メモと小ネタ帳

嬉しい(クラジル)

2024/09/21 18:43
FF16
※不意打ちの続きみたいなもの。



ぽすんとジルが胸元に顔を埋めてきた。
「どうかしたのか」
普段から我慢させてしまっているから、残された時を可能な限り共に戦って過ごすだけでなく夜眠りにつく前に君に感謝とあいさつを送ったりして―以前からずっとそうしてきたのだが今はお互いの心がほどけたような間柄となってからなおさらこうした時を大切にしたいとそう思っている―クライヴは優しく尋ねた。
「こうしているとね、自然と笑顔になれるの」
ジルが落ち着いた声色でそれでいて嬉しいのだと伝わる言葉の端から端まで温かい感情を乗せて紡いでくれる。
それでねと彼女が続ける。
「もっと、ずっと…あなたの音を聞きたい」
「結構うるさくないのか」
思わず出てしまったその言葉にジルは彼の腕の中で幾らか瞬きをし。
クライヴは照れているのだろう、鼓動が強まった。相手が君では誤魔化せないなと抱き寄せている力が強まった。

(嬉しい)

彼のこの音を引き出せるのが私だけなのだ。
想いそのものの音。命の音。子どもの頃には知らなかった大好きな音。
彼にとって必要で大切な人になれているのだと。

叔父様が語ったクライヴの癖は何なのかは未だに分からない。
それでも見極めて、彼の想いを受け入れたみたいに受け入れられたらと思う。
「今みたいにたくさんのこと話して」
「インビンシブルに帰って来たらこうしようか。皆には内緒で」
「…子どもたちももうとっくに気づいている」
「そうだな」
ここでそうなれて嬉しいよと彼がまた語ってくれた。

(嬉しい)

再会する喜びを知ったふたりだけのひととき。

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