FF16小ネタ集
・ショートカット(バハムート戦)
自治領にて現実を受け入れられず茫然としているアナベラにはすでに目もくれず。
己を失いバハムート姿のまま暴走し続けるルサージュ卿を止めるため血を吐くほどまで立ち向かったジョシュアー。倒れた弟を抱き留めているジルに頼むぞと目線で語りイフリートへと顕現し向かったクライヴ。
しかしバハムートの威力はすさまじく一度沈められてしまう。
フェニックス(ジョシュア)「兄さん!しっかり!!」
がしっと埋もれているイフリートの背中をしっかり掴むと。
イフリートとフェニックスー2体が同じ属性故か、ひとつになりはじめた。
イフリート(クライヴ)「これは…⁉俺たちがひとつに…?」
バハムート(ディオン)(色々段階が飛んでいるような…)
・RPGあるある(セリフメイン)
・まずは
ヴァリスゼア、まだ黒の一帯の影響が及んでいない辺境地にて―。
クライヴ「こんなところにオベリスクが…」
トルガル「…‥‥」
理(さあミュトスよ。我の力を存分に用いそして我が創り出したものでさらに器に相応しくなるのだ)
(くるりと方向転換して)クライヴ「トルガル、まずは地理を確認だ。それと危険な魔物が居ないか気をつけろ。辺境の地であれば珍しい動植物がいるだろうから植物園へと持って帰るぞ」
トルガル「ワフッ🐺」
理(ミュトスぅぅぅぅ!)
※ここまで極端ではないですが、ストーリードリブンながら結構自由に動けるのだと青年期のザンブレク皇国領内ーノースリーチで感じていました。
あと拠点にあるトレーニングモードやリプレイがバトルの楽しみ方として大きい(笑)
・亀スピン
皇国領内に入ったとはいえロザリアにて遺物が遺跡から出て来たとモブハントにて依頼を受けたクライヴとトルガルは討伐へと向かう。
クライヴ「遺跡で大人しくしてくれれば…被害が出る前に倒すぞトルガル」
トルガル「ワフッ🐺」
道中アダマンタイマイがぐるぐるスピンを仕掛けて来たー。
ふたりですぐに避けつつ剣を構え一瞬の隙に切り込んでいく。
(5年前は俺が避けた時にトルガルが飛んで行ってしまったが…慣れたものだな)
後に合流したジョシュア。タボールに向かう道中。
ジョシュア「兄さんさっきの戦い方を見て思ったのだけど」
クライヴ「どうかしたのか」
ジョシュア「タルヤのカルテにも縫うほどの怪我を構わずに飛び出したとあったよね。兄さんがそうした人だとは僕も分かっているさ。けど時と場合によってには攻撃を避けることも大事だよ」
クライヴ「ああ…そうだな」(前にトルガルが吹っ飛んでしまったからなるべく攻撃を避けるより隙を狙う癖がついてしまっているのかも)
ちょっと腕を組んで考えてからー…。
クライヴ「魔物が集団で来たらジョシュアとジルで魔法を同時に放ってくれないか。ひるんだ隙に俺とトルガルで一気にカタをつける」
ジル「分かったわ」
ジョシュア「ヨ―テが待ってくれている。急ぐのにもいい作戦だね」
※うっかり味方がダメージくらうと避けづらいと感じるの私だけですかね(笑)
・しっくりと(ブラックソーンとオーガスト)
クライヴ(召喚獣の力を手にしたのもそうだが…そこから落ちて来た結晶からブラックソーンに随分と剣を打ち込んでもらってきたな)
オーガスト「クライヴ、ちょっといいか。ブラックソーンが打って来たお前の剣のことだが」
クライヴ「どうした」
オーガスト「すぐに使わないのはあいつの側に立てかけておかないか?あいつ自身と俺たちとの生き様として」
クライヴ「そうだな、そうさせてもらうか」
しばらくしてー。
ブラックソーン(むっ…。あれは外大陸から来た一撃必殺の…。
いいだろう、ゾルターンとお前の最後の武器を完成させた。そして今度は石の剣の奴らの為に、だ)
クライヴ(飛竜草の依頼で後から見つけたバルナバスの剣と似たものだったが使い道がな…。いまはこの剣がしっくりと来る)
※その場では忘れていて後から手に入れる武器類(笑)
クライヴあまり刀系は似合わないのですが、斬鉄剣のお蔭で用いれるようになっているのかしら。バスタードソードやブレイブブレイド装備すると彼の体格の良さが分かります。
・ロマン(16男性陣)
ロマン系も多いヴァリスゼア大陸
ザンブレク皇国兵A「大砲はロマンだよな…」
ザンブレク皇国兵B「我々の軍に海兵隊はないからな。地上戦となると聖竜騎士団がジャンプで幅を利かせる。ならばクリスタル採掘場…つまりは地下でこの武器を思う存分振るうとしよう」
ザンブレク皇国C「殴っても良し、エーテルを用いた弾を打てば火だけでなく氷や雷も起こせる。さっそく武器開発部門に相談を持ち掛けるか」
※大砲抱えた兵への私の感想。危ないって、こんな狭い場所じゃ自爆だ自爆(特にロストウィングの地下倉庫)
ダルメキア兵A「フーゴ様の己の肉体を用いた戦い方はロマンだよな…」
ダルメキア兵B「己の拳にて大地を割り、叩きつける。痺れるよな」
ダルメキア兵C「タイタンの力だろうなどと失礼なことを言う輩もいるが…それを制してこそのドミナント。フーゴ様は頭も良い。協議会も逆らえないわけだ」
※フーゴさんの部下たちは彼が生きている間はフーゴ武勇伝を日々語ってそう。亡くなってからはタボールまで行く道で出会った部下がフーゴ寄りの見方が正しかったのか疑問を浮かばせる姿が興味深いです。
スレイプニル「バルナバス様の魔力によりこの私が分身出来る限度は…」
バルナバス「そんなことに拘ってどうする」
スレイプニル「なにをおっしゃいますか。魔法生物とはそうたやすく作り出せるものではない。これが上手くいけばオーク族の軍隊をミュトス歓迎に回せるではありませんか。
一騎当千というのも憧れますがね、相手をこちらのペースに完全に引き込み翻弄するというのも面白いものですよ」
理「ふむ。ミュトスの成長を促すというのであればこちらから眷属たちをもっと遣わすか」
バルナバス「あれらの中には姿をくらませそして死角へ回り込めるものもいます。“あちらの次元”と関わりがあるのですか」
理「行方をくらませ。そしてあちらの世界から思いもよらない方向から姿を見せる。愚かな人には理解が出来ない生命体だ」
スレイプニル「ロマンですねぇ…」
バルナバス「‥‥」
理「何より。ミュトスが器に相応しくなるのであちらの世界との接触も重要だ。行き来をするわけだからな。今は我(We)が引き込んでいるが眷属たちの魔法を直接はくらわずともその目にし切り込んでいくのであれば思考と身体に影響を及ぼすであろう?」
バルナバス(計画通りに事を運ぶと)「一応、考えてはおられると」
理「一応とは何だ」
スレイプニル「バルナバス様、本音と建前が逆になっています」
※バルナバスの剣も結構ロマンだと思うのです。斬鉄剣設定は今までのナンバリングタイトルにはなかったものでしたね。
バイロン「兄上。北部地方の遠征も大変お疲れ様です。
して、その子狼は―?」
エルウィン「狼の群れに敵意を持って囲まれてな。退けたが散り散りになった中ではぐれたのだ。クライヴなら懐くかと思い連れて帰るのだ」
バイロン「もう馬(チョコボ)で狩りに出ているとこの間屋敷に来てくれた時に聞きました。いずれはクライヴとこちらも共に狩りに出て行くのですな」
それから19年後―。
ハルポクラテスとクライヴからトルガルの正体についても聞いたバイロン叔父さん。
バイロン(兄上はとんでもない置き土産もされたものだ…)「それにしてもその群れに打ち勝つとは。兄上もなかなかのロマンじゃな…」
※エルウィンさんは若い頃はけっこうバイロンさんやマードック将軍と無茶していた印象あるのですが(笑)バイロンさんが武器に興味を示すのって兄上の影響も大きそうな印象。
実際は統治を支えるためでしょう。その辺りもエルウィンさんが兄弟での統治を考えていた背景に繋がっていると考えられますね。
・集中力(望郷組と拠点メンバー)
インビジブル拠点に居住するようになってからジョシュアが行く場所と言えばやはり図書館で。
(本を開いて読んでいる)ジョシュア「‥‥‥‥」
静かに集中している弟を図書館の外からそっと見送る。
クライヴ(物心つく前からずっとこうだったな。自分が出来ないことを俺が良くやっていると言っていたが…)
今はそのままにしておこうと進み出るとちょうどヴィヴィアンとばったり出くわした。
ヴィヴィアン「その様子だとクライヴ、君の弟が中にいるようだな。後にしようか」
クライヴ「いや、構わない。集中している今は周囲の音など気にならないはずだ」
ヴィヴィアン「…ふうん」
クライヴ「どうかしたのか」
ヴィヴィアン「以前、君は私がアイデアを出すまで張り付こうとしたことがあっただろう。君が政を指揮するなら暴君になりかねないと思ったものだが…なるほど、弟の影響か。凄まじい集中力の持ち主なのだと。これは私も負けていられないな」
コツコツと迷うことなく歩みを進めていったヴィヴィアン。学者である彼女の魂に火が付いたらしい。
特段そうした意味ではなかったのだが、彼女のモチベーションアップになっているのであれば結果としては良かったのだろう。
ちなみに後の日にシャーリーの教室で授業を受けている子どもたちが先生とジョシュアはどちらの頭が良いのか周囲に尋ねてそれがまたヴィヴィアンの魂に火を付けることになる。
ヴィヴィアンを見送ってから協力者窓口の方へと階段を降りていくと普段は石の剣のメンバーが作戦会議に出向かうのとしばしの休息の為にくつろぐことが多い備え付けられたテーブルにて。ジルと倉庫番のオルタンスが針子に勤しんでいた。
クライヴが静かにだが近づいても彼女は手先を器用に動かし糸を縫い続ける。彼の方に気づいていない。すごい集中力だなとそう思い、ジルも今だけはそのままにしておこうとこの場も後にする。
オルタンスはクライヴの言った通り針子が本当に得意なんだねと感心しつつ同い年である彼がどこか寂しそうな―あれは本人も気づいていないかもね―気配を感じたので後で彼が自分の所に来たらジルは大切な人の為に縫っていたんだよとそっと教えてあげようとそう思った。
サロンに向かうとトルガルがカローンの前でくつろいでいた。ぽんぽんと頭を撫でてやると外での喜びとは違いゆっくり音もあまり立てずにぱたぱたと尻尾を振った。
カローン「集中しているんだろうね」
その言葉に顔を上げると。
カローン「あたしが面倒を見ている間は落ち着いているようでずっとあんたを見つけたい探しに行きたいっていう気配を醸し出していたんだよ。あそこで礼をようやく聞けて肩の荷が下りたもんだ。今はそうだね…これからのことも考えて気を引き締めている。けど落ち着いていて焦ってはいない。あたしに似たんだろうね」
クライヴ「カローン、改めて感謝する」
カローン「グツにも見習ってほしいもんだ」
クライヴ「グツにも感謝しているさ。ジルを運んでくれてあそこに連れて行ってくれたからこそ今の俺とジルがいる。そしてジョシュアと会えた」
カローン「…訂正するよ、あんたに似たんだ」
さてあんたの集中力が途切れないようにあたしとブラックソーンでまた仕入れと鍛治に励むとするかね。カローンがキセルからとんとんと灰を落としてからまた商売へと向かい始めた。
クライヴ「今度はグツがふたりに似てくるさ」
・伝統(バルナバスと理)
※セリフメイン。コメディより。
青年期のバルナバス―母親と共に後にジョシュアが発見したマリアス教の壁画を眺めている。
バルナバスの母「…部族たちもあの御方の信奉者。バルナバス、小さい頃から教えて来たことはきちんと覚えているかしら」
バルナバス「もちろんです、母様」
バルナバスの母「ここにある壁画も遺物も全てあの御方が生み出した、それだけがこのヴァリスゼアに残された。
道を何一つ外れてはいけない、何一つ逸れてはいけない。さあ、ここで教えと行ないを復唱致しましょう」
バルナバス「はい、母様…」
時は流れクライヴが自らをイフリートと受け入れた頃―。
理「フェニックスゲートにてミュトスは己がイフリートだと気づいた。機は熟しつつある」
バルナバス「種はあちこちに巻いております。シドルファスには気づかれたようですが、あくまでこの大陸を混沌とさせているというだけです。自ずとラムウの力を差し出すでしょう。ベネディクタの首はフーゴ・クプカの下に。あの男のこと、執拗に追い回す。破滅と共にタイタンの力を失う」
理「フェニックスの力を一部とはいえイフリートの力と共に人の形を保ったままでも使いこなしていたな。再び覚醒したばかりとはいえ上出来だ。後は我(We)がお前を含めそれぞれの召喚獣の力を奪う際に枷をとく」
バルナバス「フェニックスゲートは本来フェニックスのドミナントのみを通す遺跡。力をつけさせる為に様々な御用意を―」
理「ん?別に要らんぞ」
バルナバス「‥‥‥‥‥」
理「眷属たちを我(We)の魔法の力で幾らでも軍勢として呼び出せるからな。お前の母は随分と細かいことに拘っていたようだが‥‥我が姿を見せてやっただろう?
ミュトスがいる今となっては―いや元より必要ない。オベリスクもミュトスのみが使えるようにして行く先々で眷属たちを遣わす。糧となるものはそれだけで良い」
バルナバス「‥‥‥…‥」
理「バルナバスよ、お前もミュトスと戦うことになる。心構えをしておけ」
理が姿を消してから―。
バルナバス「…スレイプニル」
スレイプニル「はい、バルナバス様」
バルナバス「オーク族をいつでも風の大陸へ仕向けるように画策しておけ」
スレイプニル「仰せのままに。まあ、仕方ないですよ。あの方にとってはミュトスが全てなのですから」
バルナバス「お前も魔法だ。眷属たちを送られる前に自由に数を増やしてミュトスが器として相応しいのかどうか判断をしろ」
スレイプニル「おお、やった。好きにして良いのですね。いや~その時が待ち遠しいですねえ」
※母の姿を見せる理に全てを捧げたとアルティマニアの解説にはありましたが。
根底はどこか己の生への執着として反発していたのでしょうねバルナバス。スレイプニル含め戦いへの渇望はそこにあるのだと。
・綺麗(アンブロシアとジル)
※覚えているの後日談のようなものです。単体でも読めます。
それはふと視線を向ければ目に入ってくるので迷うことなく言葉にする。
「毛艶が良いな、綺麗だ。今日も頼むぞアンブロシア」
空が覆われて透き通った青空が見えなくなり少し日にちが経った。ようやくジョシュアも目を覚まして、実に18年振りに3人でいられるようになったのだ。
フェニックスを降ろして苦しんでいるお前が目の前にいるのにナイトとして誓っておきながら。
何も出来ない自分が嫌で飛び出そうと炎と崩れていく瓦礫からアンブロシアが俺を守ってくれたのだとそう伝えると。
ジョシュアも両手で彼女の顔を優しく包み込み、じっとその傷ついた瞳を見つめる。
気高くそれでいて兄さんの為に自分の瞳が傷ついても構わなかったのか…。
忘れないでいてくれて…感謝している。トルガルにも、な。
ロザリアの宝と呼ばれていたんだね。アンブロシアに相応しいね。
白い馬(チョコボ)はひときわ目を引く。群れを率いて彼らを守っていたからなおさらその生き様が目に焼き付いたんだろう。
狩りに出ていく兄をジルと共に見送っていた少年時代を思い出した。
気性の激しさは兄がまたがり森や荒野であっても大地をしっかりと踏みしめそして相手が魔物であっても強烈な蹴りをお見舞いする姿から変わっていないのだとよく分かる。
荒々しくも気高い。アンブロシアはそうした気質であり、兄も弟も綺麗だとそう語る。
2,3歩ほど離れたところでジルが兄弟のそのやり取りを眺めていた。少女だった時は厳しくても稽古を欠かさないクライヴをひとりで、そしてジョシュアが屋敷の外に出られるようになってからふたりでよく見届けていた。アンブロシアにまたがり狩りに出て行くその姿も。
その時は自分も馬(チョコボ)にまたがって彼に付いていくなどとは思ってもいなかったがすっかりと慣れた。
「さて、のんびりしている時間はあまりない。急ぐぞ」
狩りに出ていた時と同じく颯爽とクライヴが乗り込み。
「クレシダだったね」
ジョシュアが借りて来た1頭に。
「バーナードの家族の墓がある。奥で徘徊している遺物に壊されてしまう前に退治しておこう」
「かつて戦った遺物たちは妙な剣を持っていたわ。範囲は広いでしょう、私は外から魔法で援護するわね」
「ああ、頼む」
ジルももう1頭に乗り込んで目的地へと向かう。
「助かったよ。バーナードにはふたりがここに来たばかりの頃に橋を直してもらった礼もあったからね」
空の異変が起きたままとはいえ、夜は闇に包まれる。
そうした中で月だけははっきり明るく見えヴァリスゼアの人々は隣に赤く輝くメティアと共に見上げるのだ。世話代としてギルを支払った宿の外にて馬(チョコボ)を世話している男はこれがそうなのかとまじまじとアンブロシアを見つめている。隣にはおやつをもらって丸まったトルガルの姿も。クライヴが少し待っていてくれるかとトルガルの頭とアンブロシアの首をぽんぽんと優しく撫でたので大人しくしているのだが、実際に彼らが駆けていく姿を目にしたらさらに度肝を抜かれるであろう。
マーサの宿にても報告を終え、せっかくなので豆と野菜の入ったスープくらいは作り立てだし食べていきなよとカウンター席で招かれたのでありがたく頂くことにした。ニンジンをさりげなく残そうとしている弟の様子に子どもの頃からこうだったんだとクライヴが語るものだから。
ジョシュア様もお変わりないようでとマーサもからかうのではなくほっとした様子でああエルウィン様の魂はやはり残っているのだとそうじんわりと実感した。
パンの方はほんのり酸っぱい味わいがした。
ジルがそのことについて尋ねると、ドレイクヘッド破壊後のことはカンタンから聞いていますよね、小麦の収穫が厳しくなったので向こうから売りに出せないワインを分けてもらって長持ちさせるために入れているんですよと彼女は周囲に聞こえないようにそっと告げてくれた。
ジルがモリーにも話しておくわねとほほ笑んだので宜しく伝えてやってとマーサもインビジブルにいつか顔を出すような含みで元気に答えた。
食事が終わり次の作戦について打ち合わせをしようと2階で空いている部屋はあるかと立ち上がった兄弟に対しジルは針と糸を借れないかとマーサに持ち掛けた。先ほどのアトモスとの激闘でほつれてしまった箇所を話し込んでいる間に直そうとそう思ったのだ。
すぐに持っていくから2階の一番奥の部屋へどうぞと案内され、3人で足を早める。
大人が3人上ると若干狭くはある宿内、先に進んでいたクライヴが扉を開きジョシュアとジルに中に入るように促す。
ジョシュアが入り、そしてジルが進もうとするとクライヴがそっと耳元で今日も助かった、ジル。帰りにノースリーチに寄ろうと思うとそうささやいた。彼女が振り返ると。いつも丁寧にそのリボンで髪を纏めているだろう。市場ではまだ布を取り扱っている商人がいるから新しいのを君に贈りたいとそう優しい瞳と共にそう語ってくれた。
“綺麗だ”
彼は特段彼女に対してはそう言葉にはしない。ずっと会いたくてもう会えないのだろうと思っていた彼女は戦いを覚え兵器として長年過ごしていた。望まないまま剣と魔法を扱い。変わったのだと自ら彼に告げて。
人でいたいと、涙を流しながらただ傍にいるだけでない、本当の意味で彼と居たいとようやく告げたのはついこないだのことだ。
彼女の容姿だけ見ればあまりもう思い出したくはないのだがフーゴたちの部下が下品な品定めしていたように男にとってはそうした意味でも価値があるのだろう。
彼にとって彼女はそうした人でない。もっとずっと中にあるもの。
彼女が大切にしたいと願っている心の奥底にあるもの。
凛として毅然とした姿も、本当は心の奥にしまいこんだ大切なものを動かしたいという必死で抗うその歩み方そのものも。
彼を強烈に惹きつけているのだ。だからこそ彼は彼女を尊び敬愛する。言葉ではなく行ないでそれを示す。そうでなければ君に伝わらない。彼自ら進み出ていくのだ。
前に進むと決めたあの時から。その中に君も共に含まれているのだと優しい瞳でそう訴えてくる。
瞬き程のほんの数秒。それでいて彼の想いを彼女はしっかりと受け取り。
「ええ、行きましょう」
ゆっくりとほんのり微笑んだ。ちょっと頬が上記しているのは気のせいではない、確かに暖かくなったと感じて。
「良かった」
さあ次だな、と彼も部屋へ入って行く。
「兄さん。その前に相談したいことがある」
弟が持ち掛けた内容から再び抗なければならない事態に3人で意識を向けた。
人から離れながらも人であることを貫こうとした彼と。
人に戻りたいと願いながら彼への想いをずっと募らせつづけた彼女の。
これは想いの繋がりを重ねてきた中でのちょっとしたやり取り。
・ふっくら(クライヴ←ジル&トルガル)
新しい拠点の生活にすっかり慣れてからクライヴだけでなく、子どもたちが食べ残しをすると怒られるので残ったパンくずをこっそり上げて。ちょっとしたときでも石の剣のメンバーにおやつをもらうようになったトルガル。
(※実際に犬種にパンを与えるのは身体に悪いのでやめましょうね。)
(父上の言われた通り再会出来たときには大物になったと思ったのだが…ここの所は…)
サロンにてお茶をしているジルとミドに軽く手を上げて。
ハルポクラテスの所から自分の私室へ戻ろうとカローンの傍でのんびりと過ごしているトルガルが視界に入った。クライヴが独り言ちる。
「(トルガルが)ここ最近ふっくらしてきたな…」
「…」
「ん?ジルどうかした?」
「ううん、なんでもないの」
数日後―。ミドの大工房にてブラックソーンに部品を頼んだ後、次の買い物に関して彼の私室にて打ち合わせをし。部屋に戻ろうとする彼女に声を掛けた。
「ジル。ここ数日、君があまり食べたがらないと皆が心配している。何か悩んでいることがあったら教えて欲しい」
もしかしたら女性特有のものかもしれない。デリケートなことには触れない程度に優しく尋ねると。
「いいえ…。あのね、クライヴ」
「どうかしたのか」
「あなたも…その、綺麗な人の方が良いわよね」
目を伏せながらそうぽつりとつぶやかれた。
「‥‥」
どういった意図でそう尋ねてきたのか一瞬掴めず。どうやら彼女は己がどう彼女を見ているかとても気にしているのだとそう気づいた。
「…目が覚めて仕度を整えるとすぐに君が駆けつけてくれる。ここではそれが日課のようになっているな」
「‥‥」
彼のその返しに彼女が顔を上げた。
どう答えるべきか少し思い巡らしてから発したものを彼は続けていく。
「再会出来てからずっとそうだった。すごく感謝している。俺に合わせるように君が動いてくれて、それはものすごく大変なことなのに君は俺にそれを感じさせようとしないで。今でこそ俺も顕現は出来るが君に負担ばかりかけていた。ひと言では言い表せないな…」
「うん…」
ジルの表情が明るくなっていく。
「だからこそ、なのかもしれない。君に何かあったと聞くとどうにも落ち着かなくなる…」
照れ隠しも真剣に伝えた方が良い。そう考えてまっすぐ見つめると。
「私だって…フーゴとの決着へあなたが向かった時…戻ってくるまでずっと辛かった」
待っているだけでは辛いからと鉄王国にて因縁を断ってから一時期ははっきりと彼に対して想いを告げる兆しを見せていた彼女だったが。
ロザリスにてあの男に捕えられ結局クライヴの足手まといになってしまったと感じてからジルはまたどこか抑え込むような傾向へと戻った。
加えてミドの計画が終われば次はマザークリスタルドレイクテイルークリスタル自治領に向かうことになる。
顕現出来るようになったクライヴはモブハントや他の用事を出来る限り済ませようとひとりで拠点から出掛けていた。だからなのかもしれない。
彼女を引き寄せそっと頭を撫でる。5年前にも抱えて連れ出そうとし、目を覚ましたばかりの彼女を抱きしめた時と同じだ。
繊細なつくりの君に負担をかけていることや辛い想いをさせていることも申し訳なくなる。
人でありたいと語ってくれたあの時からなおさら人であって欲しいとその願いが沸き起こるのだ。
「すまない…それにしても君は華奢だな…」
「…そう、なの?」
「誰が見てもそう答えるさ」
「それじゃ、この間あなたがふっくらしたと言っていたのは」
彼女が目を少し丸くしながらそう言ったものだから、彼は少し瞬きして。
「…?ああ、トルガルのことか。トルガルもいつも俺に呼吸を合わせてくれる。が、どうにも丸くなってきているからな。次のモブハントではオベリスクに頼らずアンブロシアと一緒に思いっきり走らせようかと」
「あら、良いわね。馬(チョコボ)はまっすぐ走ると風を切らせて気持ち良いのよね。私も行くわ」
翌日―。
変わらずクライヴを先導しようと元気に走るトルガルの姿と。
その狼の後に続いて風を切らせ2頭の馬(チョコボ)を走らせる一組の男女の姿がドラゴニエール平原にて聖なる目にとどまったままのダルメキアの商人たちの目に飛び込んで来た―。
ちなみにカローンの提案でトルガルのおやつは回数が決められ。後々の彼女の助言でトルガル自身アンテロープ種の骨をしっかりと噛むようになっていき。
子どもたちはシャーリーの教室にて食べ物をなぜ粗末にしてはいけないのか授業で取り上げ食べ残しもなくなっていった。
・手と手(クライヴとジル)
よく手を取り合うように、彼の手の甲にそっと重ねるようになった。
誰かに言われた訳ではない。シドの前で誓いを立てたあの日を除いたら
ふたりきりの時にそうすることが多くなった。
小さい時はとても寂しそうな小さな背中を見せていた君の手を取って連れて行くことに戸惑いはなかった。
成長するにつれてきょうだいの間柄とはいえジョシュアと違い血が繋がっていない。馴れ馴れしくするものではない。
今日の稽古を見届けてくれたことに感謝を伝えてからなるべく俺たちの気持ちが沈まないように明るく前向きになれるように話を続けようとして。もう今日は遅いから休んだ方が良いと促がした。
ジルはおやすみなさいとどこか寂しそうに微笑んで去っていく。
おやすみと、心の中で返した。
直接ではなかったとはいえ、剣を取り魔法を使って多くの命を奪った。
心の悲鳴を、悲しみを、謝ることも、痛みさえ押し殺しながら。
そうでないと誰かの命が奪われる。私はもう誰かの手を取れない。誰も私の手を取らないと。逃げ出すのも出来ないのだからせめてここで死のうとそれだけを考えていた。
あなたが生きていて。お互いに何があったか現実を知ってからは受け止めると手を重ねた。
彼もまた、望まない命令を果たす日々でそこから解かれたばかりなのに。
向き合わなければならない現実が押し寄せていた。
マザークリスタルが人を幸せにしていないヴァリスゼア大陸。
大部分の人たちは手を取り合わず、目の前にいるのは人なのに手を差し伸べることもなくただクリスタルにすがりつづけていた。
ずっとそれがこの大陸の“認識”であった。それを変えようとしているのだ。あちこちで戦争が起きていて、それでいて彼らは戦争をしに来た訳ではないのだ。
痛みと苦しみは同時に起こっている。石化が広がった―同時に因縁を断ったのだからこれからは人として立ち上がる戦いだ。
そうした時にも手を重ね合う。想いが伝わる。想いを伝える。あなたと、私と―。
ガブから声がかかり、ふと我に返った。己の手を握りしめ、その温かさは。君が人らしくなろうとしているという証。
まだ俺たちは歩み続けなければならない。俺たちの因縁の相手も残っているのだから。
この手が行なっていたことはあいつらの手の平でしかなかった。
それが真実だと突きつけられても彼女は彼の手を取る。
あなたの手を取る。あなたは昔からなにひとつ変わらないでいてくれたのだと。
あなたが人だから、いつだってだれかに目を向けて守ろうと救おうとしていたから…だからこそ私も人でいたい、そう思っていた。
白い君の手を取る。感謝と、敬愛と、愛おしさを込めて。
他でもない君だけなのだと。こうして俺の手を取ってくれるのも、手を取りたいと俺自身が願うのも。
口づけを送ると一瞬戸惑ったようでその意味を受け入れていき。涙と共に溢れてくる想いがそこにある。
そしてしっかりと俺の背中へ両腕を回してお互いの温かさを確かめ合う。
手と手を取り合ってそこから伝わる愛を注ぐ。
そうして、満たされていく。