第10話 暴走
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それから二日の間。
騎士団は帝都へ帰る準備とギルドへの交渉のための、二つの準備が行われていた。
リリーティアはエステルの護衛のために帝都へ帰る準備を進め、明日にはヘリオードを出発する手筈が整った。
エステルへその事を伝えるために、リリーティアは彼女がいる部屋へ向かった。
部屋に入ると、そこにはユーリ、カロル、リタもいて、エステルと話をしていた。
あれからユーリたちは、エステルが出発するその時まで各自自由にヘリオードで過ごしていた。
エステルによると、よくリタとカロルが訪ねてきてくれるのだという。
「エステル、明日の朝にはここを出発するから」
「あ、・・・はい、わかりました」
出発すると聞いた途端、エステルのその表情は少し寂しげに変わった。
その声もどこか元気がなくなったように思う。
二日前までユーリたちが解放されて喜んでいた彼女。
せっかく笑顔を取り戻した矢先に、また彼女の表情が暗く沈んでしまったことに、リリーティアは少しばかり心が痛んだ。
「ねえ、二人ともやっぱり帝都へ帰っちゃうの?」
「・・・そうだね」
「そっか・・・、エステルお姫様だもんね・・・」
今回ばかりは、リリーティアもどうしようもないことだった。
<帝国>の姫であるエステルには、これ以上城を離れて出歩くわけにはいかない。
帝都へ帰るということは、ユーリたちとの旅がこれで終わったということになる。
エステルには酷だが、また城での生活に戻るのだ。
「いろいろ大変なこともありましたが、みんなと旅ができて本当に楽しかったです」
エステルはこれまでの旅を思い出しながら言った。
「いろいろありすぎたけどな」
「誰のせいよ、誰の」
リタが呆れながらユーリを見ると、エステルは声を上げて笑った
それからしばらく、一行は他愛ない話をして過ごした。
だいたいはエステルとカロルを中心に話が進んだ。
エステルは今回生まれて初めて外へ出て、初めて見たこと感じたこと、仲間と一緒の旅がどんなに素晴らしい出来事だったのかを語った。
旅の話しているエステルは本当に楽しそうだった。
彼女にとってユーリたちとの旅がどれだけ有意義なもので、かけがえのない時間だったか、その表情だけを見ていてもよく伝わってきた。
リリーティアはそんな彼女の様子を嬉しげに見ていた。
彼女の旅が終わったことはとても残念に思うが、少しでも外の世界を知ってくれたことが嬉しかった。
ラゴウやバルボスのことで心を痛めたこともあっただろう。
それでも、笑顔を浮かべて旅のことを話す彼女を見て、あの時、デイドン砦で彼女を連れ戻さなくてよかったと、リリーティアは心からそう思えた。
自分の判断は間違ってなかったのだと。
--------------------この時は、そう思った。