第5話 天才少女
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盗賊が潜んでいるという遺跡までやってきた一行。
エステルとカロルは物珍しそうにあたりを見渡している。
「ここがシャイコス遺跡よ」
シャイコス遺跡は古くから存在している古代遺跡だ。
多数の魔導器(ブラスティア)が発見されており、近隣にある学術都市アスピオは、この遺跡から発見された魔導器(ブラスティア)を調査するために人々が集まって出来たのが始まりで、シャイコス遺跡の存在は魔導器(ブラスティア)の歴史を何度も大きく変えてきたほど貴重な遺産建造物であった。
「騎士団の方々、いませんね」
ふと前を見ると、少し先でラピードが足跡を見つけて匂いを嗅いでいた。
リリーティアもラピードの傍でしゃがむ込むと、じっと足跡に目を凝らした。
「まだ新しい。数も多いから、騎士団か、盗賊団か、それともその両方か・・・」
「きっと、フレンの足跡もこの中にあるんでしょうね」
「かもな」
エステルは少し残念そうにして、無数に広がる足跡を見ていた。
何度もフレンと行き違いになり、一刻も早くフレンに身の危険を知らせたいという想いが一層強くなっているのだろう。
「ほら、こっち。早く来て」
「モルディオさんは暗がりに連れ込んで、オレらを始末する気だな」
「…始末、ね。その方があたし好みだったかも」
「不気味な笑みで同調しないでよ」
「な、仲良くしましょうよ」
リタの不気味な笑みにリリーティアは苦笑を浮かべた。
少しこのメンバ―で盗賊探しをするのが少し不安になってきた彼女は、エステルの言うとおりに事が進んでくれればと切に思った。
そんな不安を抱えながらも一行は遺跡の奥に進み、誰かいないかと周りを調べていった。
「騎士団も盗賊団もいねえな」
一通り遺跡を探索してみたが、結局誰一人として見つけられなかった。
「もっと奥の方でしょうか?」
「奥って言ってもなあ」
「誰かいるように見えないよね」
遺跡の入り口に無数の足跡が広がっているにも関わらず誰もいないのはおかしい。
リリーティアも訝しげに、もう一度辺りを見渡してみた。
集中して辺りの気配を探ってみても、やはり何も異変は感じられなかった。
まだ真新しい足跡があるのに誰も遺跡にいないということは、単に自分たちと入れ違いになったか、
それとも----------、
「(-------まさか)」
リリーティアの表情が僅かに険しくなる。
「まさか、地下の情報が外にもれてんじゃないでしょうね」
ほぼ同じタイミングでリタも彼女と同じ考えに至ったようだ。
カロルが首を傾げた。
「地下?」
「ここ最近になって、地下の入口が発見されたんだ。でも、まだ一部の魔導士にしか知らされていないはずなんだけど」
フレンたちはともかく外部に知られたとなると大きな問題だった。
盗賊団なら尚更だ。
厳密な守秘情報を単なる盗賊団に知られているとなれば、情報管理があまりに乏しすぎることになる。
「仕方がないわね・・・」
そう言うと、リタは歩き出す。
ユーリたちもそれにならい、ついて行った。
「それをオレらに教えていいのかよ」
「しょうがないでしょ、身の潔白を証明するためだから」
「身の潔白ねえ・・・」
リタは遺跡内にいくつか建っている石像のひとつへ近づき、その石像の横に立ち止まった。
そして、体を屈めてじっと地面を見る。
そこには何かこすれた痕跡があった。
しかも、まだ真新しい。
「地面にこすれた跡があるね」
「発掘の終わった地上の遺跡くらい盗賊団にあげてもよかったけど、来て正解だったわ」
「なら、早く追いかけないと。これを動かせばいいんでしょ」
さっそくカロルは懸命に石像を押すが、びくともしない。
見兼ねたユーリはカロルの横に立ち、一緒にその石像を押した。
息を合わせて二人で押すと石像はじりじりとだが少しずつ動き出す
そして、やっと石像の下から階段が姿を現すと、カロルはその場にへたり込んだ。
「カロル、だいじょうぶです?」
「こ、これくらい余裕だよ・・・はぁはぁ・・・」
「ありがとう。お疲れさま」
額にたくさんの汗を滲ませたカロルにリリーティアは手を差し伸べる。
カロルはその手をとって立ち上がると、大きく息を吐いて呼吸を整えた。
「じゃ、行くわよ」
そう言って、リタは地下にのびる階段に足を踏み入れた。