第9話 廃墟
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探索を続けていると、ある建物の中に地下へ続く大きな階段があった。
それはらせん状になっていて、覗くと下まではけっこう深い。
一行はそのらせん階段を下りることにした。
下まで下りてから、辺りを見渡してみてもとくに変わったことはなく、人の気配も感じられなかった。
まだそこから先へと続いているようだったので、一行はさらに奥へと歩き出す。
だが、その直後のことだった。
「!!(これは・・・)」
リリーティアはある異変に気付き、足を止めた。
「な、なんだろう。さっきから気持ち悪い」
「鈍感なあんたでも感じるの?」
そのあと、彼女の先を進んでいたユーリたちもその異様さを体に感じとった。
カロルもリタも、苦しそうに体を少し屈めている。
「鈍感はよけい・・・!っていうか、リタも?」
「こりゃ、なんかあんな」
「ユーリも・・・エステルも?」
「へ、平気です」
ユーリは二人よりは平気な様子ではあるが、それでも少しばかり辛そうである。
エステルにいたっては、その言葉とは裏腹にどう見ても無理をしているようだ。
「無理することもねえだろ。休憩して様子見すっぞ」
「いったい、なんなのかしら。ここに来てから急に・・・ってあんた」
リリーティアはユーリたちを横切り、少し先へと進んだ。
「やっぱり・・・」
進んだ先には、思っていた通りの光景があり、リリーティアはひとり呟いた。
周囲には光のカタマリが漂っている。
「・・・原因はエアルみたいだ」
「エアル、ですか?」
リリーティアのほうへ歩き出したその時、エステルは急にふっと力が抜けたように床に座り込んでしまった。
「エステル!」
リリーティアはすぐに駆け寄り、肩に手を添えて彼女の顔を覗き見る。
よく見ると少し顔色が悪い。
「行き倒れんなら、人の多い街ん中にしといてくれ。オレ、面倒見きれないからな」
「は、はい。ありがとう。まだ、だいじょうぶです」
「エステル、ゆっくりでいいから、立てる?」
リリーティアとユーリに支えてもらいながら、エステルはなんとか立ち上がる。
そして、とりあえずさっきのらせん階段の近くまで一行は戻った。
そこなら苦しい感じもなく、なんの異変も感じられなかった。
「さっきエアルって言ってたけど、エアルって目に見えるの?」
「濃度があがるとね」
カロルの問いにリタが答える。
「前にリリィ言ってたな。濃いエアルは体に悪いって」
「ええ。気分が悪くなったのも、この先に充満していたエアルが原因みたい」
しかし、なぜあの先が濃度の高いエアルが充満しているのかはわからない。
クオイの森のように何か原因があるのかもしれない。
「そういや、それでエステルはクオイの森でもぶっ倒れたからな」
「・・・へえ、そんなことが」
リタは興味深げにエステルに視線を向けた。
何を考えているのかはわからないが、相変わらずエステルの力に関して、考えを巡らせているようだ。
「こりゃ、引き返すかな」
ユーリの言うとおり、さすがに体に害のあるエアルの中へと進むのは危険だ。
「でも、傭兵団がいるかまだ確かめていませんよ」
「いや、まあそうなんだけど・・・」
「エステル、無理しないほうがいい」
エアルに直接干渉できる〈満月の子〉の特異体質のせいかはわからないが、これまでの様子からしても、誰よりもその体に受ける影響が大きいエステルはこの先に進むことは危険のように思われた。
「リリーティア、私なら大丈夫です。この先へ行ってみましょう。少し確かめるだけですし」
しばらく渋っていたリリーティアだが、何を言ってもエステルのその意思は曲げないだろうと察したユーリも、少しなら先へ進んでみないかと言うので、彼女は仕方なく頷いた。
そうして一行はエアル濃度が高い場所まで戻り、さらにその奥へと足を踏み入れる。
リリーティアはエステルのすぐ横につき、彼女の様子を注視しながら進んでいった。
依然としてエアルである光のカタマリが漂っており、動ける範囲ではあるがいつもと違って体も重い感じであった。
奥へと進むと、突き当りに重厚で大きな円形の扉を見つけた。
その重い扉を開き、一行はさらに先へと進んだ。