第18話 黄砂の街
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「いらっしゃいませ。水と黄砂の街 マンタイク へようこそ」
宿屋に入ると、受付にいた主人が愛想よく一行らを迎えた。
だが、外にだけでなく受付の傍にも騎士の姿があり、カロルは怪訝にそれを見やる。
「この騎士・・・何?」
「ええーと・・・」
カロルの疑問に宿屋の主人は困ったように言葉を詰まらせた。
主人は一度何やら口を開きかけたが、ちらりとその騎士へと視線を向けるとその口をぐっと噤む。
そして、すぐにリリーティアたちにその視線を戻すと、ぎこちない笑みを向けた。
「・・・ご、ご宿泊ですか?」
「ああ。今日一晩泊まれるか?」
ユーリが宿泊の受付をしている中、リリーティアはその騎士と宿の主人へと交互に視線を巡らせた。
始終、主人は落ち着きのない様子で、時折ちらりと騎士の様子を窺っている。
その騎士はといえば、微動だにせず突っ立っており、それはさながら銅像のようであった。
「では、ゆっくりお休みください」
主人に代金を払うと、広間での休憩はそこに騎士が立っていて話しずらいとして、一行はさっさと宿泊部屋の中へと向かった。
「なんか変な雰囲気よね、この街」
「やたら騎士が目につくし」
部屋に入ってすぐにリタとカロルは疲れたとばかりに寝台の上に座り込んだ。
「なんだか騎士に入り口に立たれると落ち着かないよね」
「気になります?」
「なるなる」
カロルは何度も頷いたが、エステルは首を傾げている。
城では警護として騎士がいつも部屋の前につき、それが日常的ではあったエステルにしてみれば当たり前といえる景色で、
寧ろそちらの方が慣れているといってもいいんだろう。
落ち着かないというカロルの感覚はあまり分からないようだ。
「ま、守ってくれるってんならいいんじゃない?」
「うーん・・・」
レイヴンのほうもあまり気にしていない様子であった。
彼の言う通り、この街の治安を守っているために騎士がいるのならば、まだ気にならないかもれしない。
だが、カロルにはそういって捉え方を変えてもあまり気休めにはならないようだ。
「にしても、こんなところまで<帝国>の騎士が何しにきてんだろうな」
ユーリをはじめ、彼らにとってはそこは一番気になるところであった。
ヘリオードでの一件もある。
この街でも裏で何か企んでいるのではないかと疑うのも無理はない。
リリーティアだけはキュモール隊がここにいる目的を知っているから、それに関しては何も思うことはなかった。
それよりも彼女はこの街の異様な雰囲気の方が気になっていた。
「今日は一日ここで情報を集めながら、ゆっくり休むとするか」
「そうね、それがいいわ」
それぞれに気になることはあるが自分たちには自分たちの目的がある。
今は考えても仕方がないと、一行は今日一日この街で過ごすことにした。