第19話 砂漠
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過去が蘇る。
それは、遠い記憶。
頬に感じるのは、熱い風。
肌に感じるのは、灼熱の光。
瞳に映るのは、----------彼の冷たい瞳。
リリーティアは、その手を伸ばした。
引き摺るように、震えるその手を。
その手を伸ばす彼女の瞳に映るのは、彼の倒れ伏した姿。
その手を伸ばす彼女の心を支配するのは、絶望にも似た恐怖。
ようやく、その手は届いた。
黄砂に倒れた彼の手に、触れる。
頬に感じるのは、熱い風。
肌に感じるのは、灼熱の光。
瞳に映るのは、彼の倒れ伏した姿。
震えるその手に感じるのは----------彼自身の温もり。
リリーティアは力なく頭(こうべ)を垂れた。
そして、その眼を閉じる。
その心を支配していたものは、だんだんと薄れていく。
それと反するようにして、彼女の胸の内では、黒く渦巻く炎が再びその勢いを取り戻していった。
「奪われるわけには、・・・いかない」
-------------この温もりは、決して。
微かに零れ落ちた声と共に、彼女は彼の手を強く握り締めた。
その手を伝って感じる温もりに、薄れかけていた意識が徐々に呼び覚まされていく。
リリーティアは力なく顔を伏せたまま、片膝をついてそこに起き上がった。
悲鳴をあげている体にさらなる鞭を打って。
彼女にとってはなんてことなかった。
焼け付く喉の痛みも。
震える身体の痛みも。
---------------私の過ちが、彼のすべてを奪ってしまったのだとしても。
彼女の瞳の奥に映るのは、生々しい欠片。
その時、頭上から巨鷲の羽ばたく音が一段と近くに響く。
リリーティアは彼の手からその手を放し、傍に落ちている愛用の武器をそれぞれの手に強く握り締めた。
そして、不安定にもその足でそこに立ち上がった。
伏した顔からは苦しげな息と、幾粒もの汗が零れ落ちていく。
それでも一歩一歩、その足を踏みしめて前に進み出た。
彼を背に庇って。
---------------私の身勝手が、彼を苦しめたのだとしても。
彼女の瞳の奥に映るのは、彼の、彼らの”薄ら笑う顔”
照りつける太陽の光は遮られ、リリーティアは大きな闇に覆われた。
彼女はその顔を上げる。
---------------だからこそ、もう二度と、
彼女の瞳に映るのは、強大な敵の姿。
彼女の視線のすぐ先には、大きな影。
雲ひとつない抜けるような空に羽ばたき浮かぶ、巨鷲の姿があった。
「---------------奪われるわけにはいかないっ・・・!」
彼女の心を支配するのは、燃え盛る黒い炎。
そして、その奥に秘められた揺るぎなき想い。
彼女は立ち続ける、強大な敵を前にしても。
”やつ”らの命を奪い尽くすまでは。