第7話 魔導器
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カロルを追ってもと来た道へとしばらく進むと、忙しなく辺り見回している二人の騎士がいた。
見失ったカロルを探しているようだ。
「お疲れ様です。少しよろしいですか?」
「ん?なんだ、おまえは。俺たちは今ガキを追ってて忙しいんだ、後にしてくれ」
騎士はあっちへ行けという仕草をしながら、鬱陶しそうに言う。
リリーティアはアスピオの時と同様に、腰に下げてある鞄から<帝国>の徽章を取り出して、騎士の前に掲示した。
「申し遅れました。私は、<帝国>騎士団 隊長主席特別補佐 リリーティア・アイレンスです」
「え、あ、あなたが・・・!?あ、も、申し訳ありません!し、失礼いたしました、お疲れ様です!」
「お、お疲れ様です!」
二人の騎士は、リリーティアの素性を知った途端に言葉を改め、慌てて姿勢を正した。
もう一人の年若い騎士も驚きと緊張でその敬礼はどこかぎこちない。
「話は聞きました。その少年のことは私に任せて下さい。あなたたちは、引き続きここにある結界魔導器<シルトブラスティア>の後処理をお願いします」
「ですが・・・」
「結界魔導器<シルトブラスティア>の後処理が今回はあなたたちの主な任務です。よろしくお願いします」
「は、はい、承知いたしました」
戸惑いながらも騎士は少年の特徴を簡単に説明すると、リリーティアに後のことをお願いして去って行った。
騎士たちの姿が見えなくなると、彼女は街道の端にある岩のほうを見た。
「カロル、もう出てきて大丈夫」
すると、カロルがその岩から出てきた。
騎士たちが行った方を警戒しながら、そうっとリリーティアの方へと足を運んだ。
「はあ、助かったよ、リリーティア」
「さあ、私たちもユーリたちの所に-------カロルっ!」
「え、ど、どうしたの!?」
言葉を切り、リリーティアはカロルの腕を掴むと、さっきカロルが隠れていた岩へと急いで駆け出した。
カロルは訳も分からず彼女に腕を引っ張られていく。
二人は岩の陰に身を潜めると、街道をうかがい見た。
すると、向こうから橙の隊服である騎士が一人と、見習いの格好の騎士が二人歩いてくる姿があった。
「あ!あの人たち、リリーティアの・・・」
それはルブランたちだった。
ハルルの街で無事に赤眼を退き、再びユーリたちを追ってここまできたようだ。
彼らの無事な姿を見て、リリーティアの口元には安堵の笑みが浮かんだ。
「まだここにユーリ・ローウェルがいるかもしれん」
「必ず捕まえるであ~る」
「次こそは絶対に逃さないのだ」
ルブランの後に続き、アデコールとボッコスが周りを見渡しながら通っていく。
リリーティアたちは気付かれぬように岩の陰で身を屈め、じっと息を潜めた。
そして、ルブランたちは二人には気付かずにエフミドの丘へと入っていく。
彼らの背が見えなくなると二人は立ち上がった。
「ユーリたち大丈夫かな」
「私たちも早く行こう」
二人はルブランたちに見つからないように注意しながら街道を少し進み、道の横に広がる草むらの中へと入り込んだ。
草むらの中を通って、ユーリたちがいる場所へと足早に向かう。
しばらく進むとユーリたちの声が聞こえた。
すると、ラピードのうなり声も聞こえてきて、よく聞くと、それはリリーティアとカロルの方へと向けられていた。
近づいてくる気配に警戒しているようである。
「うわあああっ!待って待って!ボクだよ!」
ガサガサと音をたて、先にユーリたちの前に慌てて飛び出したカロル。
エステルは突然現れたカロルに大きく目を見開いた。
「・・・なんだ、カロル・・・びっくりさせないでください・・・」
エステルはほっと胸を撫でおろした。
そして、カロルに続いてリリーティアも草むらから出て、彼らの前に姿を現した。
「さ、面倒になる前にさっさとノール港まで行くぞ」
「えと、どちらに向かえば、いいんでしょうか?」
エステルは辺りを見渡すも、草木ばかりが生い茂っていて道らしき道が見当たらない。
「それなら、この道を進めば、街道を通らずにこの丘を越えられる」
「これって獣道よね?進めるの?」
リリーティアが指をさした方向には、ぱっと見ためは分からないが、よく見ると道らしきものがあった。
リタは少し怪訝にその獣道を見る。
「歩きにくいけど、ちゃんと抜けられるから心配しないで。でも、魔物には十分注意していかないと」
「なあに、魔物の一匹や二匹、カロル先生に任せておけば万事解決だよな」
「そ、そりゃあね。・・・結界があれば、魔物の心配もなかったのに」
「まったくよ。どっかのバカが魔導器(ブラスティア)壊すからほんといい迷惑!」
リタは怒りを露わにして、魔導器(ブラスティア)が壊されたことに腹を立てた。
ユーリは落ち着けとリタに言うと、リリーティアに向き直った。
「この道のこと知ってんだよな?んじゃリリィ、案内頼むわ」
「了解」
そして、リリーティアを先頭に一行は獣道へと足を踏み入れた。