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アメリカンビューティー

地面から響く重低音が自分の胸に響くその聴きなれた音は自分を安心させる。


キラキラとしたダンスホール耳に響くアップテンポな音楽、気持ちよさそ体を揺らす人々、DJブースで音楽が変わるたびに人は歓声を上げて踊り出す。


その光景を見た彼はなんだか「宗教の集会見たいだね」と耳元で囁いた。
耳元で話されるのはくすぐったくてグラスがゆれる。
屈んだ彼に、「私達も同じだよ」と返す。くすくす笑う彼の息が頬にかかる。何だか南條君は楽しそうで、いつもより高い度数のお酒に酔っているのかもしれない。


「大丈夫?」と問いかける私に大丈夫、とおでこにキスを落として返事をする。いつもの彼じゃないみたいでドキドキする。「顔赤いよ」と目を細めて笑う彼は意地悪だ。


私が珍しく友達のいるのイベントでクラブに行くと言い出したときは、少し眉を潜めて「俺も行ってあげるよ」と妙に上から目線な発言はいかにも南條君らしい。


「別に無理しなくて良いよ」


「無理してない」


「友達いるし大丈夫だよ」


「彼氏様がいた方が良いでしょ」


ここまで言わなきゃ分かんない訳?と呆れた顔は少し苛立って見えた。
もしかして嫉妬?、と目をキラキラさせながら意気揚々と問いかける私にはいはい、と言いたげな溜め息は空気に溶ける。南條君が淹れてくれたカフェラテはいつもより甘い味がした。
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