第19話 砂漠
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戦闘が始まってから、すでに小一時間が経とうとしている。
幸い、一行たちの中で大きな怪我を負った者はいないが、相手もまだ倒れない。
一方でもう全員が肩で息をしており、追い込まれている状況だった。
そんな時、体を曲げる動きを見せた怪物にユーリはすかさず剣を構え直し、足を後ろに踏み込んだ。
「いい加減-------!」
そして、勢いよく砂地を蹴って、怪物の頭上へと飛び上がる。
瞬間、怪物が口から球体を吐き出し、それは彼の目の前に現れた。
「-------くたばれってえの!」
そこに渾身の力で剣を振り下ろした。
瞬間、甲高い音が鳴り響く。
見ると、球体に大きな割れ目が入っていた。
すかさずそこにレイヴンが数多の矢を放ち射ち、次いでパティも銃弾を打ち込んだ。
さらに深く広がる球体の割れ目。
そして、止めとばかりにジュディスが下から槍を突き上げた。
途端に球体は大きな音をたてて弾け壊れ、その拍子に怪物が地面に倒れ伏した。
「よし、畳み掛けるぞ!」
ユーリの声に皆が武器を握る手に力を込めた。
誰もがその好機を見逃さんと、薄れそうになる意識を集中させる。
「聖なる槍よ、敵を貫け -------ホーリィランス !」
「弾けよ水風船-------ハイドロールレイド!」
エステルとパティが同時に術を発動させた。
敵の頭上から光の槍と巨大な水風船を落として攻撃を与えると、
「流落!降り注ぐ、光の雨! 」
そこへさらに、レイヴンの弓技によって蒼く輝く無数の矢が降り注いだ。
「舞い踊る水魔-------ディフュージョナルドライヴ!」
「暴れ狂う風神-------デウス・ボレアス!」
リリーティアの魔術で吹雪により辺りが白く包まれるのと同時に、リタの魔術である水柱で敵が高く飛んだ。
そして、上空に突き上げられた怪物の体を、渦巻く旋風が幾重にも切り刻む。
「 ボクだって・・・! 烈震ドロップ!」
リリーティアの魔術の後に敵が落下してきたところを、ふらつく体に鞭打つようにカロルも最後の力を振り絞って、大槌(ハンマー)を大きく振り下ろし攻撃した。
「水玉脆く弾けて-------蒼華、月爆封!」
「ガウ!ワォーン!」
続けて、水の球に敵を閉じ込め、高く蹴り上げて叩き落とすジュディスの槍技に、水球が弾ける中、ラピードが敵に突進して反対側に回り込むと背後に水を噴出させて攻撃する。
「これで終わりにしてくれよ!」
ユーリは砂地を蹴って飛び上がる。
「天狼滅牙・水蓮!」
怪物の眼前に剣を突き刺し、周囲に水を噴出させた剣技を放った。
皆が今もてる最大の攻撃を、そして、その大半が怪物の今の弱点である水属性の技を繰り出した。
息つく間もなく受けた攻撃に、怪物は何ともいえない苦しげな声を発する。
「やった・・・か?」
怪物から距離を置いて、ユーリは体を激しく捩(よじ)る怪物の姿に目をやった。
しばらく苦しげに体を捩っていたが、不意にその体が薄くなっていく。
そして、蜃気楼さながら空気に溶けるようにして消えていった。
「消えた・・・?」
死骸もなにも、一切の跡形も残さずに消えた怪物にユーリは戸惑いの声を零す。
辺りは一瞬にして静寂に包まれ、一行は呆けたように怪物が消えた場所を見詰めていた。