第3話 少年
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「グルルルルル・・・」
だいぶ森の中を進み歩き、おそらくもうそろそろ森の出口に差し掛かる頃だろうと思った時、
突然、ラピードが鬱蒼と生い茂る草の中に向かって唸り声をあげた。
「ん?」
「エステル、下がって」
ユーリも気配に気づき、その草の中に視線を向けた。
リリーティアも警戒してエステルを背に下がらせると、その草の中をじっと見た。
「エッグベアめ、か、覚悟!」
「(エッグベア?)」
魔物の名前を叫びながら、その草の中から小さき影が飛び出してきた。
それは、男の子だった。
大人からも見ても巨大な剣を手に、少年がぐるぐると回転しながら剣を振り回して現れたのだ。
「うわっ、とっとっ!うわああああっ!」
その小さな体で巨大な剣を扱うのは無理があったのだろう。
「(振り回すというか、振り回されているような・・・)」
一度振り回した回転はそのまま止まらなくなってしまい、その勢いは増していく一方であった。
リリーティアはそれを呆然と見詰め、彼女の背中越しに見ているエステルも同じのように呆気に取られている。
「あうっ!」
見兼ねたユーリが自分の剣を引き抜き、少年の剣に向かって一撃を与えた。
巨大な剣は容易く折れ、少年は情けない声を上げながら盛大に尻もちをついた。
「う、いたたた・・・」
痛みに歪む少年の顔をラピードが覗き込んだ。
「ひいいっ!ボ、ボクなんか食べても、おいしくないし、お腹壊すんだから」
ラピードを見て魔物と勘違いする少年。
「ガウッ!」
「ほ、ほほほんとに、たたたすけて。ぎゃあああ~~~~~!!」
「忙しいガキだな」
だとしても、あまりに酷く取り乱している様にユーリは呆れた声をもらした。
「大丈夫ですよ」
エステルは怯える少年に近づくと、彼女らしいふわりとした笑みを浮かべた。
「あ、あれ?魔物が女の人に」
「ったく。なにやってんだか」
「・・・ははは」
よほど気が動転しているのか、少年は魔物が人に変わったことを本気で驚いている。
ユーリはほとほと呆れた様子でため息をつき、リリーティアもそれには乾いた声で笑うことしかできなかったのだった。