FF16小ネタ集
・率いる(マスコット組)
青年期、クライヴが拠点に来て間もない頃。
ジルはまだ眠りについていた―。
シド「俺が探し当てた時は狼の群れを率いていたな」
クライヴ「トルガル、流石だな」
シド「クライヴを探しているんだ付いて来るか?と誘ってみたらすぐに応じた」
クライヴ「…そうか、ありがとな。トルガル」
(優しくトルガルを撫でる)
トルガル「ワフ🐺」
ネクタール「‥‥‥」
・壮年期、チョコボの群れを守ろうとスリーリーズ湿地帯にてアンブロシアと再会するクライヴ
クライヴ「アンブロシア、離れていた間はここのチョコボたちの群れを率いていたのか。トルガルもお前も大したものだ」
アンブロシア「キュイ…」
クライヴ「分かっている、協力者であるマーサの宿も近い。ここに訪れる度に群れの様子を見に来よう」
拠点に戻ってから―。
ゴーチェ「クライヴの馬(チョコボ)見たか?白いのはなかなかお目にかかれないから驚いたぜ。本当に綺麗だよな」
デシレー「ええ。それに群れを率いていたなんて…クライヴの馬(チョコボ)はすごいのよね」
バイロン「はっはっは。わしの甥っ子の為に生まれたようなものだからな」
ネクタール「‥‥‥」
石の剣のドリスやオーガスト、オットーやゴーチェたちと話し終わってからネクタールに近くに依頼や被害報告は来ていないか確認するクライヴ。
ネクタール「クライヴ、モグの武勇伝…」
クライヴ「故郷の森が黒の一帯に脅かされる前に帰れるようにしないとな」
ネクタール「ありがとうクポ。モグもクライヴと一緒にいられる内に群れを率いられるようになるクポ」
クライヴ「そうか、仲間たちがどこにいるのか見当はついているのか」
ネクタール「それはまだクポ。でもいい方法があるクポ。モグたちはクポの実がチョコボのギサールの野菜みたいに好物クポ。だからここでたくさん実を生らせて溜め込んでおくクポ」
クライヴ「それは構わないが、ギサールの野菜と同じで煮たり焼いたりしても食べられないものだろう。子どもたちが間違って口に含んだりしたら大変だ。貯蔵する場所を考えておかないと」
ネクタール「クライヴの寝床の下に隠しておくクポ」
クライヴ「ああ、そこなら確かに邪魔にならないな。いいだろう」
ネクタール(そしてクライヴは最近拠点にいないから、モグが堂々とそこで大の字で寝てちょっとしたリーダー気分になるクポ~♬)
後日―。
数日拠点にいないクライヴの部屋にてベッドメイキングしに来たオルタンスにシーツごとひっくり返されぐっすり眠っていたネクタールは床にそのまま落とされたとか…。
・孤独な狼
ザンブレク皇国内、協力者のひとりカンタンが住むロストウィングにて。
水はけが良いこの土壌ではゴールドン・ルージュと呼ばれるワインが収入源の主であり。
5年前に訪れた時には小さかった子どもたちが今度は魚釣りを覚え、収入元になるニワトリスの畜産を手掛けている。
隠れてベアラー保護活動を行なっており、ベアラーたちの魔法による風を起こして洗濯物を乾かしたり水や炎を起こしたりと一見法による体裁を取っているようで彼らの負担にならないように怪しまれない程度に切り上げ、そして仕事の技術や読み書きの教えを施している。ここにいる野良犬たちは勝手に居着き、痩せて姿も見ずぼらしいが人には慣れており偶に訪れるクライヴたちへの警戒心もなく吠えたりはしない。お客人、と箒で掃きながら村の付近にいる女性が声を掛けてくれた。
ロザリア7大家族とも強い繋がりを持つ叔父のバイロンがクライヴたちの活動に資金面において多大な援助をし。
自分の人生においてこれほどまでの金額に携わる機会が果たしてこの先もあるのだろうかと目を丸くしたガブがこそこそと“なあ、ちょっとだけ高価なワインを…”とオットーとこぼしていたのを覚えていたので、ジルと共にノースリーチへの買い物の用事に出たついでにここの貯蔵庫に寄って話をつけることにした。
「おお、君が魔物を退治してくれたお蔭で今年も良いワインが出来そうだ。お礼に少し割安で―いや、こちらも商売なのでね。とびっきりを送ろう」
トルガルは狭い貯蔵庫の中で書き入れ時は人の往来が多く、毛が飛び散るのは困るな…と外で歩き回っていた。
普段と違うにおいにはっとして視線をそこに向けると。見ずぼらしい野良犬たちとは異なり体格も狼の種である自分と近い白くて美しい犬種が崖側の茂みに立っていた。放っているフェロモンからもメスであることが分かる。
思わずじっと見つめていると。
何匹かの同じ種の子どもたちが母親の後についてきたのだろう。足元でじゃれており彼女の警戒が強まった。
ピスピスと鼻を鳴らすと相手もトルガルに敵対心はないと分かったらしくそのまま踵を返し子どもたちを引き連れて去って行った。食べもののおこぼれに与ろうとしていたのだろう。
すこしの間ぼんやりと消えた親子が現れた場所を眺めていたトルガルだったが妙な寂しさを覚えて。
クライヴに撫でてもらおうとタッ、と足を早めた。
貯蔵庫からはもう彼のにおいはしなかったのでフンフンと嗅ぎながら教会より上の階にいるのだと分かると梯子を上手く器用に前足と後ろ足で上り切って彼とジルを見つけた。
高い場所からロストウィングの彼らの生活と、ベアラーたちの状況を眺めていたのだろうか。この村にはマスターであるカンタンの掟が絶対であるという妙な決まり事があり―他の協力者たちの街や集落とは異なっていた。
シドとの関係においても他の協力者たちとは異なり距離があるとクライヴは彼と共に訪れた時から感じていた。
トルガルが目にしたふたりは真剣に見つめ合ったかと思えば真正面から抱き合う。ドレイクブレス破壊後、そして因縁の相手であるフーゴと決着をつけてからクライヴとジルが互いに放つ気配がどんどん変わってきているとトルガルも感じてはいた。
ワフッ、とまた寂しさを感じて声を出したトルガルに振り返って気づいたクライヴが笑みを浮かべ近づいて両手でわしわしとトルガルの顔を撫でて。探しに来てくれたのかありがとうなと笑顔で語ってくれて。ジルも優しく背中を撫でてくれている。ハフハフと歓喜を上げて先ほどまで去来していた寂しさがなくなった。
離れ離れになってから必ず生きているはずだと人が形成していた集落からは離れ、深い森の中で狼の群れを率いていた時も。
シドに噛み癖が直らんなと腕輪をはめられ。
狼は普段は孤独な生き物のはずなんだが-。シドがトルガルを見つめて淡々と語る。
“焦燥感があるのか。それはそれだけお前があいつを深く思っているからなんだろうな。
諦めていないのなら、見つけられるさ。あてにしているぜ、トルガル”
そう見抜かれていた。
小さい時に大公を通して出会ってからはすぐにその後についていくようになった。
ずっと探していた。孤独を感じることはなかった、このヴァリスゼアのどこかで必ず生きているとそう信じていたから。
月が美しく大きく輝く時には群れから少し離れて遠吠えをした。ここにいる、必ず見つけ出すと。
そうして、また出会えた。
今こうして振り返った時にも浮かべてくれた笑みから。再会出来た時と同じ喜びを感じていて忘れないでいてくれたのだと分かるのだ。背中を撫でているジルに対して向けているものはどんどん変わっていっても。自分に対しては変わっていない。ずっと大切に想ってくれていたのだ。
尻尾を素早く振りながらそんなことを思った。
少し時が流れ、影の海岸にて。
トルガルが深い眠りについている間に覆うものがなくなりお互いに心から向き合い。
月が美しく照らし出される満月の夜。真っ暗な黒の一帯の中にて。
我慢することになっても彼の決意を彼女ひとりだけに向けられる愛と共に受け入れたジルと、彼女を苦しめていた過去と罪を背負いながらこの運命に打ち勝って君と共に生きていくと誓うクライヴの姿がそこにあった。
相棒が目覚めてからふたりはエンタープライズと落ち合う沖合に向かう。
トルガルはふたりの背を見つめながら、クライヴが語ったことを反復していた。
トルガル、この運命に打ち勝ったなら。辛い現実が止まなくても。
青空の下でまた旅をしようと。
おまけ(?)
クライヴとジルが誓いを通して想いを通じ合わせていた頃―。
別の海岸にて同じく濡れたひとりの王が裸で焚火を起こしながら身体をあたためていたのかどうかは本にも記されていないので、誰にも分からないことである-…。