第5話 天才少女
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一行はこれからどうするか話し合いながら街の広場まで進んだ。
その時、リリーティアは後ろから気配を感じ、彼女は振り向いた。
振り向かなくとも、すでに誰かは分かっていたが。
「リタ」
リリーティアの声にユーリたちも一斉に振り返った。
「見送りならここでいいぜ」
「そうじゃないわ。あたしも一緒に行く」
「え、な、なに言ってんの?」
淡々と言ったリタの言葉に、カロルは目を白黒させた。
「(まあ、そうなるか)」
反対に、そうなることを大方予想していたリリーティアは冷静にその様子を見ていた。
「いいのかよ?おまえ、ここの魔導士なんだろ?」
「・・・んー・・・。ハルルの結界魔導器(シルトブラスティア)を見ておきたいのよ。壊れたままじゃまずいでしょ」
リタのその言葉は一緒について行くために今さっき作った口実に違いない。
考える素振りを見せながら一瞬だけエステルを見ていたのをリリーティアは見逃さなかった。
「それなら、ボクたちで直したよ」
「はぁ?直したってあんたらが?」
リタは眉間にしわを寄せ、疑い深い目でカロルを見た。
「よみがえらせたんだよバ~ンっと、エステ・・・」
「こっちにはもう一人、有名な魔導士がいるんだ。それに、オレたちのような素人も侮れないもんだぜ」
カロルの言葉を遮って、ユーリは答えた。
彼もまたエステルがリタの興味を引く対象になっていることを察しているようだ。
それに、敏い彼のことだからエステルの魔導器(ブラスティア)についてはとっくの前に気づいていたに違いない。
「ふ~ん。・・・だとしても、本当に直ってるか確かめに行かないと」
エステルがリタの研究対象になることを懸念し、ユーリは彼女が治癒術で蘇らせたことを伏せてはくれたが、カロルが途中まで洩らした言葉だけで、リタはその真相をすぐに察しただろう。
「信用ないようだぜ、リリィ?」
「ちょっ、ちょっと!誰もそんなこと・・・!」
リタは心外だとばかりにキッとユーリを睨んだ。
「はは。実際に自分の目で確かめないとっていう気持ちは、私にも分かるよ」
どこか焦っているリタの様子にリリーティアは小さく笑った。
「じゃ、勝手にしてくれ」
やれやれと仕方ないような仕草でユーリはついていくことを承諾した。
その瞬間、エステルがリタの目の前に駆け寄った。
「な、なに!?」
いきなり目の前に立つエステルに驚き、リタは反射的に身を引いた。
「わたし、同年代の友だち、はじめてなんです!」
エステルはリタの手をぎゅっと両手で包んだ。
リタはぎょっとして戸惑っているが、エステルは瞳をキラキラさせて喜んでいた。
エステルはずっと城暮らしだったため、同年代の子と巡り合う機会がなかった。
もちろん女中の使用人や騎士など、彼女の周りにはたくさんの人がいたが、やはり第5話 天才少女 -終-