第6話 進む道
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ルブランたちが赤眼と対峙したのを見届けると、リリーティアはエステルとリタへ振り返った。
「エステル、リタ、行こう」
「リリーティア・・・!」
エステルの表情は喜びに溢れた。
背を向けられたときは、彼女はついて来てくれないのだと愕然とした思いが襲った。
けれど、そうではなかったのだ。
「ありがとうございます!」
エステルは心から感謝した。
リリーティアは頷くと、街の入り口で待つユーリたちへと向かって走った。
街に出る直前、エステルは一度その足を止め、後ろへ振り返る。
「・・・ごめんなさい」
その視線の先には、ルブランたちが暗殺者たちと戦っていた。
旅を続けたい気持ちは強い。
けれど、自分のためにここまで追ってきてくれた彼らのことを思うと、やはり罪悪感があるのだろう。
立ち止まったエステルにリリーティアはそっとその背に手を添えた。
不安げに見てくるエステルに、優しく笑みを浮かべて小さく頷いてみせた。
その笑みに励まされたエステルは小さく頷いて、迷いなく再び駆け出した。
「(これが正しいことなのか、私にはわからないけど・・・)」
リリーティアは金属がぶつかり合う音を遠くに聞きながら、駆け出したエステルの背を見詰める。
さっきの優しい笑みから一変して、その瞳は憂い帯びたものに変わっていた。
エステルには世界を知ってもらいたいと思っている反面、知らないまままの方がいいかもしれないと思っているリリーティア。
けれど、彼女自身が旅を続けたいと強く思うのなら、それを阻もうとまでは思わなかった。
エステルは外の世界を知らないまま、今まで生きてきた。
ハルルの街、地下にある遺跡、目を輝かせていろんなものを見て、
初めて仲間と出会い、初めて友達ができ、彼女の中には、今、たくさんの発見や出会いが生まれている。
この旅の先にも彼女の心の中に新たに生まれるものがあるだろう。
その中には、辛いことや悲しいこともある。
知らないほうが良かったと思うこともあるかもしれない。
けれど、それもまた世界だ。
リリーティアはエステルを背を見詰めながら願った。
旅を続ける道を選んだ彼女に。
外の世界を知ろうとする彼女に。
彼女の中に生まれたものが、奪われることがないようにと。
そして、リリーティアは己の左手を見詰めた。
「(けれど、間違えるな・・・)」
彼女は自分自身に厳しく言い放つ。
それは、ただの願いであり、ただの望みである。
ただ、そう思うだけにしかすぎないのだと。
それはつまり、もしも自分が選んだ道の途中で、
その願いや望みに反することでしかその道には進めないというのなら、
その願いよりも、その望みよりも----------、
リリーティアは小さく息を吐き、
----------私は構わず前へ進むことを選ぶ。
左手を握り締めた。
----------たとえ、この手で彼らを傷付けることになろうとも。
そして、まっすぐに前を見据えると、駆け出した。
--------------------それが、私の進むべき道ならば。
第6話 進む道 -終-