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キャラメルポップコーン

二人っきりの久しぶりの休日は、お家デートになった。私の家に空閑君がいるのはなんだかくすぐったい。

この日のために、隅から隅まで家をピカピカにして普段ならしないけど特別な日だから近所のお花屋さんで買った
お花を飾って、鼻唄混じりで空閑君のお母さん直伝シチューも作った。

我ながらこの気合いの入りようにはあきれてしまうけど、誰かを思って料理をしたり、掃除をするのは、とても楽しい。

空閑君が来てそうそうお腹を鳴らすので、ご飯を温める。シチューを美味しそうに食べる姿はとても年相応に感じて、学校ではこんな感じなのかなと私が知らない空閑君に思いをはせる。

多目に作ったシチューはすっからかんになった、空の鍋見たら嬉しくなって心の中で静かにガッツポーズする。
後片付けは空閑君がそっせんしていつもやってくれていて、二人で台所に立つと何だか新婚さんになったみたいでちょっと恥ずかしい。

その後空閑君を迎えに行った時に近所のレンタルショップで一緒に選んだD
VDと、道すがら買ったポップコーンとオレンジジュースをセットする。

最近お家でご飯を食べて映画を見るのが定番コースになっていて、密かに私は映画を見てる空閑君の顔がとても好きで、集中している時に顔に力が入って眉をひそめている顔は、とても美しいし彫刻みたいだなと勝手に思う。

それに空閑君の髪の毛はキラキラしてて、お釈迦様が垂らした蜘蛛の糸みたいだ、ヘルメットを脱いだ時に無造作に揺れる髪は良い匂いがするし、太陽に反射して綺麗で見とれてしまう。
どうやったらあんなにサラサラになるのかなとついつい自分の髪の毛と見比べてしまう、あんなに雑に乾かしてるのにと心の中で悪態をつく。

私が見てるのに気づいたのか空閑君と目が合う。

「どうした?」

私に問いかけるその目はとてもキラキラしていて宇宙みたいだ。

「何でもないよ」、と小さな嘘をつく
控え目に私のおでこにキスを落とす空閑君は、同じシャンプーなのに不思議と違う匂いがして離れていた時間を思いだして少し胸が苦しくなった。

映画はもうすぐクライマックスでカップルはハッピーエンドを迎えるだろう。

一口食べたキャラメルポップコーンはとても懐かしい味がして、手に塗ったネイルと同じ色だった。
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