メモと小ネタ帳
腕の中(クラジル)
2024/11/06 17:26FF16
再びお互いの姿を目にするまでもう会えないのだとそう思っていた。お互いに引き寄せられるかのように、会いたかったと心からその想いを語ってくれた彼に抱きしめられた。
彼女も会いたかったと身を委ねた。
少女の頃少年だったあなたと月を見上げたひとときが忘れられなかった。メティアに祈った願いは無事でいて。
凍らせたはずの心の奥底でその願いがくすぶっていたのだと後に悲劇が起きた村で同じく月を見上げながら気づいた。
ヴァリスゼアをふたりで見て回りながらこの神話の大陸で起きていることー現実を受け止めていた。身体も心も重くなっても寄り添って月を見上げながら。彼と彼女は何もしないままでは利用されるだけであり、目の前に確かにいる人たちは使い捨てられる道具として自らの生を貫くことは出来ないと理解した。そして真実を知らないヴァリスゼアは確実に死に向かう。
彼が言った。
抗う為に前に進む、と。
人でいたいと彼女からようやく零れた言葉と涙。月光が海と共にふたりを照らす。
やさしく背中にあたたかい手が添えられ彼が胸元に引き寄せて、支えると語ってくれた想いをその鼓動と共に聴く。
真っ黒な海、真っ黒な大地。
月だけが輝く光景を見上げる。ここでは魔法は使えない。
だからここに居るのは眠りについた相棒の狼を除けば一組の男女だけだ。
誓いと共に彼の腕の中に彼女は居た。それまで身を委ねる時は彼の背中に腕を回したことはなかったのに、今はただぎゅっと力を込めその力強さを全身で感じている。
ヴァリスゼアで、この世界で。
たったひとりから向けられるたったひとつの愛を受け入れる意味。
人に戻ったのだ。彼との誓いがそうしたものだったから。
今もこうして彼の腕の中にいる。誓いの日以降彼女も彼の背中に迷うことなく手を回しお互いの想いを受け入れていく。
運命に立ち向かう最後の抗い。
そこに旅立つまではあなたと共に。眠りにつく前に感謝と共に腕の中に招き入れてくれた。
あたたかさと燃え立たせるような想いの炎を灯してくれるのがあなたなのだと。
全てを溶かしてくれた、だから私は人でいられる。
あなたを愛しずっと生きていけるのだと。
彼女も会いたかったと身を委ねた。
少女の頃少年だったあなたと月を見上げたひとときが忘れられなかった。メティアに祈った願いは無事でいて。
凍らせたはずの心の奥底でその願いがくすぶっていたのだと後に悲劇が起きた村で同じく月を見上げながら気づいた。
ヴァリスゼアをふたりで見て回りながらこの神話の大陸で起きていることー現実を受け止めていた。身体も心も重くなっても寄り添って月を見上げながら。彼と彼女は何もしないままでは利用されるだけであり、目の前に確かにいる人たちは使い捨てられる道具として自らの生を貫くことは出来ないと理解した。そして真実を知らないヴァリスゼアは確実に死に向かう。
彼が言った。
抗う為に前に進む、と。
人でいたいと彼女からようやく零れた言葉と涙。月光が海と共にふたりを照らす。
やさしく背中にあたたかい手が添えられ彼が胸元に引き寄せて、支えると語ってくれた想いをその鼓動と共に聴く。
真っ黒な海、真っ黒な大地。
月だけが輝く光景を見上げる。ここでは魔法は使えない。
だからここに居るのは眠りについた相棒の狼を除けば一組の男女だけだ。
誓いと共に彼の腕の中に彼女は居た。それまで身を委ねる時は彼の背中に腕を回したことはなかったのに、今はただぎゅっと力を込めその力強さを全身で感じている。
ヴァリスゼアで、この世界で。
たったひとりから向けられるたったひとつの愛を受け入れる意味。
人に戻ったのだ。彼との誓いがそうしたものだったから。
今もこうして彼の腕の中にいる。誓いの日以降彼女も彼の背中に迷うことなく手を回しお互いの想いを受け入れていく。
運命に立ち向かう最後の抗い。
そこに旅立つまではあなたと共に。眠りにつく前に感謝と共に腕の中に招き入れてくれた。
あたたかさと燃え立たせるような想いの炎を灯してくれるのがあなたなのだと。
全てを溶かしてくれた、だから私は人でいられる。
あなたを愛しずっと生きていけるのだと。