第17話 闘技場
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「強いのを倒しちゃったよ!」
額の汗を拭いながら、カロルが信じられないと喜びの声を上げた。
これまでにない長い戦いを終え、それぞれがほっと息をついた。
そんな中、エステルが駆け出した。
彼女はまだ完全に傷が癒えていないゴーシュとドロワットへと向かったのだ。
「今、傷の手当を・・・」
エステルは二人の傷を癒そうと手を伸ばす。
だが、それをゴーシュはきっと睨んで拒否を示した。
「でも、その傷では・・・!」
二人は腕をおさえながらもどうにか立っている様子であった。
エステルは敵である彼女たちであっても、本当に心配した表情を浮かべている。
「これ以上の敵の施しは受けない」
「バカにしちゃ、や~なのよぉ」
そう言って、二人は背を向けて歩き出す。
不意にユーリが前に出た。
「施しは受けないかなんだか知んねえが、助けてくれたやつにも礼はなしか」
「「・・・・・・」」
ユーリの言葉に二人はその足を止めた。
リリーティアはただじっと彼女たちの背を見詰めた。
互いの間に沈黙した時が流れる。
「撤退する・・・」
「ばいばいだよ・・・」
沈黙を破った二人は煙幕を張って、その姿を隠した。
ヘリオードのように煙に紛れて逃げるつもりらしい。
突然の煙に一行は口元を押さえた。
「くさっ・・・なんだこの煙・・・!」
ユーリが思わず声を上げる。
その煙は姿を隠すだけの役割だけではなかったのである。
「ク~ン」
「これじゃ、ワンコも匂い追えないってか・・・」
強烈な匂いにラピードがその場にうずくまった。
レイヴンの言った通り、それは犬の嗅覚からの追跡を逃れるための煙でもあったのだ。
しばらく経つと、強烈な匂いはまだそこに残っているが煙は晴れていった。
「あいつらを追うぞ」
視界がよくなり、ユーリたちは洞窟のさらに奥、さっきまで魔物の群れが棲んでいた空洞の中へと向かって突き進んだ。
皆が駆けていく中、リリーティアは彼らの背を、いや、もっとその遠くを見詰めていた。
そして、静かに目を閉じると、微かにその口を開いた。
「それでいいよ・・・」
すでに姿の見えない弟子たちを思いながら。