第9話 廃墟
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◇第9話 廃墟 【スキット】◇
* 地震で崩壊した街 *
ユーリ
「なあ、カロル、地震で崩壊した街のことで、なんか他に情報ってないのか?」
カロル
「ボクもよく知らない。<帝国>が管理してた街だったらしいけど」
リタ
「<帝国>が管理してたってことは、あんたは知ってたの?」
リリーティア
「知ってたけど、情報としては地震で崩壊したのは6年ぐらい前ってことぐらい。こんな姿になる前は、本当に美しい街だったんだよ」
エステル
「訪れたことがあるんです?」
リリーティア
「・・・昔、任務でね。そのときはまだ騎士じゃなかったけど、騎士団に同行してここに来たことがある」
エステル
「その美しい街並みを、私もこの目で見てみたかったです」
リリーティア
「・・・・・・・・」
* うじうじ、じめじめ *
リタ
「まったくもう、うっとうしい雨ね。いつまで降るつもりなのよ」
リリーティア
「トルビキア大陸は熱帯雨林地帯だから、一年のほとんどが雨なんだ」
エステル
「わたしも本で読んだ事があります。降雨量の多い大陸で、植物や生物の種類も多種多様だと」
ユーリ
「そういうの、興味ないしな。オレはリタの気持ちが少しわかる」
カロル
「ボクは生まれも育ちもここトルビキア大陸だから、何も感じないけどね」
リタ
「そうでしょうよ、そうでしょうよ。あんたみたいに、うじうじ、じめじめした人間にはお似合いの大陸ね」
カロル
「え、ボクって、そんな暗いイメージ・・・?」
* 地震で壊れた感じじゃない *
エステル
「ここ、本当に地震で滅びたんでしょうか?建物の感じとか、少し違うような気がしますけど」
ユーリ
「ああ、俺も同じこと思ってた。別に揺れて家が壊れた様子もないし、ちとおかしいな」
カロル
「え、じゃあ、なんで滅びたの?」
ユーリ
「さあな。昔ここに住んでてやつにでも聞きゃわかるんだろうけど」
リタ
「別にあたしらの目的には関係ないからどうでもいいんじゃないの?」
ユーリ
「ま、そうなんだがな」
リリーティア
「・・・・・・・・・」
* エステルの歴史探訪 *
エステル
「へえ・・・この街は後期エリカリズム様式の建物ですね」
ユーリ
「相変わらず、そういうのは得意だなエステル」
エステル
「もともと古い街だったんです?」
リリーティア
「ええ。古い様式の建物が多いのは、住民たちが古き良きものを残そうと大切にしてきたからだとか」
エステル
「ずっと守ってきたものが、こんなふうにして壊れてしまうなんて、もったいない・・・」
リリーティア
「・・・・・・・・・」
リタ
「ねえ、あたしら、こんなカビ臭い場所を、ゆっくり観光してる場合なの?」
ユーリ
「確かにオレたちにはやんなきゃいけないことがあるしな・・・」
リタ
「そう思うなら、目的を持って行動した方がいいわよ」
エステル
「あ・・・あの丸い屋根は、皇帝ヘリオルス四世が考案したルリアン式です・・・!」
リリーティア
「あ、エステル・・・」
リタ
「その前に、あれ、なんとかした方がいいわね・・・」
ユーリ
「だな、リリィ頼む」
リリーティア
「あ、はは・・・・・・連れ戻してくるよ」
* 街は迷路状態 *
エステル
「ふむふむ・・・」
リリーティア
「エステル、みんな先に行ってるよ」
カロル
「相変わらず、エステルは街に興味津々だね」
ユーリ
「おーい、はぐれるなよ!」
エステル
「大丈夫ですー!リリーティアも一緒ですからー!」
ユーリ
「建物はぼろぼだし、外は草がぼーぼーだし、実際歩いてみると、結構ややこしいからな・・・」
リタ
「街の先が見えているのに道が閉ざされていたりしてるからね」
リリーティア
「あ、エステル!みんなはこっちだって!」
エステル
「・・・・・・横道それちゃいました」
ユーリ
「はぐれるな、って言ったばっかりなのにな」
リタ
「あんたらも気をつけてよ、迷いやすいんだから」
* エアル酔いについて *
カロル
「エアルってただの魔導器(ブラスティア)を動かすための便利なものじゃないんだね」
リタ
「これだから素人は・・・。エアルはこの世のありとあらゆるものに影響を与えるのよ。人の生命活動や、生物の成長、それから天候にだって」
エステル
「なら、ラゴウの屋敷にあった天候を操る魔導器(ブラスティア)は、エアルに干渉してたってことです?」
リタ
「そういうことになるわね」
ユーリ
「で、今はエアルがオレらの体に、干渉してるってことだな」
カロル
「我慢できる程度だけど、このまま濃いエアルの中にいて平気なの?」
リリーティア
「いや、あまり長くいないほうがいい。今は大丈夫でも、後々経って体に
何かしらの症状が残る場合もあるっていうから」
リタ
「特に成長途中のあんたみたいなガキんちょはね。エアルの影響が強く出るわよ」
ユーリ
「なるほど、そういう理屈か」
* 未知の魔物とか魔狩りの剣とか *
エステル
「カルボクラムで見た恐ろしい魔物は、いったいなんだったんでしょう」
リリーティア
「・・・・・・・・・」
ユーリ
「あの化物、これまで見た魔物の中でも桁違いに強かったな。途中で逃げてくれたからいいが、最後までやってたらやばかったぞ」
リタ
「あんたにしては殊勝な意見ね。ま、わからなくもないけどさ」
エステル
「逆結界に閉じ込めていたのは、『魔狩りの剣(マガりのツルギ)』なんでしょうか?」
ユーリ
「・・・どうだろうな・・・『魔狩りの剣(マガりのツルギ)』の連中は、あいつをやるつもりだったみたいだし。なんにしても、ああいう化け物の相手はもう勘弁だぜ」
リリーティア
「・・・・・・・・・」
エステル
「リリーティア・・・?」
* 未知の魔物 *
エステル
「リリーティア、大丈夫です?」
リリーティア
「?」
エステル
「あの魔物と戦っている時、様子がおかしかったので・・・・・・」
リリーティア
「ぇ・・・あ、ああ、ごめんなさい。・・・正直言うと、あの時は恐くて、なかなか立つことができなかったんだ。ほんと、情けない話なんだけど」
エステル
「そんなことありません。私だって、まだ少しドキドキしていますし」
リタ
「あんな化け物相手じゃあね。そうなっても仕方ないんじゃない」
ユーリ
「・・・ま、気にすんなってことだ」
リリーティア
「・・・・・・ありがとう、みんな」
* バカドラとか *
リタ
「今度会ったら絶対にあたしの魔術でぶっ飛ばしてやるんだから」
ユーリ
「あいつ、なに怒ってんだ?」
リリーティア
「竜使いを捕り逃したのがよほど悔しかったらしいね」
ユーリ
「竜使いね・・・カルボクラムの地下にまで魔導器(ブラスティア)を壊しに来るとは思わなかったな。あれは、あれですげえ執念だよ」
リタ
「次こそはあたしがこの手で息の根を止めてやる!」
エステル
「リタの執念もすごそうですけど・・・」
リリーティア
「そうだね・・・」
* カロルとナン *
カロル
「はあ・・・まいったなあ」
エステル
「・・・・・・・・・」
ユーリ
「さっきからカロルばっか気にして、どうかしたのかよ」
エステル
「いえ、ナンという女の子とケンカをしていたのが気になって。落ち込んでいるみたいですし」
リタ
「あれ、ケンカじゃなくて、一方的に言われてただけじゃない」
リリーティア
「自分の至らないところに意見をくれているうちは大丈夫だよ」
ユーリ
「そうだな。本当にどうでもよくなったら、わざわざ相手になんかしないって」
エステル
「そういうものでしょうか・・・」
カロル
「はあ・・・おなかが減ったなあ」
リタ
「・・・・・・なんか、別のことで悩んでたみたいよ?」
第1話 始まり -終-
* 地震で崩壊した街 *
ユーリ
「なあ、カロル、地震で崩壊した街のことで、なんか他に情報ってないのか?」
カロル
「ボクもよく知らない。<帝国>が管理してた街だったらしいけど」
リタ
「<帝国>が管理してたってことは、あんたは知ってたの?」
リリーティア
「知ってたけど、情報としては地震で崩壊したのは6年ぐらい前ってことぐらい。こんな姿になる前は、本当に美しい街だったんだよ」
エステル
「訪れたことがあるんです?」
リリーティア
「・・・昔、任務でね。そのときはまだ騎士じゃなかったけど、騎士団に同行してここに来たことがある」
エステル
「その美しい街並みを、私もこの目で見てみたかったです」
リリーティア
「・・・・・・・・」
* うじうじ、じめじめ *
リタ
「まったくもう、うっとうしい雨ね。いつまで降るつもりなのよ」
リリーティア
「トルビキア大陸は熱帯雨林地帯だから、一年のほとんどが雨なんだ」
エステル
「わたしも本で読んだ事があります。降雨量の多い大陸で、植物や生物の種類も多種多様だと」
ユーリ
「そういうの、興味ないしな。オレはリタの気持ちが少しわかる」
カロル
「ボクは生まれも育ちもここトルビキア大陸だから、何も感じないけどね」
リタ
「そうでしょうよ、そうでしょうよ。あんたみたいに、うじうじ、じめじめした人間にはお似合いの大陸ね」
カロル
「え、ボクって、そんな暗いイメージ・・・?」
* 地震で壊れた感じじゃない *
エステル
「ここ、本当に地震で滅びたんでしょうか?建物の感じとか、少し違うような気がしますけど」
ユーリ
「ああ、俺も同じこと思ってた。別に揺れて家が壊れた様子もないし、ちとおかしいな」
カロル
「え、じゃあ、なんで滅びたの?」
ユーリ
「さあな。昔ここに住んでてやつにでも聞きゃわかるんだろうけど」
リタ
「別にあたしらの目的には関係ないからどうでもいいんじゃないの?」
ユーリ
「ま、そうなんだがな」
リリーティア
「・・・・・・・・・」
* エステルの歴史探訪 *
エステル
「へえ・・・この街は後期エリカリズム様式の建物ですね」
ユーリ
「相変わらず、そういうのは得意だなエステル」
エステル
「もともと古い街だったんです?」
リリーティア
「ええ。古い様式の建物が多いのは、住民たちが古き良きものを残そうと大切にしてきたからだとか」
エステル
「ずっと守ってきたものが、こんなふうにして壊れてしまうなんて、もったいない・・・」
リリーティア
「・・・・・・・・・」
リタ
「ねえ、あたしら、こんなカビ臭い場所を、ゆっくり観光してる場合なの?」
ユーリ
「確かにオレたちにはやんなきゃいけないことがあるしな・・・」
リタ
「そう思うなら、目的を持って行動した方がいいわよ」
エステル
「あ・・・あの丸い屋根は、皇帝ヘリオルス四世が考案したルリアン式です・・・!」
リリーティア
「あ、エステル・・・」
リタ
「その前に、あれ、なんとかした方がいいわね・・・」
ユーリ
「だな、リリィ頼む」
リリーティア
「あ、はは・・・・・・連れ戻してくるよ」
* 街は迷路状態 *
エステル
「ふむふむ・・・」
リリーティア
「エステル、みんな先に行ってるよ」
カロル
「相変わらず、エステルは街に興味津々だね」
ユーリ
「おーい、はぐれるなよ!」
エステル
「大丈夫ですー!リリーティアも一緒ですからー!」
ユーリ
「建物はぼろぼだし、外は草がぼーぼーだし、実際歩いてみると、結構ややこしいからな・・・」
リタ
「街の先が見えているのに道が閉ざされていたりしてるからね」
リリーティア
「あ、エステル!みんなはこっちだって!」
エステル
「・・・・・・横道それちゃいました」
ユーリ
「はぐれるな、って言ったばっかりなのにな」
リタ
「あんたらも気をつけてよ、迷いやすいんだから」
* エアル酔いについて *
カロル
「エアルってただの魔導器(ブラスティア)を動かすための便利なものじゃないんだね」
リタ
「これだから素人は・・・。エアルはこの世のありとあらゆるものに影響を与えるのよ。人の生命活動や、生物の成長、それから天候にだって」
エステル
「なら、ラゴウの屋敷にあった天候を操る魔導器(ブラスティア)は、エアルに干渉してたってことです?」
リタ
「そういうことになるわね」
ユーリ
「で、今はエアルがオレらの体に、干渉してるってことだな」
カロル
「我慢できる程度だけど、このまま濃いエアルの中にいて平気なの?」
リリーティア
「いや、あまり長くいないほうがいい。今は大丈夫でも、後々経って体に
何かしらの症状が残る場合もあるっていうから」
リタ
「特に成長途中のあんたみたいなガキんちょはね。エアルの影響が強く出るわよ」
ユーリ
「なるほど、そういう理屈か」
* 未知の魔物とか魔狩りの剣とか *
エステル
「カルボクラムで見た恐ろしい魔物は、いったいなんだったんでしょう」
リリーティア
「・・・・・・・・・」
ユーリ
「あの化物、これまで見た魔物の中でも桁違いに強かったな。途中で逃げてくれたからいいが、最後までやってたらやばかったぞ」
リタ
「あんたにしては殊勝な意見ね。ま、わからなくもないけどさ」
エステル
「逆結界に閉じ込めていたのは、『魔狩りの剣(マガりのツルギ)』なんでしょうか?」
ユーリ
「・・・どうだろうな・・・『魔狩りの剣(マガりのツルギ)』の連中は、あいつをやるつもりだったみたいだし。なんにしても、ああいう化け物の相手はもう勘弁だぜ」
リリーティア
「・・・・・・・・・」
エステル
「リリーティア・・・?」
* 未知の魔物 *
エステル
「リリーティア、大丈夫です?」
リリーティア
「?」
エステル
「あの魔物と戦っている時、様子がおかしかったので・・・・・・」
リリーティア
「ぇ・・・あ、ああ、ごめんなさい。・・・正直言うと、あの時は恐くて、なかなか立つことができなかったんだ。ほんと、情けない話なんだけど」
エステル
「そんなことありません。私だって、まだ少しドキドキしていますし」
リタ
「あんな化け物相手じゃあね。そうなっても仕方ないんじゃない」
ユーリ
「・・・ま、気にすんなってことだ」
リリーティア
「・・・・・・ありがとう、みんな」
* バカドラとか *
リタ
「今度会ったら絶対にあたしの魔術でぶっ飛ばしてやるんだから」
ユーリ
「あいつ、なに怒ってんだ?」
リリーティア
「竜使いを捕り逃したのがよほど悔しかったらしいね」
ユーリ
「竜使いね・・・カルボクラムの地下にまで魔導器(ブラスティア)を壊しに来るとは思わなかったな。あれは、あれですげえ執念だよ」
リタ
「次こそはあたしがこの手で息の根を止めてやる!」
エステル
「リタの執念もすごそうですけど・・・」
リリーティア
「そうだね・・・」
* カロルとナン *
カロル
「はあ・・・まいったなあ」
エステル
「・・・・・・・・・」
ユーリ
「さっきからカロルばっか気にして、どうかしたのかよ」
エステル
「いえ、ナンという女の子とケンカをしていたのが気になって。落ち込んでいるみたいですし」
リタ
「あれ、ケンカじゃなくて、一方的に言われてただけじゃない」
リリーティア
「自分の至らないところに意見をくれているうちは大丈夫だよ」
ユーリ
「そうだな。本当にどうでもよくなったら、わざわざ相手になんかしないって」
エステル
「そういうものでしょうか・・・」
カロル
「はあ・・・おなかが減ったなあ」
リタ
「・・・・・・なんか、別のことで悩んでたみたいよ?」
第1話 始まり -終-