第17話 闘技場
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ジュディスの姿を見つけたのは、ノードポリカの街の出口近くだった。
「街の外に逃げられたわ。まだラピードが追ってる」
ジュディスはラピードが向かった方向を指で示した。
その方向をじっと険しい目で見るユーリ。
「・・・逃げ足の早い野郎だ。ラピードが追いついてくれればいいんだか」
「それにしてもどうなってるの?なんで、ラーギィさんが」
カロルが首を傾げてユーリを見上げた。
「はめられたみたいだな。フレンの任務を妨害するためにオレたちをけしかけたんだろ」
「任務・・・?」
次はエステルが首を傾げた。
自分を連れ戻すためにフレンが追いかけてきたのかと不安げにユーリを見る。
「お姫様を連れ返しにって事じゃなさそうだぜ」
エステルを連れ戻すためなら、わざわざ闘技場に出たりなどしないだろう。
それに彼女が<帝国>の庇護の下から飛び出してきていることについては、アレクセイの方も、リリーティアがついているとして少しは容認しているところがある。
よほどの事情がない限り、強行手段を取ることはない。
「(それに、連れ戻すとしたら私に命が下されるはずだ)」
だから、フレンの任務は別にある。
ならば、その任務とはなんなのか。
リリーティアはじっと考え込んだ。
「じゃあ、フレンの任務は・・・?」
「さあな。ラーギィの思惑を邪魔するものだったってのは間違いなさそうだが」
ユーリは肩をすくめて、息を吐いた。
ラーギィは『凛々の明星(ブレイブヴェスペリア)』に闘技場のチャンピオンを倒してほしいと頼んできた。
闘技場チャンピオンは<帝国>の騎士。
何を考えているのか分からないが、ラーギィにとって騎士団のその任務は邪魔なことだったのだ。
尚更、騎士団の任務が何だったのかが気になるが、互いに戦いを演じていた時もフレンは頑なに任務の内容を言わなかったと、ユーリは話した。
「でも、あの温厚そうなラーギィさんがあの箱を奪うなんて・・・」
「奪ってった時のあいつは温厚なんてもんじゃなかったわよ」
信じられないと落胆するカロルとは対照的に、リタは怒りが収まらないらしく、腕を組みながらつま先で何度も地面を踏んでいる。
「打倒チャンピオンの件といい、『遺構の門(ルーインズゲート)』は表向きの顔ってヤツなのかもねぇ」
レイヴンは顎を撫でながら言った。
そこへ、街の外からラピードがこちらへ駆け戻ってくるのが見えた。
「あ、ラピード!」
カロルが嬉しげに声をあげる。
戻ってきたラピードは口に何かを咥えていた。
それは布の切れ端。
「ねぇ、これ」
ジュディスがそれを手に取った。
よく見ると、それはラーギィが着ていた作業着の切れ端だった。
「こいつがあれば匂いで追えるな」
「ワン!」
主人の言葉に任せておけとでも言うようにラピードが威勢よく啼いた。
一行は再びラーギィを追って、ノードポリカの街を出た。