール杯を土産にと。
喜びの涙を流しながら抱きしめる相手役はジョシュアに任せ。
真っ直ぐにヴィヴィアンのところへ向かった。
ふたりで揃って恋人となったとそう報告した。
「…知っているが」
私は子どもではないのだがね、少々呆れ気味な彼女にヴィヴィアンは俺に関する対人関係も良く見てくれているだろう、なら皆に報告する前に一番に知らせて起きたかったとそう続ける。
「何というか…これから先に行なっていくことや、決めたことも、ふたりで成し遂げて行きたいんだ」
「足踏み揃えながらね」
モノではないお揃いのもの。
形作る揃いのもの。それが共に生きていくという誓いと歩み方なのだ。
「しっかりと記しておいたさ。先にウォールード王国に君たちが行ってからそうなったのだろう」
特に驚く様子もなく、ヴィヴィアンは普段通りの彼女らしい口調でそう語る。
「良く分かるな」
「雰囲気が変わったからな。皆も知っているだろう。ああ、君の弟は問いただすまで随分と怒っていた様子だったが」
「…しっかりと怒られたな」
「なら、良かった。そうした時も必要なのだとここに来てからそう思えるようになったからな」
「あなたも良かった、ヴィヴィアン」
ふたりが去ってからヴィヴィアンはまたヴァリスゼア大陸の地図を眺めることにした。
あてられたのかな、と思いながらもこれもまた彼らがこれからは人の歴史を紡いでいく一部でもあるのだなとそう和やかに微笑んだ。