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ベッドの上のプラネット

南條君の口からでたその言葉はいったい何色なんだろう。

声に色がついたらもっと分かりやすくなるのになと考えてしまう。
彼が発する言葉は私を惑わせるから困る。
私から、「もっと好きとか愛してるとか行っても良いんだよ?」と提案はしてみたもののいつもの微笑みで、のらりくらりと交わされてしまった。


そんなじゃれあいをしながら色違いのカップに入れたココアを飲む。
私が勝手に買って押し付けたこのカップは、南條君曰く飲み口が薄くていいということで珍しくスタメン入りをはたした。


静かな冬の日にココアをかき混ぜる音が響く、二人の間に出る湯気はなんだか雲みたいだなとかなんとかぐだらないことを思った。それは無意識に口に出ていたらしく、隣でくつくつと笑う彼に私ははっとして少し恥ずかしくなる。


それをごまかすように彼との距離を詰める。ベッドの上でごそごそと動く私にまったくと言いたげな顔で、「こぼさないでよ」と私のコップをとり上げる彼はなんだかお父さんみたいだ。
タオルケットにくるまった私をみた彼は
「なんだかお化けみたいだね」、と目を細めながらいう、「お化けになっても一生隣にいるから」という私に、「それってとりつくってこと?」と笑う。


ふざけて抱きしめた彼の髪の毛からは、私と同じ匂いがして、絡めあった手からは、プレゼントしたハンドクリームの匂いがする。
体からは少しの汗とボディローションの匂いがして、彼からする匂いが全て私に矛先が向いていると思うとこそばゆいと同時にとても嬉しくなった。


音がないキスをした後に「同じ匂いがする」と呟いた彼はとても儚げでそれは冬の寂しさや悲しさを思わせた。
なんだかずっと寒い気がする。
ぴったりとくっついた足はとても冷たくて、タオルケットとの温度差に少しびっくりした。このまま二人で凍ってしまえばいいのにとワガママを思う。


「愛してる」と寂しそうに言う彼の瞳には間抜け顔の私が映っていた。
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