第8話 小悪漢
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しばらくして、下降していたリフトが停止する。
屋敷の地下まできたようだ。
停止した途端、リタはリフトの操作盤をいじっていた。
「あ~もう!ここからじゃ、操作できないようになってる・・・」
リタは頭をかいて苛立った。
仕方なく一行はそのリフトを降りた。
壁には照明魔導器(ルクスブラスティア)が転々としかなく、あたりはとても薄暗かった。
「うっ・・・!?」
「エステル、大丈夫?」
リフトに降りた瞬間、エステルは手で鼻と口を抑え、体を屈ませた。
リリーティアは急いでエステルに駆け寄り、その体を支える。
「(この匂い・・・っ!!)」
「リリーティア?」
リリーティアは様々な匂いが漂う異臭の中に、覚えのある匂いを嗅ぎはっとする。
その時、体を支えてくれているリリーティアの手に少し力が入ったことに、エステルは不思議に思って彼女を見た。
「なんか、くさいね・・・」
カロルも顔を歪ませ、腕で口を鼻を抑えた。
「・・・血と、あとはなんだ?何かの腐った匂いだな」
ユーリも鼻を押さえてあたりを見渡す。
リリーティアも険しい目であたりを見渡していた。
「(・・・・・・屍体の・・・匂い)」
ユーリが言っていた何かわからない腐った匂いがそれだった。
その時、ラピードが何か気配を感じて唸り声をあげた。
まだ近くにはいないようだが、どこからか魔物が集まってきているようである。
「魔物を飼う趣味でもあんのかね」
「かもね。リブガロもいたし」
ユーリとリタが話す。
魔物を飼っているというのは事実だということは分かった。
そして、この屍体の匂い。
「(やはり、ラゴウはここで捕らえた人たちを・・・)」
その時、どこからか微かに何かが聞こえた。
魔物だと思ったリリーティアは、じっと音のする方を睨み見た。
しかし、すぐにそうではないと気づいた彼女は、突然その場を駆け出した。
「え、リリーティア!?」
何も言わず駆け出した彼女の背に向かってエステルが叫ぶ。
「おい、リリィ!」
彼女はユーリの声にも止まることもなく、その姿は暗闇の中へと消えてしまった。
「一体なんなのよ!」
リタが何が起きたのか訳が分からず叫んだ。
と、その時ユーリたちにも何かが聞こえた。
「パ・・・パ、マ・・・助けて・・・!」
「ちょっ、今度はなに?どうなってるの、ここ!?」
カロルは慌ててキョロキョロと辺りを見渡す。
それは、誰かの声であった。
「誰かがいるみたいです!」
「オレたちも行くぞ!」
その誰かの声にリリーティアの行動の意味を知り、ユーリは急いで彼女が向かった方へと駆け出す。
ほかの皆も慌てて追いかけた。