第19話 砂漠
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◇第19話 砂漠 《あとがき》◇
※先に夢小説を読んでからの閲覧をおすすめします※
いよいよゴゴール砂漠の中でも、
夢主にとって辛い過去が眠る場所に足を踏み入れました。
原作の外伝小説にあったように、
レイヴンも、自分は”レイヴン”だと自ら言い聞かせ暗示をかけていました。
そうして、辛い記憶が頭をもたげようとするのを力ずくで押さえ込んでいたわけですが、
それは夢主も同じです。
レイヴンの場合は努めて明るく振舞って、極端に元気な様子を装って自分自身を誤魔化していますが、
夢主の場合は態度は普段と変わっていませんが、極暑の中であっても、
いつもと変わらない表情であることが、彼女の誤魔化しの証拠です。
本文にあったように、
”普段よりも、いつもと変わらない彼女らしい笑みを多く浮かべている” というのは、
それこそが彼女からすれば、
”辛い記憶が頭をもたげようとするのを力ずくで押さえ込んでいる” ことなのです。
二人が自分の過去を無理やり押さえ込んでいることを、ユーリたちはまったく気付かないのも、
過酷な環境の中、あそこまで平然としていることは到底不可能だと思っているからですが、
その不可能をやってのけなければならないほどに、二人の持つ過去は辛く苦しいものなのです。
だから、あの砂漠の中では、夢主は常に過去の自分を抑え込んでいます。
夜の砂漠にて、夢主とジュディスの場面を見ても分かるように、
砂漠での辛い記憶は半ば無意識に押さえ込み、
何かを考えるときも、その辛い記憶に触れないように慎重に記憶を引き出して考えを巡らせていました。
夢主もレイヴンも、
今持っている記憶には《過去の自分》はいないものとなっています。
そして、それは自分自身の過去だけの話ではありません。
つまり、
いまの夢主の記憶の中に、過去の彼(ダミュロン) はいません。
レイヴンの記憶の中にも、過去の夢主(10年前の夢主) はいないのです。
( ↑レイヴンの場合は砂漠だけの話ではなく、普段からそれに近い感じで夢主とは接していますが )
前回の話(18話)の最後で、「彼もまた”違う”」と夢主が言い聞かせてたのも、
過去を否定し、過去の記憶を抑え込むのと同時に
過去の彼(ダミュロン)の存在を消していたんですね。
自分の記憶の中に過去の彼の存在があったままだと、
あの悲惨な光景と共に、大切な仲間を失ったあの絶望感に襲われてしまいますから。
そうなればユーリたちの前で立っていられなくなる。
そうならないように、夢主は彼の過去の存在までも記憶の奥に追いやっています。
レイヴンも同じで、過去の夢主をはじめから存在しないものとして、
辛い場所である砂漠の中に立っているのです。
この時だけは、
己が過去も、そして、相手との過去も、それらの記憶すべてに蓋をして、
夢主は『一隊長を補佐する騎士の人間』として、
レイヴンは『天の射る矢(アルトクス)の幹部の人間』として、
二人は互いに接しています。
騎士団の人間とギルドの人間、それ以上でも、それ以下でもない。
示し合わせたわけではないが、互いに傷口に触れないように接しているのです。
努めて明るく振舞っているレイヴンの誤魔化し。
常にいつもと変わらない表情(笑み)である夢主の誤魔化し。
それさえも、お互いに気付かない”ふり”をして・・・。
それが今の彼で、それが今の彼女なのだと互いに思い込んで。
そうして、十年前の自分の存在を消して、
夢主は自身を誤魔化して砂漠の旅をしているわけですが・・・・・・、
しかし、最後の最後の場面で、
自らかけていた彼女の暗示はたやすく解かれてしまいました。
そのきっかけが、レイヴンが意識を失い倒れている姿を見た、あの瞬間です。
砂漠の上で彼が倒れている姿----------それは10年前に見た光景と重なり、
それに激しく動揺したはずみで、蓋をしていたはずの過去の記憶がとめどなく溢れ出てしまったんですね。
で、
ここでちょっと、話の場面を戻します。
彼女の暗示が解けてしまう少し前のところから、説明を。
始祖の隷長のクロームが現れて(←小説内ではまだ正体は判明していませんが)
ユーリたちの倒れている姿を目にし、
そして、何よりエステルを毒と言い放ったあの時を思い出して、
たちまちの彼女の心の中は憎悪にあふれます。
その時、小説内に書いている、 黒く揺らめく炎とは=憎悪 のことです。
でも、この時点での夢主は、まだ過去の記憶に蓋をしています。
十年前の過去の自分はそこにいません。
クロームを前にした時の夢主の心に生まれた憎しみの元は、
エステルを毒と言い放ったことに対してだけの怒りだけなのです。
夜の砂漠の場面でも、
夢主が始祖の隷長であるフェローの事を考えている時でさえ、
彼女は十年前の出来事を引き合いにせずに、
ダングレストでエステルを毒と呼んだことに対してだけに怒りを向けています。
この時も、夢主の心にある始祖の隷長であるクロームに対する憎悪は、
エステルのことが関係しているだけなのです。
まるで十年前のあの戦争など、はじめからなかったかのように、
それは記憶の奥底に沈めています。
ですが、本来の彼女にとっては、
始祖の隷長に対する憎悪は、エステルだけの話ではないはずです。
姉のように想っていたキャナリ
大切な仲間たちであったキャナリ小隊のみんな
かけがえのない家族であった父
そして、レイヴンとイエガーの彼ら二人
十年前に、その命を奪ったのが始祖の隷長という種族。
夢主が始祖の隷長を憎む感情は、すべてそこから生まれたものなのです。
クロームと戦い、再び意識を失いそうになった時、
そこで見たのが意識を失って倒れているレイヴンの姿。
彼のその姿をみた瞬間に、彼女の心は恐怖に震えました。
この時、書いている『逆巻いていた炎の裏から、突如として現れた感情』とは、
『逆巻いていた炎』の裏は 憎悪 のことで、
『突如として現れた感情』は 恐怖 のことです。
つまりは、『逆巻いていた憎悪の裏から、現れたのは恐怖だった』ということです。
彼が倒れている姿を見た夢主は、
さっきまで心を占めていた憎悪は一瞬にして恐怖に飲み込まれ、
心の中は憎悪ではなく恐怖心だけになってしまいました。
同時に、彼女の中には過去の記憶が甦ります。
この時、彼女の暗示は解かれ、過去の彼女が姿を現します。
『瞳に映るのは、----------彼の冷たい瞳』 とは、
『ダミュロンである彼の、光の宿っていない瞳』 のことです。
夢主の頭の中には、十年前に見た、死した彼の姿の光景が浮かんだんです。
当時の記憶に怯えなら、彼女はもうろうとする意識の中で
恐怖に震える自分の手を、必死な思いでレイヴンである彼の手に向かって伸ばします。
そうして、触れた彼の手から感じたのは、生きている温もり。
夢主は安堵すると同時に、そこには新たな想いが生まれます。
”もう二度と、彼を失うわけにはいかない!”
その想いが強く強く膨れ上がります。
この時の彼女はもう、『一隊長を補佐する騎士の人間』でもなく、
記憶に蓋をして、自分自身を誤魔化していた彼女でもありません。
始祖の隷長に大切なものを奪われた過去
自分の身勝手で多くの罪を犯した過去
それらすべての過去を深く記憶に刻んだ夢主がそこにいました。
さっきまでその心にあった恐怖は、今度は反対に憎悪に飲み込まれて、
その心の中は憎悪心だけになりました。
・・・・・と、
ここで、夢主がその心に抱える『憎悪と恐怖』についてちょっと説明を入れさせてください。
夢主には、常にふたつの感情がその心にあります。
”大切なものを失うことへの恐怖” と ”大切なものを奪われた憎悪” です。
この感情は始祖の隷長に対するものでもあり、
また、評議会の人間などの邪な陰謀に対するものでもあります。
主にこのふたつの感情が、彼女の心を大きく支配しています。
この、彼女の心にある憎悪と恐怖は、表裏一体なところがあって、
彼女の憎悪の裏には、確かな恐怖があります。
心が恐怖に支配されると、人は何もできなくなります。、
けれど、憎悪は違います。
憎悪は人を突き動かす力があります。
だから、夢主はその恐怖をふり払うように、憎むべき相手、彼女のいう”やつ”を前にすれば、
その心を憎悪へと変えて、その衝動を力にして立ち向かいます。
いえば、
憎悪という感情を以って、恐怖に押しつぶされそうになる自分自身を守っている、
と言ってもいいかもしれません。
ここまでが、夢主がその心に抱える『憎悪と恐怖』についての説明としまして。
夢主はもう二度と大切なものを奪われまいとして、
恐怖を憎悪の裏に隠し、憎悪から溢れ出る恨みや怒りの衝動をもって、再びクロームと戦います。
”やつ”らの命は『消ス』
さらなる憎悪をその心にもって、彼女は何度でも立ち上がり続けます。
その戦いの最中、クロームが、
「その眼は・・・」「・・・同じですね-------あの人と」
と言っていましたが、
さて、”あの人”とは誰のことでしょうか。
これについてはあとあと話が進むにつれて分かることなので、
ここでは書きませんが、誰のことかはだいたい予想はつくかなぁと思います。
しかし、フェローである”やつ”の声によって、
(ジュディスの外伝小説によれば、
フェローは人間の言葉を発することができない始祖の隷長で、夢主たちに聞こえる声は、声ではなく思念らしいですが)
フェローが発する、その圧倒的な思念に、
夢主の脳は焼き尽くされそうになり、とうとうその場に崩れてしまいます。
この時、フェローが言っていた、
「クリティア族の男」というのは、言わずもがな ヘルメス のことです。
そして、夢主が薄れゆく意識の中に浮かんだ、クリティア族の男の夢中な笑顔とは、
【過去編の第1章 第13話】にて、ちらっと書いたのですが、
夢主がまだ幼い頃、父とヘルメスが魔導器について熱心に話しているのを、
幼い彼女は飽きもせず二人の傍でずっと聞いていたことがあります。
クリティア族の男の夢中な笑顔とは、その時の彼女の記憶だったんです。
そうして・・・、夢主と始祖の隷長との戦いは、圧倒的な力の前に負けてしまいました。
とまぁ、
夢主の心の動き、その変化を話の流れに沿って書いてみたわけですが、
「なんじゃこりゃ?」って自分でつっこみたい。
あ~、うまくまとまらないなあ;
もうなんかね、どうぞ自由に解釈して下さいませ!(←なげやり!?)
で、今回、特に苦労した場面が戦闘のシーンでした。
だいぶ、そこでつまずいてしまって・・・;
中でも、クロームとの戦いの場面は、自分の語彙力のなさのせいで上手く文章で描写できなくて。
本当に申し訳ないです。
頭にはちゃんとした映像が流れていても、それを文章で表現するのってほんと難しいですよね。
小説家の方ってすごいなぁと、改めて思いました。
それと、クロームとの戦いの中で、竜巻に飲み込まれそうになって、
大した怪我もなく夢主が無事であったことについては
次の話である20話の中で詳しく出てくる(予定)ので、ここでは省略しますね。
あと、怪物アウトブレーカーの戦闘について、ちょこっと。
アウトブレーカーが球体を出して特性を逆転すると、
実際のゲームでは昼夜も逆転する仕様でしたが、この小説内では昼夜は入れ替わらないようにしました。
それだけの説明でした。
今回の《あとがき》はこんなところでしょうか。
・・・って、長すぎっ!?いつも長いけど!!
ここまで読んで下さった方、ありがとうございます♪
お疲れさまです!!
さてさて、次はヨームゲンでの話ですね。
ヨームゲンのお話は書いていてちょこっと楽しかったです♪
砂漠の話がちょっと暗すぎたせいもあるのかな。
と言うのも、
実は今回の19話と次回アップする予定の20話は、
書き始めた当初は2つで1つの話ということで考えて書いていたんです。
それで、いざすべて書き終わってみると、
いつものことながら予定したページ数よりも増えに増えてるわで、
ちょっとこれは分けて掲載したほうがいいかも、ということで結局分けることにしました。
それもこれも、ヨームゲンでの話が予定以上に増えてしまったんです。
始めは5、6P、多くても8Pぐらいの話になるだろうなって考えていたので、
砂漠の旅の13P分を含めて、全部で20Pぐらいに収まるだろうな思っていたんですね。
ところがどっこい!!
ヨームゲンでの話を書き始めてみると、どんどん場面数が増えに増えて・・・。
で、最終的に書き終わってみると、
「ヨームゲンだけで1話分のページ量を書いちまった・・・」
ということになっていました、はい。
つまりまとめると、
当初の予定 ⇒19話:砂漠の旅+ヨームゲン (20ページぐらいかな~)
書き終えて変更 ⇒19話:砂漠の旅 (13ページ)
20話:ヨームゲン(16ページ)※修正前なので変動あり
と、こんな感じです。
ですので、次回の20話は一応ですが、もう書き終えています。
おかげで来週中には更新できるかと。
一応というのは一度書き終えたとはいえ、
①ひと通り読み返しての全体的な修正作業
②ホームページ上にアップするための変換作業
等々があって、まだ完璧に書き終えているとはいえないので一応といった感じです。
とはいえ、いつもよりもだいぶ早く更新できると思います。
目標としては、来週一週間のうちに必ず更新いたします!!
どうぞお楽しみに♪
最後に、
今回の1話は書いていて、何だかどっと疲れました・・・。
なかなか書き進められなくなるわ、焦りも出てくるわで、
もう、わぁ~~っ!!!!・・・て、軽く発狂してしまうほどで。
でも、そんなときに、みなさんからコメントや拍手をいただき本当に励みになりました!
みなさんの温かさがとても身に染みましたよ。
心から感謝感謝です。
本当にありがとう!!
これからも頑張っていきますよー!
管理人:ニクス 2016/05/20記
※先に夢小説を読んでからの閲覧をおすすめします※
いよいよゴゴール砂漠の中でも、
夢主にとって辛い過去が眠る場所に足を踏み入れました。
原作の外伝小説にあったように、
レイヴンも、自分は”レイヴン”だと自ら言い聞かせ暗示をかけていました。
そうして、辛い記憶が頭をもたげようとするのを力ずくで押さえ込んでいたわけですが、
それは夢主も同じです。
レイヴンの場合は努めて明るく振舞って、極端に元気な様子を装って自分自身を誤魔化していますが、
夢主の場合は態度は普段と変わっていませんが、極暑の中であっても、
いつもと変わらない表情であることが、彼女の誤魔化しの証拠です。
本文にあったように、
”普段よりも、いつもと変わらない彼女らしい笑みを多く浮かべている” というのは、
それこそが彼女からすれば、
”辛い記憶が頭をもたげようとするのを力ずくで押さえ込んでいる” ことなのです。
二人が自分の過去を無理やり押さえ込んでいることを、ユーリたちはまったく気付かないのも、
過酷な環境の中、あそこまで平然としていることは到底不可能だと思っているからですが、
その不可能をやってのけなければならないほどに、二人の持つ過去は辛く苦しいものなのです。
だから、あの砂漠の中では、夢主は常に過去の自分を抑え込んでいます。
夜の砂漠にて、夢主とジュディスの場面を見ても分かるように、
砂漠での辛い記憶は半ば無意識に押さえ込み、
何かを考えるときも、その辛い記憶に触れないように慎重に記憶を引き出して考えを巡らせていました。
夢主もレイヴンも、
今持っている記憶には《過去の自分》はいないものとなっています。
そして、それは自分自身の過去だけの話ではありません。
つまり、
いまの夢主の記憶の中に、過去の彼(ダミュロン) はいません。
レイヴンの記憶の中にも、過去の夢主(10年前の夢主) はいないのです。
( ↑レイヴンの場合は砂漠だけの話ではなく、普段からそれに近い感じで夢主とは接していますが )
前回の話(18話)の最後で、「彼もまた”違う”」と夢主が言い聞かせてたのも、
過去を否定し、過去の記憶を抑え込むのと同時に
過去の彼(ダミュロン)の存在を消していたんですね。
自分の記憶の中に過去の彼の存在があったままだと、
あの悲惨な光景と共に、大切な仲間を失ったあの絶望感に襲われてしまいますから。
そうなればユーリたちの前で立っていられなくなる。
そうならないように、夢主は彼の過去の存在までも記憶の奥に追いやっています。
レイヴンも同じで、過去の夢主をはじめから存在しないものとして、
辛い場所である砂漠の中に立っているのです。
この時だけは、
己が過去も、そして、相手との過去も、それらの記憶すべてに蓋をして、
夢主は『一隊長を補佐する騎士の人間』として、
レイヴンは『天の射る矢(アルトクス)の幹部の人間』として、
二人は互いに接しています。
騎士団の人間とギルドの人間、それ以上でも、それ以下でもない。
示し合わせたわけではないが、互いに傷口に触れないように接しているのです。
努めて明るく振舞っているレイヴンの誤魔化し。
常にいつもと変わらない表情(笑み)である夢主の誤魔化し。
それさえも、お互いに気付かない”ふり”をして・・・。
それが今の彼で、それが今の彼女なのだと互いに思い込んで。
そうして、十年前の自分の存在を消して、
夢主は自身を誤魔化して砂漠の旅をしているわけですが・・・・・・、
しかし、最後の最後の場面で、
自らかけていた彼女の暗示はたやすく解かれてしまいました。
そのきっかけが、レイヴンが意識を失い倒れている姿を見た、あの瞬間です。
砂漠の上で彼が倒れている姿----------それは10年前に見た光景と重なり、
それに激しく動揺したはずみで、蓋をしていたはずの過去の記憶がとめどなく溢れ出てしまったんですね。
で、
ここでちょっと、話の場面を戻します。
彼女の暗示が解けてしまう少し前のところから、説明を。
始祖の隷長のクロームが現れて(←小説内ではまだ正体は判明していませんが)
ユーリたちの倒れている姿を目にし、
そして、何よりエステルを毒と言い放ったあの時を思い出して、
たちまちの彼女の心の中は憎悪にあふれます。
その時、小説内に書いている、 黒く揺らめく炎とは=憎悪 のことです。
でも、この時点での夢主は、まだ過去の記憶に蓋をしています。
十年前の過去の自分はそこにいません。
クロームを前にした時の夢主の心に生まれた憎しみの元は、
エステルを毒と言い放ったことに対してだけの怒りだけなのです。
夜の砂漠の場面でも、
夢主が始祖の隷長であるフェローの事を考えている時でさえ、
彼女は十年前の出来事を引き合いにせずに、
ダングレストでエステルを毒と呼んだことに対してだけに怒りを向けています。
この時も、夢主の心にある始祖の隷長であるクロームに対する憎悪は、
エステルのことが関係しているだけなのです。
まるで十年前のあの戦争など、はじめからなかったかのように、
それは記憶の奥底に沈めています。
ですが、本来の彼女にとっては、
始祖の隷長に対する憎悪は、エステルだけの話ではないはずです。
姉のように想っていたキャナリ
大切な仲間たちであったキャナリ小隊のみんな
かけがえのない家族であった父
そして、レイヴンとイエガーの彼ら二人
十年前に、その命を奪ったのが始祖の隷長という種族。
夢主が始祖の隷長を憎む感情は、すべてそこから生まれたものなのです。
クロームと戦い、再び意識を失いそうになった時、
そこで見たのが意識を失って倒れているレイヴンの姿。
彼のその姿をみた瞬間に、彼女の心は恐怖に震えました。
この時、書いている『逆巻いていた炎の裏から、突如として現れた感情』とは、
『逆巻いていた炎』の裏は 憎悪 のことで、
『突如として現れた感情』は 恐怖 のことです。
つまりは、『逆巻いていた憎悪の裏から、現れたのは恐怖だった』ということです。
彼が倒れている姿を見た夢主は、
さっきまで心を占めていた憎悪は一瞬にして恐怖に飲み込まれ、
心の中は憎悪ではなく恐怖心だけになってしまいました。
同時に、彼女の中には過去の記憶が甦ります。
この時、彼女の暗示は解かれ、過去の彼女が姿を現します。
『瞳に映るのは、----------彼の冷たい瞳』 とは、
『ダミュロンである彼の、光の宿っていない瞳』 のことです。
夢主の頭の中には、十年前に見た、死した彼の姿の光景が浮かんだんです。
当時の記憶に怯えなら、彼女はもうろうとする意識の中で
恐怖に震える自分の手を、必死な思いでレイヴンである彼の手に向かって伸ばします。
そうして、触れた彼の手から感じたのは、生きている温もり。
夢主は安堵すると同時に、そこには新たな想いが生まれます。
”もう二度と、彼を失うわけにはいかない!”
その想いが強く強く膨れ上がります。
この時の彼女はもう、『一隊長を補佐する騎士の人間』でもなく、
記憶に蓋をして、自分自身を誤魔化していた彼女でもありません。
始祖の隷長に大切なものを奪われた過去
自分の身勝手で多くの罪を犯した過去
それらすべての過去を深く記憶に刻んだ夢主がそこにいました。
さっきまでその心にあった恐怖は、今度は反対に憎悪に飲み込まれて、
その心の中は憎悪心だけになりました。
・・・・・と、
ここで、夢主がその心に抱える『憎悪と恐怖』についてちょっと説明を入れさせてください。
夢主には、常にふたつの感情がその心にあります。
”大切なものを失うことへの恐怖” と ”大切なものを奪われた憎悪” です。
この感情は始祖の隷長に対するものでもあり、
また、評議会の人間などの邪な陰謀に対するものでもあります。
主にこのふたつの感情が、彼女の心を大きく支配しています。
この、彼女の心にある憎悪と恐怖は、表裏一体なところがあって、
彼女の憎悪の裏には、確かな恐怖があります。
心が恐怖に支配されると、人は何もできなくなります。、
けれど、憎悪は違います。
憎悪は人を突き動かす力があります。
だから、夢主はその恐怖をふり払うように、憎むべき相手、彼女のいう”やつ”を前にすれば、
その心を憎悪へと変えて、その衝動を力にして立ち向かいます。
いえば、
憎悪という感情を以って、恐怖に押しつぶされそうになる自分自身を守っている、
と言ってもいいかもしれません。
ここまでが、夢主がその心に抱える『憎悪と恐怖』についての説明としまして。
夢主はもう二度と大切なものを奪われまいとして、
恐怖を憎悪の裏に隠し、憎悪から溢れ出る恨みや怒りの衝動をもって、再びクロームと戦います。
”やつ”らの命は『消ス』
さらなる憎悪をその心にもって、彼女は何度でも立ち上がり続けます。
その戦いの最中、クロームが、
「その眼は・・・」「・・・同じですね-------あの人と」
と言っていましたが、
さて、”あの人”とは誰のことでしょうか。
これについてはあとあと話が進むにつれて分かることなので、
ここでは書きませんが、誰のことかはだいたい予想はつくかなぁと思います。
しかし、フェローである”やつ”の声によって、
(ジュディスの外伝小説によれば、
フェローは人間の言葉を発することができない始祖の隷長で、夢主たちに聞こえる声は、声ではなく思念らしいですが)
フェローが発する、その圧倒的な思念に、
夢主の脳は焼き尽くされそうになり、とうとうその場に崩れてしまいます。
この時、フェローが言っていた、
「クリティア族の男」というのは、言わずもがな ヘルメス のことです。
そして、夢主が薄れゆく意識の中に浮かんだ、クリティア族の男の夢中な笑顔とは、
【過去編の第1章 第13話】にて、ちらっと書いたのですが、
夢主がまだ幼い頃、父とヘルメスが魔導器について熱心に話しているのを、
幼い彼女は飽きもせず二人の傍でずっと聞いていたことがあります。
クリティア族の男の夢中な笑顔とは、その時の彼女の記憶だったんです。
そうして・・・、夢主と始祖の隷長との戦いは、圧倒的な力の前に負けてしまいました。
とまぁ、
夢主の心の動き、その変化を話の流れに沿って書いてみたわけですが、
「なんじゃこりゃ?」って自分でつっこみたい。
あ~、うまくまとまらないなあ;
もうなんかね、どうぞ自由に解釈して下さいませ!(←なげやり!?)
で、今回、特に苦労した場面が戦闘のシーンでした。
だいぶ、そこでつまずいてしまって・・・;
中でも、クロームとの戦いの場面は、自分の語彙力のなさのせいで上手く文章で描写できなくて。
本当に申し訳ないです。
頭にはちゃんとした映像が流れていても、それを文章で表現するのってほんと難しいですよね。
小説家の方ってすごいなぁと、改めて思いました。
それと、クロームとの戦いの中で、竜巻に飲み込まれそうになって、
大した怪我もなく夢主が無事であったことについては
次の話である20話の中で詳しく出てくる(予定)ので、ここでは省略しますね。
あと、怪物アウトブレーカーの戦闘について、ちょこっと。
アウトブレーカーが球体を出して特性を逆転すると、
実際のゲームでは昼夜も逆転する仕様でしたが、この小説内では昼夜は入れ替わらないようにしました。
それだけの説明でした。
今回の《あとがき》はこんなところでしょうか。
・・・って、長すぎっ!?いつも長いけど!!
ここまで読んで下さった方、ありがとうございます♪
お疲れさまです!!
さてさて、次はヨームゲンでの話ですね。
ヨームゲンのお話は書いていてちょこっと楽しかったです♪
砂漠の話がちょっと暗すぎたせいもあるのかな。
と言うのも、
実は今回の19話と次回アップする予定の20話は、
書き始めた当初は2つで1つの話ということで考えて書いていたんです。
それで、いざすべて書き終わってみると、
いつものことながら予定したページ数よりも増えに増えてるわで、
ちょっとこれは分けて掲載したほうがいいかも、ということで結局分けることにしました。
それもこれも、ヨームゲンでの話が予定以上に増えてしまったんです。
始めは5、6P、多くても8Pぐらいの話になるだろうなって考えていたので、
砂漠の旅の13P分を含めて、全部で20Pぐらいに収まるだろうな思っていたんですね。
ところがどっこい!!
ヨームゲンでの話を書き始めてみると、どんどん場面数が増えに増えて・・・。
で、最終的に書き終わってみると、
「ヨームゲンだけで1話分のページ量を書いちまった・・・」
ということになっていました、はい。
つまりまとめると、
当初の予定 ⇒19話:砂漠の旅+ヨームゲン (20ページぐらいかな~)
書き終えて変更 ⇒19話:砂漠の旅 (13ページ)
20話:ヨームゲン(16ページ)※修正前なので変動あり
と、こんな感じです。
ですので、次回の20話は一応ですが、もう書き終えています。
おかげで来週中には更新できるかと。
一応というのは一度書き終えたとはいえ、
①ひと通り読み返しての全体的な修正作業
②ホームページ上にアップするための変換作業
等々があって、まだ完璧に書き終えているとはいえないので一応といった感じです。
とはいえ、いつもよりもだいぶ早く更新できると思います。
目標としては、来週一週間のうちに必ず更新いたします!!
どうぞお楽しみに♪
最後に、
今回の1話は書いていて、何だかどっと疲れました・・・。
なかなか書き進められなくなるわ、焦りも出てくるわで、
もう、わぁ~~っ!!!!・・・て、軽く発狂してしまうほどで。
でも、そんなときに、みなさんからコメントや拍手をいただき本当に励みになりました!
みなさんの温かさがとても身に染みましたよ。
心から感謝感謝です。
本当にありがとう!!
これからも頑張っていきますよー!
管理人:ニクス 2016/05/20記