第16話 幽霊船
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トリム港で一夜明け。
一行は宿の食堂で朝食をとっていた。
「で、港から船だっけ?」
食事を終えたリタが突然尋ねた。
「おまえもついてくんのか?」
「ええ」
彼女はユーリに頷くと、グラスに入っていた水を一口飲んだ。
「なんか用事があったんでないの?」
「確か、エアルクレーネの調査でしょ?」
レイヴンとカロルが尋ねる。
「騎士団長から依頼されたケーブ・モックの方は、すでに調査、報告済み。他のエアルクレーネは、どのみち旅して調べるつもりだったから」
「つまり、調査のために私たちを利用するってことかしら」
ジュディスは頬に手を添えて微笑んだ。
「まあね。ヘリオードの時みたいに調査中、ひどい目に遭わないとも限らないわけだし。一人よりもあんたたちと一緒の方がとりあえず安心よね」
「相変わらず良い性格してるぜ」
うんうんと頷くリタをユーリは呆れて見ると料理を口に運んだ。
「また一緒に旅できるんですね。わたし、うれしいです」
これからどうするのだろうかと、リタのことを一番に気にしていたエステルは、よほど嬉しいようで、隣に座る彼女の手をとって笑顔を弾けさせた。
「そ、そう・・・あたしは、別に・・・」
リタはいつものように顔を背け気味にしてそっけなく応えている。
リリーティアが二人の様子を微笑ましく見ていると、ふとリタと目が合った。
「ありがとう、リタ」
昨日、一緒に来てくれるとエステルが喜ぶと言ったのもあり、その言葉を聞いてくれたことへの感謝と、ただ純粋に一緒についてきてくれることが嬉しくて、リリーティアは感謝の言葉を伝えた。
「・・・そ、それより、港に行くんでしょ?朝食も済んだしさっさと行くわよ」
リタは何故かはっとして、それも照れ隠しなのか、
前にいるリリーティアから視線を逸らすと、そそくさと椅子から立ち上がった。
「まったく、若人は元気よのう~」
「ふざけてんの!?」
「ひー!どんな逆ギレよ~!」
素直じゃない彼女を軽くからかっただけなのだが、あまりの彼女の剣幕にレイヴンは身を引いて声を上げた。
その騒がしい様子にユーリはやれやれと息を吐くと、全員が食事を終えているのを見た彼もその場に立ち上がった。
「んじゃ、港に行きますか」
彼の一声に他の皆も次々と椅子から立ち上がる。
そして、一行は宿を出て、トリムの波止場を目指した。