第9話 廃墟
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「結局ペットの面倒見んのは、保護者に回ってくるのな」
ユーリはひとりごちると、瓦礫の上を飛び越えて、剣を手に構えた。
ラピードもそれに続く。
目の前で暴れる魔物にこれまでにない脅威を感じているとはいえど、このまま何もせずにただやられる気などなかった。
魔物はユーリとラピードの姿に気づくと、体をそちらに向けた。
己の標的と定めたようだ。
「リリーティア、私たちも!・・・・・・リリーティア?」
魔物に対する恐怖は消えないが、エステルも彼らを援護するべく戦おうと決めたようだ。
しかし、リリーティアは床に膝をつけたまま微動だにせず、ただ前を見詰めている。
エステルの声に一切の反応を見せなかった。
「うおっ!・・・っと」
その時、ユーリが魔物の攻撃に吹き飛ばされた。
「ユーリ!」
それを見たエステルは慌ててその場を駆け出し、すぐに治癒術を詠唱し始める
ユーリは体勢を整えると、前衛で戦っているラピードと合流する。
その時、複数の火球が魔物の後方を襲った。
見ると、リタも戦う体勢を整え、後衛から彼らの援護に入ったようだ。
しかし、皆が戦いに身を投じ始めても、リリーティアはいっこうに動き出す気配がなかった。
彼らが戦う姿を視界の隅に捉えていながらも、彼女がその瞳に映しているものは魔物の姿だけだった。
ただただ魔物だけを捉えている。
その瞳は大きく揺れていた。
過去が蘇る。
遠い記憶。
頬に感じるのは、熱い風。
肌に感じるのは、灼熱の光。
瞳に映るのは、焦げ茶色の影。
彼女は立ち上がることもできなかった。
彼女はただただ見ていることしかできなかった。
----------その瞳に映るのは、竜。
----------その心を支配するのは、恐怖。
絶対的な存在と絶対的な力を前にして・・・・・・。