メモと小ネタ帳
手を繋ぐ(クライヴ)
2024/11/02 14:31FF16
ジョシュアとジルを大切に想っているクライヴ。
小さい頃から5つ下の弟は身体が生まれつき弱くて。
兄さんと違って何で僕は出来ないんだろうと言いだしそうなその表情(かお)から手を繋いで“俺が守るから”とそう伝わるように屋敷内の不死鳥の庭園を連れて歩き回る。
庭師たちやベアラーたちが水やりや肥料を欠かさずに育ててくれた草花はどれも綺麗で。
青空の下でまだ外に出る許可は下りなくてもふたりで見て回った。彼らに感謝の言葉を捧げながら。
クライヴ様とジョシュア様からありがたきお言葉、勿体ないですよと皆が微笑んでくれて。
ふたりで中庭に腰掛けて皆がこうして笑顔でいられるように俺たちが守って行こうと告げると。弟もかすかに微笑んで頷いてくれた。
物心つく前から母様からの期待ーいや、これは重圧であり枷だ。大きくのしかかるそれらを代わってやることは出来ない。その責任は俺自身にある。身体が弱いのに、ジョシュアはそれに応えようと必死で。
兄としての前にせめてもの。お前の盾になろう、そう決めたんだ。
ジョシュアに言い聞かせるようにすっと語ると。まだ小さな両手をぎゅっと握りしめて膝の上で拳を作り真剣に俺を見つける。そしてしっかりと今度は力強く頷いてくれた。
あの日に誓いと共にフェニックスの祝福を受ける儀式を受け。
ひとりバルコニーで弟の誓いから己の存在している意味を深思する俺の手をジョシュアは取って。そうしてかつて俺が連れ出したのと同じ様に手を繋いで父上の待つ王座へと引いていってくれた。
最も信頼しているナイトですとそうはっきり父上と騎士と兵士たちの前で宣言して。
来た時から礼儀正しかった。ただどこか寂しそうで、どこに焦点を当てて良いのかその視線が彷徨っているように感じた。
君が来てから庭園で3人で回るようになったが和平としてここに来たばかりのこともあり中には警戒している者もいた。
中傷というほどでは無いにしろ少なくも王妃側の王侯貴族たちからは無いことを噂されているとそう感じていた。母様本人からの当たりも厳しい。
俺が前に出て庇いだてると今度は俺に対して軽蔑の視線が飛ぶが、まだ慣れている方だ。幸いにして剣の修行や王侯貴族に与えられる課題を日々真面目にこなして来たかいもあり周囲の使用人たちが母様が去ってから大丈夫ですかと声を掛けてくれている。
これからは彼女もロザリアの一員だからなと父上の語る通り、緊張しなくて良い。何かあれば俺たちに言ってくれと伝えると静かに会釈はしたもののやはり居場所がないと思っていると彼女から感じた。
王侯貴族がロザリアの民とベアラーたちを全面に立って守ると決まっている以上俺たちは気軽には他国へと行けない。
あの場所にはあの花がある。抜け出すなら今しかない。
“一緒に見て欲しい場所があるんだ”
それだけを告げて君の手を取り。繋いだ手からずっと戸惑いを感じた。
…帰る頃にはきゅっと握られた細い指先から嬉しさと愛おしさを感じていた。
“ここにいて良いんだ”
それが伝わって、嬉しかった。
離れ離れになってからやっと会えて…願いが叶ったと。俺が生きている意味があるのだと君が告げてくれて。
帰ってくるという約束すら出来なかった子どもの頃とは違う。前に進むとふたりでシドルファスの前で手を取り合い。そうしてぎゅっと手を繋ぎながら誓った。
出会ってからはじめての。
そしてこれから幾度か訪れるふたりだけの約束の始まりだ。
小さい頃から5つ下の弟は身体が生まれつき弱くて。
兄さんと違って何で僕は出来ないんだろうと言いだしそうなその表情(かお)から手を繋いで“俺が守るから”とそう伝わるように屋敷内の不死鳥の庭園を連れて歩き回る。
庭師たちやベアラーたちが水やりや肥料を欠かさずに育ててくれた草花はどれも綺麗で。
青空の下でまだ外に出る許可は下りなくてもふたりで見て回った。彼らに感謝の言葉を捧げながら。
クライヴ様とジョシュア様からありがたきお言葉、勿体ないですよと皆が微笑んでくれて。
ふたりで中庭に腰掛けて皆がこうして笑顔でいられるように俺たちが守って行こうと告げると。弟もかすかに微笑んで頷いてくれた。
物心つく前から母様からの期待ーいや、これは重圧であり枷だ。大きくのしかかるそれらを代わってやることは出来ない。その責任は俺自身にある。身体が弱いのに、ジョシュアはそれに応えようと必死で。
兄としての前にせめてもの。お前の盾になろう、そう決めたんだ。
ジョシュアに言い聞かせるようにすっと語ると。まだ小さな両手をぎゅっと握りしめて膝の上で拳を作り真剣に俺を見つける。そしてしっかりと今度は力強く頷いてくれた。
あの日に誓いと共にフェニックスの祝福を受ける儀式を受け。
ひとりバルコニーで弟の誓いから己の存在している意味を深思する俺の手をジョシュアは取って。そうしてかつて俺が連れ出したのと同じ様に手を繋いで父上の待つ王座へと引いていってくれた。
最も信頼しているナイトですとそうはっきり父上と騎士と兵士たちの前で宣言して。
来た時から礼儀正しかった。ただどこか寂しそうで、どこに焦点を当てて良いのかその視線が彷徨っているように感じた。
君が来てから庭園で3人で回るようになったが和平としてここに来たばかりのこともあり中には警戒している者もいた。
中傷というほどでは無いにしろ少なくも王妃側の王侯貴族たちからは無いことを噂されているとそう感じていた。母様本人からの当たりも厳しい。
俺が前に出て庇いだてると今度は俺に対して軽蔑の視線が飛ぶが、まだ慣れている方だ。幸いにして剣の修行や王侯貴族に与えられる課題を日々真面目にこなして来たかいもあり周囲の使用人たちが母様が去ってから大丈夫ですかと声を掛けてくれている。
これからは彼女もロザリアの一員だからなと父上の語る通り、緊張しなくて良い。何かあれば俺たちに言ってくれと伝えると静かに会釈はしたもののやはり居場所がないと思っていると彼女から感じた。
王侯貴族がロザリアの民とベアラーたちを全面に立って守ると決まっている以上俺たちは気軽には他国へと行けない。
あの場所にはあの花がある。抜け出すなら今しかない。
“一緒に見て欲しい場所があるんだ”
それだけを告げて君の手を取り。繋いだ手からずっと戸惑いを感じた。
…帰る頃にはきゅっと握られた細い指先から嬉しさと愛おしさを感じていた。
“ここにいて良いんだ”
それが伝わって、嬉しかった。
離れ離れになってからやっと会えて…願いが叶ったと。俺が生きている意味があるのだと君が告げてくれて。
帰ってくるという約束すら出来なかった子どもの頃とは違う。前に進むとふたりでシドルファスの前で手を取り合い。そうしてぎゅっと手を繋ぎながら誓った。
出会ってからはじめての。
そしてこれから幾度か訪れるふたりだけの約束の始まりだ。