テキスト(他CSゲーム)
6章 変転する王国
アンドリアズ「頼んでいた、ヘーザリア王女の情報は掴めたか?」
ユーマリダ「はい。現在、王女はウェストフィールドにあるベゼルの塔に幽閉されているとのことです。」
アンドリアズ「囚われの姫君……。ヴィクトル辺りの仕業だろうな。」
ユーマリダ「まさしく、ヴィクトル王子から命を受けたキンブル公が主犯だったようです。」
アンドリアズ「考えることは同じ……ということか。見張りはまだいたか?」
ユーマリダ「はい、まだ生存している第二王子派閥の貴族たちによって守られています。」
アンドリアズ「これ以上、立場が危うくなるのを嫌ったか。だが、その程度であれば問題はない。俺はこの事をフレダに伝える。お前はロレインに伝えておいてくれ。」
ユーマリダ「はい。ですが、本当にうまくいくでしょうか?」
アンドリアズ「長年、孤独に生きているだけだった日々に兄を名乗る男が助けに来た時……
お前は疑惑の念から自由を捨てることができるか?」
ユーマリダ「いえ、納得しました。流石ですね。」
※求めるものに与えましょう
ミッション「異国の使徒」
???「貴方がブルーフォックスの幹部の一人アンドリアズ・ロンダーソンでしょうか。」
アンドリアズ「誰だ?」
チャップルマン「私の名はチャップルマン。
大陸からやってきたネイサル福音教の宣教師です。
傭兵団ブルーフォックスは、民間からの依頼を請け負うと聞き、訪ねてきました。」
アンドリアズ「俺達はもう元老院直下の騎士団だ。
仕事を請けられるかは、内容次第だ。」
チャップルマン「イーストフィールドの寒村で殺戮が起きています。
その地を治める領主が村を焼き払うと言っていました。」
アンドリアズ「噂には聞いている。海沿いのソリス村か。」
チャップルマン「はい、度重なる戦禍に巻き込まれ、暮らす土地を失った民衆が、領主に庇護を求めました。ですが領主は我が身可愛さか、民衆の申し出を断りました。
そして彼らは反旗を翻したのです。当然騎士団が動き、今も民衆達の多くが断罪されようとしています。」
アンドリアズ「貴族を相手にするのは立場上好ましくないな。」
チャップルマン「おお、なんということでしょう……。
神は彼らを見放したというのか。」
アンドリアズ「報酬は?」
チャップルマン「私が大陸にいた頃に知り得た情報の中には、貴方が欲しがるものも、きっとあるでしょう。帝国軍や連合軍の、この島を巡る動きなど……
必要なのではないでしょうか?」
アンドリアズ「いいだろう、秘密裏に小隊を向かわせる。」
チャップルマン「引き受けていただけるのですね。ありがとうございます!」
チャップルマン「この国にとって大変な時ですね。……お力になれると思います。」
ミッション完了後―
アンドリアズ「チャップルマン。
大陸の宣教師が、何故この国の民衆を救おうとした?」
チャップルマン「私達宣教師は神のしもべ。
苦しむ人々は等しく救いたいと願っています。」
アンドリアズ「ただの宣教師が、この国に対する帝国や連合の動き方を熟知しているとは思えないな。」
チャップルマン「……!」
アンドリアズ「それにその手腕は、どうやって培ったものだ?」
チャップルマン「お気づきでしたか……。
私は若い頃ロウテイル連合の兵士でした。ですが戦争で命を奪っていくことに無常さを感じ、兵士を辞め、神の信徒となる道を選んだのです。」
アンドリアズ「なるほど。一介の兵士というわけではなさそうだが?」
チャップルマン「……貴方の目は全てを見透かしているのですね。
私は帝国に密偵として潜入していました。その際ワイバーンを操る技術を身に付け、
空を舞う騎士として戦う術を持っています。」
アンドリアズ「ワイバーンライダーか。
チャップルマン。この島でも人々を守りたいと願うのであれば、俺達の下に来るんだ。
少なくとも孤独に宣教師として行動するよりは、お前の望みは叶えられるはずだ。」
チャップルマン「確かに……私もそんな気がしていました。
わかりました、ブルーフォックスに加わりましょう。」
いつか聞いた潮騒
アンドリアズ「賊を討伐して欲しいと依頼が来ている。今から向かう。」
ロレイン「場所はどこですか?」
アンドリアズ「イーストフィールドの海岸沿いだ。近年、海賊の縄張りになっているらしい。」
ロレイン「分かりました……。」
アンドリアズ「どうかしたか?」
ロレイン「いえ、依頼があるのならもちろん構いませんが、貴方のことなので、依頼が来たからということ以外に何か理由があるのではと考えてしまっただけです。」
アンドリアズ「邪推だな。」
ロレイン「す、すみません……ですが、敢えてお伝えします。もし任務に際して気になることがあるなら、私には伝えてくださると嬉しいです。皆さんには言いにくいことでも、戦闘員ではない私だからこそ、助言もできるかもしれません。」
アンドリアズ「わかっている。」
ミッション名も無き村にて
ロレイン「アンドリアズ、先日のイーストフィールドでの海賊討伐ですが……。」
アンドリアズ「なんだ?」
ロレイン「やはりあの周辺、何か貴方にとって
思い入れのある場所ではなかったのでしょうか?」
アンドリアズ「何故そう思う?」
ロレイン「先日、ウィリアム様の書庫を整理しておきました。
そこで興味深い文献を見つけたのです。貴女はシェイファム王朝がこの島を統一する前、
ジャックボルトという特異な王家があったことをご存知でしょうか?
ジャックボルトの王族は、幼少期より少量のジェイドを食し続けることで、
極めて鋭敏な魔術察知能力と爆発的な身体能力を持っていたとされています。しかし、その力を得るのは諸刃の剣、その能力を得る前に正気を失う子供が大半だったとか。
それ故にジャックボルト王朝は数年で瓦解することになります。」
アンドリアズ「そのおとぎ話が、今回の件と何の関係がある?」
ロレイン「彼らは百年戦争後、表舞台に現れなくなったそうですが、シェイファム王朝の時代になった後も、直系の一族と、彼らの腹心であった末裔達は、ある辺鄙な村を作り、存在していたというのです。」
アンドリアズ「それが、あの場所だと言うのか?」
ロレイン「ええ、長い年月をかけて、ウィリアム様はつきとめたようです。
あの場所で何が起こったのかはわかりません。しかし貴方は……。」
アンドリアズ「ロレイン!
それ以上は止めておけ。どこまでいっても想像の域を出ない。」
ロレイン「私はただ……。」
アンドリアズ「もういい。身の回りのことを勝手に詮索されるのは本意じゃない。」
ロレイン「……すみません。」
ロレイン「ワルターキンのことは、その……。
いえ、なんでもありません。」
アイゼレア「大変な事になってきたね……。
リアズ、無理してない?大丈夫?」
ゾルアック「お前から僅かに迷いを感じる。
なにか気になっていることがあるなら言え。」
カトリーヌ「聖教の現状については……少し思うところはあります。
ですが、これで良かったのだと思います。」
エスターテ「聖教はあっけないものだったね。あんなに信仰を集めていたのに、あっという間に焼野原だ。政治なんかに関わると、ろくな事にならないんじゃないか?」
イスカリオン「ワルターキンの死体は見つかっていないらしい。
彼女には生きていてほしいね。生きて、償ってほしい。」
※罪人について
アンドリアズ「トレミナ。
お前が民主主義運動に参加していた時の仲間、ガルビン・ヨハルヴォが行方をくらましたのは知っているな?」
トレミナ「ええ、投獄されていたのに、逃げたのでしょう?誰かが逃がしたという噂が出回っているけれど……。まさか私を疑っているの?私じゃないわ。」
アンドリアズ「証拠は?」
トレミナ「私と彼は意見を違えていたからよ。
確かに、当初はより良い国を作るために力を合わせた。皆の気持ちは一つになっていると思っていた……。でもガルビン達は次第に排他的になっていき、自分達の考えを認めようとしない者に対しては力ずくでねじ伏せようとするようになったわ……。話し合うことを忘れては民主主義を論じる資格はない……だから私が彼を許すこともない。」
アンドリアズ「ならば、奴を逃がした者は限られるな。」
トレミナ「……?」
アンドリアズ「危険な思想を許容できないとは思いつつも、それでも手を差し伸べてしまうのだろうな。」
アンドリアズ「困った男だ。」
トレミナ「誰のことを言っているの?」
アンドリアズ「さあな。」
トレミナ「その犯人を問い詰めて、断罪する気?」
アンドリアズ「何もしない。既に民主主義運動は失墜した。今更ガルビンという男にできることはない。」
トレミナ「そう……ね。」
トレミナ「これで国内が安定すればいいんだけど……。
あとは帝国をなんとかしなくてはね。このまま分割統治されたりしたら、たまらないわ。」
王政府高官「武勲を上げたのは良いことですが、元老院の大物から立て続けに接触があって困っています。下手に断るのも、関係を持つのも拙いのです。はぁ、皆、生き残るのに必死ですね……。」
傭兵「大活躍だな、俺達!王国で俺達に敵う騎士団はいないんじゃないか?」
食堂員「ウチの食材はすべて国産内だ。貿易が止まっていても問題ない。食え。」
開発担当「気分転換に武器の手入れでもどうだ?」
研究員「ふぅ……遠征の後は仕事が溜まっていて大変ですよ。」
ドノヴァール「ご子息同士が争い、このような結果になるとは……。
天におられるラガルト様も悲しまれていることだろう。」
店員「やっぱり南の港が使えないのは辛いなぁ……。
なんとか値段を上げないようにしてるがね。」
※忠誠と覚悟
ユーマリダ「アンドリアズ。こちらが近況をまとめた書類です。
あと各部隊からの報告書も同封されています。確認をお願いします。」
アンドリアズ「………………。」
アンドリアズ「わかった。
これからより一層、連携を密に取る必要があるな。引き続き仲介役を頼む、ユーマリダ。
この仕事だけは他の者には頼めない。」
ユーマリダ「はい。」
アンドリアズ「覚悟はできているな。ここからが正念場だ。これまで以上に厳しい戦になる。
そして血を見ることになるだろう。」
ユーマリダ「私の覚悟はとうにできています。
貴方と共に戦い続けることが、私の全てです。」
アンドリアズ「……むしろ、覚悟が足りないのは、俺だとでも?」
ユーマリダ「どうでしょう。私にはわかりかねます。
ですが、貴方がこの先どのような判断をされても、私は付き従うだけです。」
アンドリアズ「それがお前の覚悟か、わかった。ならばその命、俺に捧げてくれ。」
ユーマリダ「はい。」
ユーマリダ「先日の活躍はお見事でした。これで一つ憂いがなくなりましたね。」
※お嬢様
アンドリアズ「………………。」
シーヴァット「意外だな。あんたがそんな顔をするなんて。」
アンドリアズ「別に、何ともない。」
シーヴァット「本当はお嬢様を殺したくはなかったんじゃないか?」
アンドリアズ「……生かしておくことはできなかったというだけだ。
これまでどおり働き続けてくれれば、もちろん殺したりはしなかった。」
シーヴァット「あんたが感情的になっているのは、はじめて見たな。ま、俺には関係のない話だが。」
アンドリアズ「何もないなら、もう行け。」
シーヴァット「まぁ待てよ。もう少し話を聞いてくれ。」
アンドリアズ「……。」
シーヴァット「ブルーフォックスは大きくなった。少し前までは盗賊風情と対立していた傭兵団が、今や国の存亡をかけた戦いの中心にある武力集団……。
組織が大きくなれば当然風通しも悪くなる。意見が対立することもあるだろう。」
シーヴァット「これでも俺はあんたを少しは理解しているつもりなんだ。
詰まるところ、そんなに気にするなってことさ。」
アンドリアズ「気にしてなどいない。」
シーヴァット「ははっ、ならいいんだ。」
シーヴァット「お嬢様がこんなにあっけなく死ぬとは思えないがね。
まあ、あんたが殺したって言うなら信じるさ。」
キャスターヴ「ワルターキン、良い女だったのに勿体ない。一度お相手願いたかった……。
……冗談だよ。そんな怖い顔をするな。で、お前はこれで良かったのか?」
リッケンバック「皆なんだか難しい顔してるね。活躍したんだから喜ぼうよ~?」
※その花の名は
アンドリアズ「フレダ、浮かない顔だな。気になることでもあるのか?」
フレドレット「彼女に嘘だと気づかれないか?俺が兄だと騙ることを……。」
アンドリアズ「心配するな、ヘーザリア王女とレヴィが直接顔を合わせたのはまだ赤子の頃だ。顔なんて覚えてやしない。それに彼女の性質は把握している。聖痕さえあれば、押し通せるはずだ。」
フレドレット「もし気付かれたら?」
アンドリアズ「それならそれで、問題ない。対処の仕方はいくらでもある。」
フレドレット「お前、何をするつもりだ!?」
アンドリアズ「大丈夫、あの娘はお前を認めるよ。」
アンドリアズ「すぐにでも助けに行くぞ。ロレインには作戦内容を伝えてある。」
フレドレット「……ああ。」
※王女救出作戦
フレドレット「うまく、いけばいいが……。」
イスカリオン「………………。」
トレミナ「イスカリオン、どうしたの?」
イスカリオン「いよいよフレダが国王となる。僕は何のためにここで戦い続けているのか、
わからなくなってきたよ。」
トレミナ「どういうこと?」
イスカリオン「今更、自分の命など惜しくはないが……彼の手駒になろうとは思わない。
彼は一体ここで何をしようとしているのか。」
トレミナ「彼?誰のこと?ここで、フレドレット……いえ新しい国王を支えていくんじゃないの?」
イスカリオン「はは、この団を仕切っているのはフレダじゃないよ。」
トレミナ「私はこの団で貴方と共に戦っていけば、平和な国が作れると思っているわ。
何を迷っているのか、私に教えて?」
イスカリオン「敢えて言うのなら、僕の行き着く場所かな、はは。」
トレミナ「イスカリオン……。」
アンドリアズ「……………。」
ユーマリダ「王都内の治安に問題はありません。ご安心ください。」
シーヴァット「帝国も随分と大人しくしてたもんだ。こちらが身内で争って弱るのを待ってたのかね?」
食堂員「細い娘が入ってきたな。ちゃんと食ってるのか?」
傭兵「俺達は国王様直属の部隊になるってことか。へへっ、給料も上がりそうだな!」
リッケンバック「ちょっと不謹慎なことを言うけどさ……。
アタシの実家が南じゃなくて良かったって思っちゃった。ごめんね。変なこと言って。
さあ、帝国を追い出そう!」
王政府高官「フレダ様の戴冠式の準備を進めていますが、水面下でまだ抵抗する勢力がいるようです。どうしても勢力争いがしたいようで、呆れます。」
フレドレット「ヘーザリアが力を貸してくれたのは何よりだった。だが、彼女を騙したことには胸が痛むな……。」
研究員「王家の聖痕……実に興味深いですね。研究に協力していただけないでしょうか……。」
開発担当員「王女様には飛び切り良い装備を着けてやるんだぞ。」
店員「お姫様か……興味あるね。どんなものを欲しがるんだ?」
ドノヴァール「いよいよ帝国との前哨戦か。腕が鳴るわ。」
イスカリオン「帝国軍が北上を開始したことで、王都の民にも動揺が広がっているそうだ。
僕達は、早くこの戦乱を終わらせるように動くべきじゃないのかい?」
トレミナ「……。あ、ううん、なんでもないの。」
ロレイン「糧食、武具の準備は手配済みですので、いつでも出発できます。」
アイゼレア「フレダが王様になるのかぁ……。なんだか実感が湧かないよ。」
ゾルアック「フレダが王となるか……。感慨深いものだな。」
エスターテ「あのヘザーって子、なんだか、凄い力を感じるんだ。
只者じゃないぞ……。いや、王女様なのは知ってるけどさ。」
キャスターヴ「俺達は王様お抱えの部隊って事になる訳か?
堅苦しいのは苦手なんだがねぇ……。」
チャップルマン「南区を押さえられたままで、連合はなぜ黙っているのでしょうか?少し不自然に思えます。」
※神の所在
カトリーヌ「アンドリアズ、よろしいでしょうか?」
アンドリアズ「何だ?」
カトリーヌ「最近知ったことなのですが、ロウテイル大陸にはグランベル聖教とは異なる宗教があるのですね。」
アンドリアズ「ネイサン福音教のことを言っているのか?」
カトリーヌ「それ以外にも数多くあると聞きました。民族や文化、習慣によって育まれた多様な歴史が、世界各地で崇拝するための象徴を作り出し、人々を導くものとして畏敬されていると……。」
アンドリアズ「それがどうかしたのか?」
カトリーヌ「神は一つではないということです。わたくしがこれまで信奉してきたものや、これから信じるもの……どれが正解でどれが過ちか、自問自答することは無意味なのだと気づきました。」
アンドリアズ「お前はこれから何を信じる?」
カトリーヌ「もちろん自分自身です。わたしくはわたくしの目で見たものを信じます。」
アンドリアズ「以前のお前は清廉潔白すぎるが故に、常にどこかしら迷いが見え隠れしていたが、もうそれも無さそうだな。」
カトリーヌ「はい!」
カトリーヌ「戦いの火種は尽きませんね……。」
※迫る軍靴の音
アンドリアズ「王女、先日は助かりました。」
ヘーザリア「いえ。」
アンドリアズ「何か要望はありますか?」
ヘーザリア「特に何も……。」
アンドリアズ「そう……ですか?」
ヘーザリア「………………。」
アンドリアズ「王女、お伺いしたかったのですが、貴女の魔術の力ならば、自力で逃げ出すことができたのではありませんか?」
ヘーザリア「そうかも……しれません。」
アンドリアズ「だが……貴女はそうしなかった。なぜですか?」
ヘーザリア「わかりません……。」
アンドリアズ「いや、過ぎたことはもういいですね。まだ貴女には果たすべき役目がある。」
ヘーザリア「………。
あなた方の傍に置いていただけるのであれば、了承します。」
アンドリアズ「内容を聞かなくても良いのですか?」
ヘーザリア「あなたができもしないことを言ってくるとは思えません。」
アンドリアズ「……では、もう一つだけ。
なぜ我々に同行したいのです?」
ヘーザリア「あの方は、私の兄なのでしょう?
そんなにおかしいことかしら……。」
アンドリアズ「……わかりました。」
ヘーザリア「あの……やはりひとつだけ……
お願いをしてもよろしいですか?」
アンドリアズ「何なりと、お申しつけ下さい。」
ヘーザリア「私をブルーフォックスの任務に……
傭兵として同行させてください。」
アンドリアズ「それは少し危険かと……。」
ヘーザリア「先ほど、私の魔術の素養を褒めてくださいましたよね……?」
アンドリアズ「確かに貴女の魔術素養には目を見張るものがあります…しかし。」
ヘーザリア「お兄様も、王子でありながら最前線で戦っておられるのでしょう?
私も生きてみたいのです。この広い世界を……。」
アンドリアズ「……後悔するかもしれませんよ。」
ヘーザリア「それも、生きている証拠なのだと……今は思うのです。」
アンドリアズ「わかりました。」
ヘーザリア「私の力をお貸しします。アンドリアズ。」
アイゼレア「ねえ、リアズ。最近フレダの様子がおかしくない?」
アンドリアズ「そうか?」
アイゼレア「うん、気負い過ぎて、空回りしているっていうか……。まだ王様じゃないのに、色々やり過ぎ。」
アンドリアズ「これから国王になるんだから、仕方ないさ。
背負うものが多ければ、気負いもする。」
アイゼレア「でもなんだか人が変わったみたいで、少し嫌だな。
前の優しかったフレダに戻ってほしいよ。」
アンドリアズ「心配しなくても、じきに戻るさ。」
アイゼレア「リアズは大丈夫なの?」
アンドリアズ「なんのことだ?」
アイゼレア「まるで心の糸が切れてしまいそうな……。そんな風に見えるよ。」
アンドリアズ「馬鹿な……いや、お前にそう見えるのなら、そうかもしれないな。」
アイゼレア「ボクはずっとリアズの味方だよ。何があってもね。」
アイゼレア「なんでも、相談してね。」
ユーマリダ「アンドリアズ。」
アンドリアズ「ユーマリダか、ケリング半島への道程は?」
ユーマリダ「調査済みです。詳細はロレインからお聞きください。ただ一つだけ、魔獣の巣靴を進むことになります。」
アンドリアズ「帝国の包囲網に引っかからないのであればいい。」
ユーマリダ「今回の件、連合と組むという話ですが、ご存知の通りヴェルマ連邦軍の評判はすこぶる悪い。
むしろ帝国軍を追い出したとして、その対応に追われる結果になると思います。」
アンドリアズ「そんなことはわかっている。どんな影響があるにせよ、こちらにとって良い形にできるだろう。」
ユーマリダ「そうですか……。私には……測りかねますが。」
ユーマリダ「私はご指示に従うだけです。」
アンドリアズ「頼んでいた、ヘーザリア王女の情報は掴めたか?」
ユーマリダ「はい。現在、王女はウェストフィールドにあるベゼルの塔に幽閉されているとのことです。」
アンドリアズ「囚われの姫君……。ヴィクトル辺りの仕業だろうな。」
ユーマリダ「まさしく、ヴィクトル王子から命を受けたキンブル公が主犯だったようです。」
アンドリアズ「考えることは同じ……ということか。見張りはまだいたか?」
ユーマリダ「はい、まだ生存している第二王子派閥の貴族たちによって守られています。」
アンドリアズ「これ以上、立場が危うくなるのを嫌ったか。だが、その程度であれば問題はない。俺はこの事をフレダに伝える。お前はロレインに伝えておいてくれ。」
ユーマリダ「はい。ですが、本当にうまくいくでしょうか?」
アンドリアズ「長年、孤独に生きているだけだった日々に兄を名乗る男が助けに来た時……
お前は疑惑の念から自由を捨てることができるか?」
ユーマリダ「いえ、納得しました。流石ですね。」
※求めるものに与えましょう
ミッション「異国の使徒」
???「貴方がブルーフォックスの幹部の一人アンドリアズ・ロンダーソンでしょうか。」
アンドリアズ「誰だ?」
チャップルマン「私の名はチャップルマン。
大陸からやってきたネイサル福音教の宣教師です。
傭兵団ブルーフォックスは、民間からの依頼を請け負うと聞き、訪ねてきました。」
アンドリアズ「俺達はもう元老院直下の騎士団だ。
仕事を請けられるかは、内容次第だ。」
チャップルマン「イーストフィールドの寒村で殺戮が起きています。
その地を治める領主が村を焼き払うと言っていました。」
アンドリアズ「噂には聞いている。海沿いのソリス村か。」
チャップルマン「はい、度重なる戦禍に巻き込まれ、暮らす土地を失った民衆が、領主に庇護を求めました。ですが領主は我が身可愛さか、民衆の申し出を断りました。
そして彼らは反旗を翻したのです。当然騎士団が動き、今も民衆達の多くが断罪されようとしています。」
アンドリアズ「貴族を相手にするのは立場上好ましくないな。」
チャップルマン「おお、なんということでしょう……。
神は彼らを見放したというのか。」
アンドリアズ「報酬は?」
チャップルマン「私が大陸にいた頃に知り得た情報の中には、貴方が欲しがるものも、きっとあるでしょう。帝国軍や連合軍の、この島を巡る動きなど……
必要なのではないでしょうか?」
アンドリアズ「いいだろう、秘密裏に小隊を向かわせる。」
チャップルマン「引き受けていただけるのですね。ありがとうございます!」
チャップルマン「この国にとって大変な時ですね。……お力になれると思います。」
ミッション完了後―
アンドリアズ「チャップルマン。
大陸の宣教師が、何故この国の民衆を救おうとした?」
チャップルマン「私達宣教師は神のしもべ。
苦しむ人々は等しく救いたいと願っています。」
アンドリアズ「ただの宣教師が、この国に対する帝国や連合の動き方を熟知しているとは思えないな。」
チャップルマン「……!」
アンドリアズ「それにその手腕は、どうやって培ったものだ?」
チャップルマン「お気づきでしたか……。
私は若い頃ロウテイル連合の兵士でした。ですが戦争で命を奪っていくことに無常さを感じ、兵士を辞め、神の信徒となる道を選んだのです。」
アンドリアズ「なるほど。一介の兵士というわけではなさそうだが?」
チャップルマン「……貴方の目は全てを見透かしているのですね。
私は帝国に密偵として潜入していました。その際ワイバーンを操る技術を身に付け、
空を舞う騎士として戦う術を持っています。」
アンドリアズ「ワイバーンライダーか。
チャップルマン。この島でも人々を守りたいと願うのであれば、俺達の下に来るんだ。
少なくとも孤独に宣教師として行動するよりは、お前の望みは叶えられるはずだ。」
チャップルマン「確かに……私もそんな気がしていました。
わかりました、ブルーフォックスに加わりましょう。」
いつか聞いた潮騒
アンドリアズ「賊を討伐して欲しいと依頼が来ている。今から向かう。」
ロレイン「場所はどこですか?」
アンドリアズ「イーストフィールドの海岸沿いだ。近年、海賊の縄張りになっているらしい。」
ロレイン「分かりました……。」
アンドリアズ「どうかしたか?」
ロレイン「いえ、依頼があるのならもちろん構いませんが、貴方のことなので、依頼が来たからということ以外に何か理由があるのではと考えてしまっただけです。」
アンドリアズ「邪推だな。」
ロレイン「す、すみません……ですが、敢えてお伝えします。もし任務に際して気になることがあるなら、私には伝えてくださると嬉しいです。皆さんには言いにくいことでも、戦闘員ではない私だからこそ、助言もできるかもしれません。」
アンドリアズ「わかっている。」
ミッション名も無き村にて
ロレイン「アンドリアズ、先日のイーストフィールドでの海賊討伐ですが……。」
アンドリアズ「なんだ?」
ロレイン「やはりあの周辺、何か貴方にとって
思い入れのある場所ではなかったのでしょうか?」
アンドリアズ「何故そう思う?」
ロレイン「先日、ウィリアム様の書庫を整理しておきました。
そこで興味深い文献を見つけたのです。貴女はシェイファム王朝がこの島を統一する前、
ジャックボルトという特異な王家があったことをご存知でしょうか?
ジャックボルトの王族は、幼少期より少量のジェイドを食し続けることで、
極めて鋭敏な魔術察知能力と爆発的な身体能力を持っていたとされています。しかし、その力を得るのは諸刃の剣、その能力を得る前に正気を失う子供が大半だったとか。
それ故にジャックボルト王朝は数年で瓦解することになります。」
アンドリアズ「そのおとぎ話が、今回の件と何の関係がある?」
ロレイン「彼らは百年戦争後、表舞台に現れなくなったそうですが、シェイファム王朝の時代になった後も、直系の一族と、彼らの腹心であった末裔達は、ある辺鄙な村を作り、存在していたというのです。」
アンドリアズ「それが、あの場所だと言うのか?」
ロレイン「ええ、長い年月をかけて、ウィリアム様はつきとめたようです。
あの場所で何が起こったのかはわかりません。しかし貴方は……。」
アンドリアズ「ロレイン!
それ以上は止めておけ。どこまでいっても想像の域を出ない。」
ロレイン「私はただ……。」
アンドリアズ「もういい。身の回りのことを勝手に詮索されるのは本意じゃない。」
ロレイン「……すみません。」
ロレイン「ワルターキンのことは、その……。
いえ、なんでもありません。」
アイゼレア「大変な事になってきたね……。
リアズ、無理してない?大丈夫?」
ゾルアック「お前から僅かに迷いを感じる。
なにか気になっていることがあるなら言え。」
カトリーヌ「聖教の現状については……少し思うところはあります。
ですが、これで良かったのだと思います。」
エスターテ「聖教はあっけないものだったね。あんなに信仰を集めていたのに、あっという間に焼野原だ。政治なんかに関わると、ろくな事にならないんじゃないか?」
イスカリオン「ワルターキンの死体は見つかっていないらしい。
彼女には生きていてほしいね。生きて、償ってほしい。」
※罪人について
アンドリアズ「トレミナ。
お前が民主主義運動に参加していた時の仲間、ガルビン・ヨハルヴォが行方をくらましたのは知っているな?」
トレミナ「ええ、投獄されていたのに、逃げたのでしょう?誰かが逃がしたという噂が出回っているけれど……。まさか私を疑っているの?私じゃないわ。」
アンドリアズ「証拠は?」
トレミナ「私と彼は意見を違えていたからよ。
確かに、当初はより良い国を作るために力を合わせた。皆の気持ちは一つになっていると思っていた……。でもガルビン達は次第に排他的になっていき、自分達の考えを認めようとしない者に対しては力ずくでねじ伏せようとするようになったわ……。話し合うことを忘れては民主主義を論じる資格はない……だから私が彼を許すこともない。」
アンドリアズ「ならば、奴を逃がした者は限られるな。」
トレミナ「……?」
アンドリアズ「危険な思想を許容できないとは思いつつも、それでも手を差し伸べてしまうのだろうな。」
アンドリアズ「困った男だ。」
トレミナ「誰のことを言っているの?」
アンドリアズ「さあな。」
トレミナ「その犯人を問い詰めて、断罪する気?」
アンドリアズ「何もしない。既に民主主義運動は失墜した。今更ガルビンという男にできることはない。」
トレミナ「そう……ね。」
トレミナ「これで国内が安定すればいいんだけど……。
あとは帝国をなんとかしなくてはね。このまま分割統治されたりしたら、たまらないわ。」
王政府高官「武勲を上げたのは良いことですが、元老院の大物から立て続けに接触があって困っています。下手に断るのも、関係を持つのも拙いのです。はぁ、皆、生き残るのに必死ですね……。」
傭兵「大活躍だな、俺達!王国で俺達に敵う騎士団はいないんじゃないか?」
食堂員「ウチの食材はすべて国産内だ。貿易が止まっていても問題ない。食え。」
開発担当「気分転換に武器の手入れでもどうだ?」
研究員「ふぅ……遠征の後は仕事が溜まっていて大変ですよ。」
ドノヴァール「ご子息同士が争い、このような結果になるとは……。
天におられるラガルト様も悲しまれていることだろう。」
店員「やっぱり南の港が使えないのは辛いなぁ……。
なんとか値段を上げないようにしてるがね。」
※忠誠と覚悟
ユーマリダ「アンドリアズ。こちらが近況をまとめた書類です。
あと各部隊からの報告書も同封されています。確認をお願いします。」
アンドリアズ「………………。」
アンドリアズ「わかった。
これからより一層、連携を密に取る必要があるな。引き続き仲介役を頼む、ユーマリダ。
この仕事だけは他の者には頼めない。」
ユーマリダ「はい。」
アンドリアズ「覚悟はできているな。ここからが正念場だ。これまで以上に厳しい戦になる。
そして血を見ることになるだろう。」
ユーマリダ「私の覚悟はとうにできています。
貴方と共に戦い続けることが、私の全てです。」
アンドリアズ「……むしろ、覚悟が足りないのは、俺だとでも?」
ユーマリダ「どうでしょう。私にはわかりかねます。
ですが、貴方がこの先どのような判断をされても、私は付き従うだけです。」
アンドリアズ「それがお前の覚悟か、わかった。ならばその命、俺に捧げてくれ。」
ユーマリダ「はい。」
ユーマリダ「先日の活躍はお見事でした。これで一つ憂いがなくなりましたね。」
※お嬢様
アンドリアズ「………………。」
シーヴァット「意外だな。あんたがそんな顔をするなんて。」
アンドリアズ「別に、何ともない。」
シーヴァット「本当はお嬢様を殺したくはなかったんじゃないか?」
アンドリアズ「……生かしておくことはできなかったというだけだ。
これまでどおり働き続けてくれれば、もちろん殺したりはしなかった。」
シーヴァット「あんたが感情的になっているのは、はじめて見たな。ま、俺には関係のない話だが。」
アンドリアズ「何もないなら、もう行け。」
シーヴァット「まぁ待てよ。もう少し話を聞いてくれ。」
アンドリアズ「……。」
シーヴァット「ブルーフォックスは大きくなった。少し前までは盗賊風情と対立していた傭兵団が、今や国の存亡をかけた戦いの中心にある武力集団……。
組織が大きくなれば当然風通しも悪くなる。意見が対立することもあるだろう。」
シーヴァット「これでも俺はあんたを少しは理解しているつもりなんだ。
詰まるところ、そんなに気にするなってことさ。」
アンドリアズ「気にしてなどいない。」
シーヴァット「ははっ、ならいいんだ。」
シーヴァット「お嬢様がこんなにあっけなく死ぬとは思えないがね。
まあ、あんたが殺したって言うなら信じるさ。」
キャスターヴ「ワルターキン、良い女だったのに勿体ない。一度お相手願いたかった……。
……冗談だよ。そんな怖い顔をするな。で、お前はこれで良かったのか?」
リッケンバック「皆なんだか難しい顔してるね。活躍したんだから喜ぼうよ~?」
※その花の名は
アンドリアズ「フレダ、浮かない顔だな。気になることでもあるのか?」
フレドレット「彼女に嘘だと気づかれないか?俺が兄だと騙ることを……。」
アンドリアズ「心配するな、ヘーザリア王女とレヴィが直接顔を合わせたのはまだ赤子の頃だ。顔なんて覚えてやしない。それに彼女の性質は把握している。聖痕さえあれば、押し通せるはずだ。」
フレドレット「もし気付かれたら?」
アンドリアズ「それならそれで、問題ない。対処の仕方はいくらでもある。」
フレドレット「お前、何をするつもりだ!?」
アンドリアズ「大丈夫、あの娘はお前を認めるよ。」
アンドリアズ「すぐにでも助けに行くぞ。ロレインには作戦内容を伝えてある。」
フレドレット「……ああ。」
※王女救出作戦
フレドレット「うまく、いけばいいが……。」
イスカリオン「………………。」
トレミナ「イスカリオン、どうしたの?」
イスカリオン「いよいよフレダが国王となる。僕は何のためにここで戦い続けているのか、
わからなくなってきたよ。」
トレミナ「どういうこと?」
イスカリオン「今更、自分の命など惜しくはないが……彼の手駒になろうとは思わない。
彼は一体ここで何をしようとしているのか。」
トレミナ「彼?誰のこと?ここで、フレドレット……いえ新しい国王を支えていくんじゃないの?」
イスカリオン「はは、この団を仕切っているのはフレダじゃないよ。」
トレミナ「私はこの団で貴方と共に戦っていけば、平和な国が作れると思っているわ。
何を迷っているのか、私に教えて?」
イスカリオン「敢えて言うのなら、僕の行き着く場所かな、はは。」
トレミナ「イスカリオン……。」
アンドリアズ「……………。」
ユーマリダ「王都内の治安に問題はありません。ご安心ください。」
シーヴァット「帝国も随分と大人しくしてたもんだ。こちらが身内で争って弱るのを待ってたのかね?」
食堂員「細い娘が入ってきたな。ちゃんと食ってるのか?」
傭兵「俺達は国王様直属の部隊になるってことか。へへっ、給料も上がりそうだな!」
リッケンバック「ちょっと不謹慎なことを言うけどさ……。
アタシの実家が南じゃなくて良かったって思っちゃった。ごめんね。変なこと言って。
さあ、帝国を追い出そう!」
王政府高官「フレダ様の戴冠式の準備を進めていますが、水面下でまだ抵抗する勢力がいるようです。どうしても勢力争いがしたいようで、呆れます。」
フレドレット「ヘーザリアが力を貸してくれたのは何よりだった。だが、彼女を騙したことには胸が痛むな……。」
研究員「王家の聖痕……実に興味深いですね。研究に協力していただけないでしょうか……。」
開発担当員「王女様には飛び切り良い装備を着けてやるんだぞ。」
店員「お姫様か……興味あるね。どんなものを欲しがるんだ?」
ドノヴァール「いよいよ帝国との前哨戦か。腕が鳴るわ。」
イスカリオン「帝国軍が北上を開始したことで、王都の民にも動揺が広がっているそうだ。
僕達は、早くこの戦乱を終わらせるように動くべきじゃないのかい?」
トレミナ「……。あ、ううん、なんでもないの。」
ロレイン「糧食、武具の準備は手配済みですので、いつでも出発できます。」
アイゼレア「フレダが王様になるのかぁ……。なんだか実感が湧かないよ。」
ゾルアック「フレダが王となるか……。感慨深いものだな。」
エスターテ「あのヘザーって子、なんだか、凄い力を感じるんだ。
只者じゃないぞ……。いや、王女様なのは知ってるけどさ。」
キャスターヴ「俺達は王様お抱えの部隊って事になる訳か?
堅苦しいのは苦手なんだがねぇ……。」
チャップルマン「南区を押さえられたままで、連合はなぜ黙っているのでしょうか?少し不自然に思えます。」
※神の所在
カトリーヌ「アンドリアズ、よろしいでしょうか?」
アンドリアズ「何だ?」
カトリーヌ「最近知ったことなのですが、ロウテイル大陸にはグランベル聖教とは異なる宗教があるのですね。」
アンドリアズ「ネイサン福音教のことを言っているのか?」
カトリーヌ「それ以外にも数多くあると聞きました。民族や文化、習慣によって育まれた多様な歴史が、世界各地で崇拝するための象徴を作り出し、人々を導くものとして畏敬されていると……。」
アンドリアズ「それがどうかしたのか?」
カトリーヌ「神は一つではないということです。わたくしがこれまで信奉してきたものや、これから信じるもの……どれが正解でどれが過ちか、自問自答することは無意味なのだと気づきました。」
アンドリアズ「お前はこれから何を信じる?」
カトリーヌ「もちろん自分自身です。わたしくはわたくしの目で見たものを信じます。」
アンドリアズ「以前のお前は清廉潔白すぎるが故に、常にどこかしら迷いが見え隠れしていたが、もうそれも無さそうだな。」
カトリーヌ「はい!」
カトリーヌ「戦いの火種は尽きませんね……。」
※迫る軍靴の音
アンドリアズ「王女、先日は助かりました。」
ヘーザリア「いえ。」
アンドリアズ「何か要望はありますか?」
ヘーザリア「特に何も……。」
アンドリアズ「そう……ですか?」
ヘーザリア「………………。」
アンドリアズ「王女、お伺いしたかったのですが、貴女の魔術の力ならば、自力で逃げ出すことができたのではありませんか?」
ヘーザリア「そうかも……しれません。」
アンドリアズ「だが……貴女はそうしなかった。なぜですか?」
ヘーザリア「わかりません……。」
アンドリアズ「いや、過ぎたことはもういいですね。まだ貴女には果たすべき役目がある。」
ヘーザリア「………。
あなた方の傍に置いていただけるのであれば、了承します。」
アンドリアズ「内容を聞かなくても良いのですか?」
ヘーザリア「あなたができもしないことを言ってくるとは思えません。」
アンドリアズ「……では、もう一つだけ。
なぜ我々に同行したいのです?」
ヘーザリア「あの方は、私の兄なのでしょう?
そんなにおかしいことかしら……。」
アンドリアズ「……わかりました。」
ヘーザリア「あの……やはりひとつだけ……
お願いをしてもよろしいですか?」
アンドリアズ「何なりと、お申しつけ下さい。」
ヘーザリア「私をブルーフォックスの任務に……
傭兵として同行させてください。」
アンドリアズ「それは少し危険かと……。」
ヘーザリア「先ほど、私の魔術の素養を褒めてくださいましたよね……?」
アンドリアズ「確かに貴女の魔術素養には目を見張るものがあります…しかし。」
ヘーザリア「お兄様も、王子でありながら最前線で戦っておられるのでしょう?
私も生きてみたいのです。この広い世界を……。」
アンドリアズ「……後悔するかもしれませんよ。」
ヘーザリア「それも、生きている証拠なのだと……今は思うのです。」
アンドリアズ「わかりました。」
ヘーザリア「私の力をお貸しします。アンドリアズ。」
アイゼレア「ねえ、リアズ。最近フレダの様子がおかしくない?」
アンドリアズ「そうか?」
アイゼレア「うん、気負い過ぎて、空回りしているっていうか……。まだ王様じゃないのに、色々やり過ぎ。」
アンドリアズ「これから国王になるんだから、仕方ないさ。
背負うものが多ければ、気負いもする。」
アイゼレア「でもなんだか人が変わったみたいで、少し嫌だな。
前の優しかったフレダに戻ってほしいよ。」
アンドリアズ「心配しなくても、じきに戻るさ。」
アイゼレア「リアズは大丈夫なの?」
アンドリアズ「なんのことだ?」
アイゼレア「まるで心の糸が切れてしまいそうな……。そんな風に見えるよ。」
アンドリアズ「馬鹿な……いや、お前にそう見えるのなら、そうかもしれないな。」
アイゼレア「ボクはずっとリアズの味方だよ。何があってもね。」
アイゼレア「なんでも、相談してね。」
ユーマリダ「アンドリアズ。」
アンドリアズ「ユーマリダか、ケリング半島への道程は?」
ユーマリダ「調査済みです。詳細はロレインからお聞きください。ただ一つだけ、魔獣の巣靴を進むことになります。」
アンドリアズ「帝国の包囲網に引っかからないのであればいい。」
ユーマリダ「今回の件、連合と組むという話ですが、ご存知の通りヴェルマ連邦軍の評判はすこぶる悪い。
むしろ帝国軍を追い出したとして、その対応に追われる結果になると思います。」
アンドリアズ「そんなことはわかっている。どんな影響があるにせよ、こちらにとって良い形にできるだろう。」
ユーマリダ「そうですか……。私には……測りかねますが。」
ユーマリダ「私はご指示に従うだけです。」
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