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Forevergreen

たまたま手に取ったノースリーブの黒いワンピースに季節の移り変わりを感じて少しだけ思い出が過る。


このワンピースを買った時は隣に彼がいて一年季節が巡っていた。しかもそれは現在進行形で続いている、と彼を意識してから初めて買ったワンピースを頭から被った。
「準備できた?」と扉から頭を出す虎石は何も変わらない、多分私も。


「懐かしくねそのワンピース」


「覚えてたんだ」


「当たり前だろ~ かわいい子猫ちゃんに良く似合ってるし」


と、私のワンピースのファスナーを優しくしめながら脱がせやすくて好きなんだよな、と虎石君らしいことを言う。
着替えただけで少し汗ばむ気候は、昔の私なら嫌だっただろうけど今は待ち望んでいて、触れあう体温がいつもより高いのは意外と心地がいい。


高まった体温に這わせたネックレスの冷たさは、くっきりと後に残るようでくすぐったくてクスクス笑ってしまう。彼のゴツゴツとした指は細い金具をあっさりとつないでいて、触れる指先にまた少し暑くなった。
「出来た」の言葉の後にかわいいリップ音がなる。私のグロスが移った唇はキラキラと光っていて、マーキングしたようでうれしくなる。


「グロスついちゃった」


「まじ?お揃いじゃん」


「え~~恥ずかしいよ 」


とティッシュで拭うけど、少しだけ持ったいない気がしてやっぱそのままがよかった、と落ち込む私にまたキスをする。
伏せた睫毛の奥から見える虎石君の目の中にはグリーンの壁にかかるドライフラワーが揺れていた。
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