夜の花道
気づけば季節は春になっていて、テレビから流れる桜の開花予報はもうすぐ見頃を伝えていた。
歩き慣れた道でも暖かい日差しと、草木の匂いは、季節が変わったことを感じて自然と浮き足立つ。
それでも世間は年度末で浮かれた気持ちとは裏腹に、自分のデスクには書類が積み重なっていく。最近虎石君も忙しそうだし頑張らなきゃな、と自分に喝を入れて眠気覚ましの苦いコーヒーを啜る。
いつの間にかオフィスには人が少なくなっていて、思っていたよりも時間が経過していたことに気づく。結局書類の山が片付いたのは9時過ぎで、ため息をつきながらタイムカードを切る。
会社のドアはいつもより重く感じて、ずっと室内にいたからか外の空気が澄んでるように感じた。
ふとスマホに目をやると、彼からの連絡がきていて思わず顔が綻ぶ。夜のデートのお誘いに思わずすぐOKしてしまい1人で少し恥ずかしくなる。
家の近くの最寄り駅で待ち合わせをして虎石君についていく、今日の行き先は珍しく秘密らしい。月が煌々としていて久しぶりに空を見たなと眺める。たこやきと近所のカフェラテをテイクアウトしてぽつぽつと会えなかった日を埋めるように話す。
やっぱり夜は寒いなー、と話す虎石君の鼻が赤くてこんなイケメンでも鼻赤くてなるんだ、と考えながら空返事をする。
ふと道の奥にライトアップされた桜が見える。気づいた?、と笑う虎石君に綺麗!と思わずはしゃいでしまう。
「凄い~!綺麗だね!」
「そうだなーま、子猫ちゃんの方が綺麗だけどな」
あ、とかう、とか言う私にたこ焼きを口にいれる虎石君は楽しそうだ。
美味しい?、ときかれても私は頷く事しか出来なくてソースついてる、と私の口元を舐める虎石君にびっくりするしかなかった。ご馳走様、とニッコリ笑う彼にはとても構わないなとまた一つたこ焼きを食べた。
歩き慣れた道でも暖かい日差しと、草木の匂いは、季節が変わったことを感じて自然と浮き足立つ。
それでも世間は年度末で浮かれた気持ちとは裏腹に、自分のデスクには書類が積み重なっていく。最近虎石君も忙しそうだし頑張らなきゃな、と自分に喝を入れて眠気覚ましの苦いコーヒーを啜る。
いつの間にかオフィスには人が少なくなっていて、思っていたよりも時間が経過していたことに気づく。結局書類の山が片付いたのは9時過ぎで、ため息をつきながらタイムカードを切る。
会社のドアはいつもより重く感じて、ずっと室内にいたからか外の空気が澄んでるように感じた。
ふとスマホに目をやると、彼からの連絡がきていて思わず顔が綻ぶ。夜のデートのお誘いに思わずすぐOKしてしまい1人で少し恥ずかしくなる。
家の近くの最寄り駅で待ち合わせをして虎石君についていく、今日の行き先は珍しく秘密らしい。月が煌々としていて久しぶりに空を見たなと眺める。たこやきと近所のカフェラテをテイクアウトしてぽつぽつと会えなかった日を埋めるように話す。
やっぱり夜は寒いなー、と話す虎石君の鼻が赤くてこんなイケメンでも鼻赤くてなるんだ、と考えながら空返事をする。
ふと道の奥にライトアップされた桜が見える。気づいた?、と笑う虎石君に綺麗!と思わずはしゃいでしまう。
「凄い~!綺麗だね!」
「そうだなーま、子猫ちゃんの方が綺麗だけどな」
あ、とかう、とか言う私にたこ焼きを口にいれる虎石君は楽しそうだ。
美味しい?、ときかれても私は頷く事しか出来なくてソースついてる、と私の口元を舐める虎石君にびっくりするしかなかった。ご馳走様、とニッコリ笑う彼にはとても構わないなとまた一つたこ焼きを食べた。
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